労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日本添加剤工業 
事件番号  東京地労委昭和56年(不)第2号
東京地労委昭和56年(不)第11号 
申立人  総評全国一般労働組合東京地方本部北部地域支部日本添加剤分会 
申立人  総評全国一般労働組合東京地方本部 
被申立人  日本添加剤工業 株式会社 
命令年月日  昭和58年 3月 1日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  申立人である組合地本及び分会が連名で行った就業規則変更等に関する団交申入れに対し、地本は団交の「対向当事者」たりえず、また、分会は労働組合としての社団性を有していないとして拒否したこと及び会社経営に関し事実を曲解・歪曲したねつ造文を掲載した分会機関紙を配布したことを理由として、分会長X1を休職及び次期増給停止処分に付したことが争われた事件で、(1)団交拒否の禁止、(2)分会長X1に対する休職指令の撤回、休職期間中の賃金カット相当額の支払い及び次期増給停止処分の撤回、増給相当額の支払い、(3)ポスト・ノーティス並びに(4)前期(2)及び(3)についての履行報告を命じた。 
命令主文  1 被申立人日本添加剤工業株式会社は、申立人総評全国一般労働組合東京地方本部と申立人総評全国一般労働組合東京地方本部北部地域支部日本添加剤分会から、団体交渉の申し入れがあったときは、前者の組合に対しては「対向当事者たりえない」とか、後者の組合に対しては「社団的性格を有していない」等を理由として、これを拒否してはならない。
2 被申立人日本添加剤工業株式会社は、申立人総評全国一般労働組合東京地方本部北部地域支部日本添加剤分会所属の組合員X1に対し、次の措置を講じなければならない。
(1) 昭和55年12月19日付の休職指令を撤回し、休職期間中の賃金カット相当額を同人に支給すること。
(2) 昭和56年1月20日付の次期増給停止処分を撤回し、同処分がなかったとすれば支給されたであろう次期増給相当額を同人に支給すること。
3 被申立人会社は、本命令書受領の日から1 週間以内に、55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2 頁大)の大きさの白紙に、下記内容を楷書で明瞭に墨書して、被申立人会社の正面入口の見易い場所に10日間掲示しなければならない。
            記
                    昭和 年 月 日
総評全国一般労働組合東京地方本部
中央執行委員長 X2 殿
総評全国一般労働組合東京地方本部
北部地域支部日本添加剤分会 
分会長 X1 殿
                 日本添加剤工業株式会社
                  代表取締役 Y1
 当社が、昭和55年12月9日付で、貴組合から申し入れのあった団体交渉を拒否したこと並びに、貴組合所属の組合員X1氏に対する、昭和55年12月19日付休職指令および昭和56年1月20日付次期増給停止処分は、いずれも不当労働行為であると東京都地方労働委員会で認定されました。 今後このような行為を繰り返さないよう留意します。
 (注、年月日は掲示した日を記載すること。)
4 被申立人会社は、前期第2項および第3項を履行したときは、すみやかに当委員会に文書で報告しなければならない。 
判定の要旨  0200 宣伝活動
申立人組合分会が「工場閉鎖」等を内容とする機関紙特集号を作成し、Y2製造部長及びY3経理係長、その他数名の従業員に配布したことにつき、(1)当時の状況からみて、分会が会社の経営を分析し見解を発表したことには無理からぬものがあり、内容もねつ造したものとはいえないこと、(2)配布の方法は、分会員がY2及びY3宅を訪問のうえ、直接手渡したほかは、分会員以外の他の数名の従業員に配布したにとどまっていること、(3)Y2は「工場閉鎖」の噂の件に直接係り合いをもつ生産現場の責任者であり、Y3は別組合の会長であるところから、分会がとくにこの両名に対し、分会の見解を訴え、理解を求めるため手渡したものと解されること等から、分会の特集号を配布した行為は責められるべき程度に正当な組合活動の範囲を逸脱したものとは認められないとされた例。

1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
申立人組合分会が、「工場閉鎖」等を内容とする機関紙特集号を作成し、職制を含む従業員数名に配布したことに対し、「警告書」を発し、その後も分会の行動が改まらないことを理由として、分会長X1を休職及び次期増給停止処分に付したことが、分会の行った問題とするに足りない情宣活動を理由にして、その中心人物たる分会長X1に不利益を課し、併せて分会の組織と活動に打撃を与えることを意図した不当労働行為とされた例。

2113 交渉団体として不適格
会社は、組合分会の結成通告を受けた際、組合地本の「代表者」の氏名を知らされただけで、同地本が「被申立人会社の雇用する労働者」を構成員の一部とする労働組合である旨の通告を受けていないことを理由に、同地本は団交の「対向当事者」たりえないとして、就業規則変更等に関する団交を拒否したことが不当労働行為とされた例。

2113 交渉団体として不適格
2210 組合員名簿・組合規約不提出
組合分会が会社に提出した必要記載事項を空欄にしたままの「分会規約基準」はひな形であり、分会そのものの規約とはいえないこと及び同分会は労組法上の社団的性格を有していないとして、申立人である組合地本及び同分会連名の団交申入れを拒否したことについて、当時分会が同「基準」に即応した社団としての実体をすでに有していたことなどが認められることから、不当労働行為にあたるとされた例。

業種・規模  化学工業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集73集163頁 
評釈等情報   

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