概要情報
事件名 |
ゾンデルホフ・ウント・アインゼル |
事件番号 |
東京地労委 昭和59年(不)第17号
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申立人 |
法律会計特許一般労働組合 |
申立人 |
法律会計特許一般労働組合 ゾンデルホフ分会 |
被申立人 |
ゾンデルホフ・ウント・アインゼル 有限会社 |
命令年月日 |
昭和60年 3月 5日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
申立人組合分会員X1が労使慣行として従来から認められていた育児時間を取得したところ、その取扱いは変更になったとの理由で、育児のための遅刻は無断遅刻、早退に該当するとして賃金カットするとともに、管理職らが同人に対し、威迫的言動を行い、また、仕事を与えないなどのいやがらせを行ったことが争われた事件で、賃金カット相当分の支払い及びポスト・ノーティスを命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人ゾンデルホフ・ウント・アインゼル有限会社は、申立人法律会計特許一般労働組合および同ゾンデルホフ分会に所属の組合員X1に対して行った、昭和59年2月13日から同年6月13日までの間の同人の育児時間取得にかかる賃金カットについて、同カット相当分を同人に支払わなければならない。 2 被申立人会社は、本命令受領の日から一週間以内に、55センチメート×80センチメートル(新聞紙2頁大)の白紙に、下記内容を楷書で明瞭墨書して、被申立人会社の正面入口に10日間掲示しなければならない。 記 昭和 年 月 日 法律会計特許一般労働組合 執行委員長 X2 殿 法律会計特許一般労働組合ゾンデルホフ分会 分 会 長 X3 殿 ゾンデルホフ・ウント・アインゼル有限会社 代表取締役 Y1 当社が貴組合および貴分会に所属の組合員X1氏に対し、(1)同氏が昭和59年2月13日から同年6月13日まで育児時間を取得したことを、無断遅刻・早退であるとして賃金カットしたこと、(2)同氏を威迫し、貴組合および貴分会役員を中傷・誹謗するような言動を行ったことおよび同氏に仕事を与えなかったことは、いずれも不当労働行為であると東京都地方労働委員会において認定されました。 今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。 (注、年月日は掲示した日を記載すること。) 3 被申立人会社は前記各項を履行したときは、すみやかに委員会に文書で報告しなければならない。 |
判定の要旨 |
1203 その他給与決定上の取扱い
1600 休暇の取扱い
X1の育児時間の請求を認めず、これを遅刻・早退扱いとし賃金カットをしたことが、不当労働行為であるとされた例。
2700 威嚇・暴力行為
育児時間を取得したX1に対し、会社管理職らが、同人の育児時間の取得を妨げるような威迫的言動を行い、同時に組合及び分会役員を中傷・誹謗する旨の発言を行ったこと、また、仕事を与えないなどのいやがらせを行ったことが、組合員であるが故の不利益扱いであり、組合の弱体化を意図した不当労働行為であるとされた例。
4613 P.Nのみを命じ、他の救済の必要性を認めなかった例
育児時間取得中のX1に対する会社職制の言動等の救済については、同人の育児時間取得の期間がすでに経過してしまっていること等の事情を考慮し、ポスト・ノーティスのみを命ずることとされた例。
4820 単一組織の支部・分会等
申立人分会は、申立人組合の下部組織にすぎず、労組法上、独立した組合ではなく、労組法5条1項により申立人適格を有しないから、申立人分会の申立ては却下すべきであるとの会社主張につき、分会の性格について労使間で問題となっていたことは窺われるが、本件申立時以降の分会は労組法2条及び5条2項の規定に適合しているので、申立人適格を有するとして斥けた例。
5124 その他の審査手続
X1の育児時間の請求問題については、すでに「棚上げする」旨の協定が成立しているから、本件申立てのうち少くとも育児時間請求に係る賃金カット分のバック・ペイを求める部分は却下されるべきであるとの会社の主張を斥けた例。
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業種・規模 |
専門サービス業(法律事務所、経営コンサルタント業等) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集77集196頁 |
評釈等情報 |
労働経済判例速報 1221号 
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