労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  住友電気工業 
事件番号  大阪地労委 昭和53年(不)第94号 
大阪地労委 昭和57年(不)第32号 
申立人  X3・X4 
申立人  X2 
申立人  X1 
被申立人  住友電気工業 株式会社 
命令年月日  昭和58年12月12日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  勤務成績不良を理由に、申立人X1ら4名の本俸、生産奨励金、職務加給及び賞与について、組合員との間に格差をつけたこと、申立人X3について加給の格付けをすえ置いたこと並びに申立人X2に対する低額な退職金の支払いが争われた事件で、(1)申立人X1ら4名の本俸、生産奨励金、職務加給及び賞与の是正並びに是正日以降得たであろう諸給与相当額(年5分加算、ただし、既に支払ったものを除く)の支払い、(2)申立人X3についての加給の是正及び是正日以降得たであろう加給相当額(年5分加算、ただし、既に支払ったものを除く)の支払い、(3)申立人X2の退職金の(1)で是正された本俸に基づき計算された金額への是正、及び差額(年5分加算)の支払い、(4)申立人各人に対する文書手交を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人X1、同X2、同X3及び同X4に対し、同人らの本俸(ないしは本給)、生産奨励金、職務加給及び期末賞与ランクを次表(省略)のとおり是正されたものとして取扱い、是正日以降得たであろう諸給与相当額(既に支払ったものを除く)並びにこれに年率5分を乗じた額を支払わなければならない。
2 被申立人は、申立人X3に対し、同人の加給を昭和56年1月17日付けで6級IIIに是正されたものとして取り扱い、是正日以降得たであろう加給相当額(既に支払ったものを除く)並びにこれに年率5分を乗じた額を支払わなければならない。
3 被申立人は、申立人X2に対し、同人の退職金を上記1で是正された本俸に基づき計算された金額に是正されたものとして取り扱い、この金額と既に支払った金額との差額並びにこれに年率5分を乗じた額を支払わなければならない。
4 被申立人は、申立人越智雅典に対し、速やかに下記の文書を手交しなければならない。
             記
                     年  月  日
X1 殿
              住友電気工業株式会社
               代表取締役 Y1
 当社は、昭和49年から昭和53年7月までの、及び昭和56年の各本俸、生産奨励金、職務加給及び期末賞与について、貴殿を不当に差別して取り扱いましたが、これらの行為は、大阪府地方労働委員会において労働組合法第7条第1号に該当する不当労働行為であると認められましたので、今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
5 被申立人は、申立人X2に対し、速やかに下記の文書を手交しなければならない。
             記
                     年  月  日
X2 殿
              住友電気工業株式会社
               代表取締役 Y1
 当社は、昭和49年から昭和53年7月までの本俸、生産奨励金、職務加給及び期末賞与、昭和56年の本給並びに退職金について、貴殿を不当に差別して取り扱いましたが、これらの行為は、大阪府地方労働委員会において労働組合法第7条第1号に該当する不当労働行為であると認められましたので、ここに陳謝いたします。
6 被申立人は、申立人X3に対し、速やかに下記の文書を手交しなければならない。
             記
                     年  月  日
X3 殿
              住友電気工業株式会社
               代表取締役 Y1
 当社は、昭和49年から昭和53年7月までの、及び昭和56年の各本俸、生産奨励金、職務加給及び期末賞与並びに昭和56年1月17日付けの加給の格付けについて、貴殿を不当に差別して取り扱いましたが、これらの行為は、大阪府地方労働委員会において労働組合法第7条第1号に該当する不当労働行為であると認められましたので、今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
7 被申立人は、申立人X4に対し、速やかに下記の文書を手交しなければならない。
             記
                     年  月  日
X4 殿
              住友電気工業株式会社
               代表取締役 Y1
 当社は、昭和49年から昭和53年7月までの、及び昭和56年の各本俸、生産奨励金、職務加給及び期末賞与について、貴殿を不当に差別して取り扱いましたが、これらの行為は、大阪府地方労働委員会において労働組合法第7条第1号に該当する不当労働行為であると認められましたので、今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
8 申立人らの昭和53年8月1日から昭和55年12月22日までの間の本俸、生産奨励金、職務加給及び期末賞与の差別是正に関する申立て並びに申立人X2の昭和55年11月19日付けでなされた加給格付けの是正に関する申立てを却下する。
9 申立人らのその他の申立てを棄却する。 
判定の要旨  0200 宣伝活動
会社批判、申立人らの所属する申立外組合執行部の方針、戦術に対する批判を内容とする無署名のビラ配付等の活動が正当な組合活動とされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
勤務成績不良等を理由に、申立人らの本俸、生産奨励金、職務加給及び賞与と同一勤続年数の申立人らが所属する申立外組合の組合員平均との間に格差をつけたこと、申立人X3についての加給の格付けをすえ置いたこと並びに申立人X2に対する低額な退職金の支払いが不当労働行為とされた例。

4415 賃金是正を命じた例
賃金差別の是正として、本俸の発令時及び職務加給の定例見直し時の申立人ら各人と同一勤続年数の同人らの所属する申立外組合の組合員のそれら平均額の疎明がないことから、同平均額が明らかである各年の1月1日付けで是正されたものとして取り扱うのが相当とされた例。

5121 挙証・採証
昇級、昇格等の差別事件にあっては、申立人の側で自らの勤務成績が他の組合員の勤務成績と隔たりがなかったことを立証する必要があるとの会社主張につき、申立人らがその本俸、職務加給等について他の従業員と比べて格差が存在する事を疎明し、会社もその格差の存在は否定せず、その格差は申立人らの劣悪な勤務成績に基づく合理的公正な考課査定の結果であると抗弁しているのであるから、会社がその抗弁事由について立証すべきであるのは当然であるとして、会社主張を斥けた例。

5200 除斥期間
本俸、職務加給及び賞与についての差別は、「継続する行為」に当たるとして、49年1月1日からの是正を求める53年9月7日付け申立てにつき、申立てが個人申立てであり、差別の事実調査やその資料の収集に申立人らの所属する申立外組合の協力を得られなかったこと、申立ての遅延が申立人らの怠慢によるものとの疎明もないことから、労組法の趣旨から差別の存在を知った日もしくは知り得べきであると客観的に認められる日から1年以内は救済申立てを行うことができると解されるとし、4年8カ月の遡及請求が許容された例。

5200 除斥期間
本俸、職務加給及び賞与についての差別は、「継続する行為」に当たるとして、53年8月1日からの是正を求める56年12月23日付け申立てにつき、申立人らは53年9月7日までの昇給等について同様の申立てをなしており、この申立て後も差別が是正されることなく、毎回差別が繰り返されたのであって、申立人らは、その都度その差別を知り得べき立場にあり、また、それら差別についてその都度労委に対してその救済を申し立て得る立場にあったことから、このような場合は、労組法の趣旨から差別の存在を知った日もしくは知り得べきであると客観的に認められる日から1年以内は救済申立てを行うことができると解される場合に該当しないとして、申立日において既に1年以上経過した発令に係る部分についての請求が却下された例。

業種・規模  電気機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集74集641頁 
評釈等情報   

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