概要情報
事件名 |
唐津タクシー |
事件番号 |
佐賀地労委 昭和55年(不)第4号
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申立人 |
唐津タクシー労働組合 |
被申立人 |
株式会社 唐津タクシー |
命令年月日 |
昭和58年 4月14日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
交通事故の多いこと等を理由とする組合長X1の懲戒解雇及び予備的予告解雇、組合員の業務命令違反等の行為の軽重に関係なく退職を強要した部長の言動並びに従業員会の会員を通じた申立人組合からの脱退の慫慂等が争われた事件で、組合長X1に対する懲戒解雇及び予備的予告解雇の撤回及び定年の前日までのバック・ペイ(年6分加算)、組合長の解雇、組合からの脱退慫慂,部長の言動等による支配介入の禁止及び誓約書の交付を命じ、原職復帰については申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、X1に対する昭和55年4月22日付けの懲戒解雇及び昭和56年2月7日付けの予備的予告解雇を撤回し、懲戒解雇の日から昭和57年2月4日までの間に、解雇がなかったものとして同人が受けるはずであった諸給与相当額(退職金を含む)を同人に支払わなければならない。 2 被申立人は、前項の諸給与相当額に対して、各支払期日から完済にいたるまでの間、年6分の割合による金員を付して支給しなければならない。 3 被申立人は、申立組合の組合長を解雇したり、組合員に対して組合からの脱退を慫慂したり、行為の軽重に関係なく退職せよと発言したりして、組合の運営に支配介入してはならない。 4 被申立人は、本命令書受領後、すみやかに申立人に対して下記の文書を交付しなければならない。 記 今般、会社がX1組合長を解雇したこと及び貴組合の組合員に対して脱退を慫慂する等組合の運営に支配介入したことは、佐賀県地方労働委員会から労働組合法第7 条第1 号及び第3 号に該当する不当労働行為であると認定されました。 今後は、かかる行為を行わないことを誓約します。 昭和 年 月 日 唐津タクシー労働組合 組合長 X1 殿 株式会社 唐津タクシー 代表取締役 Y1 (注:年月日は、文書交付の日付けを記入すること) 5 申立人のその余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
0500 勤務成績不良
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
交通事故が多いこと等を理由として組合長X1を懲戒解雇及び予備的解雇に付したことが、会社の主張する理由には不合理な点が多く、また、直ちに懲戒解雇にふみ切ることも相当とは考えられず、交通事故等に籍口した不当労働行為であるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2700 威嚇・暴力行為
組合員らの業務命令違反などの行為の軽重に関係なく、退職を強要した部長の言動が不当労働行為とされた例。
2611 その他の従業員の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3411 その他の従業員の言動
従業員会の会員X2が組合員X3及びX4の自宅を訪問し、従業員会への加入を勧誘し申立人組合からの脱退を慫慂したことが、会社の意を受け若しくは意を体して行った不当労働行為にあたるとされた例。
4403 解雇後の事情と原職復帰
組合長X1の懲戒解雇の撤回、原職復帰及びバック・ペイを求める申立てにつき、同人が既に定年退職年齢の満55歳に達していることから、もはや原職復帰を命ずる必要はなく、また、バック・ペイも定年の前日までに限るのが相当であるとされた例。
4612 P.Nに替えて他の措置を命じた例
支配介入を行わないことの命令及び陳謝文の掲示を求める申立てにつき支配介入の禁止と誓約書の交付を以て足るものとされた例。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集73集274頁 |
評釈等情報 |
 
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