労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  アヅミ 
事件番号  大阪地労委 昭和61年(不)第43号 
申立人  全大阪金属産業労働組合 
被申立人  アヅミ 株式会社 
命令年月日  昭和63年 7月18日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、(1)組合員X1の営業研修及び本社営業部への配置転換、(2)組合事務所貸与等の拒否、(3)60年年末一時金の低額・遅延支給及び協定書等の締結強要、(4)時差出勤命令拒否に対する注意書の手交、(5)上記(1)等に関する要請行動に対する抗議文の手交、(6)ビラ配付に対し注意書の手交、(7)審問出席又は傍聴のための年次有給休暇申請の拒否、(8)専務らの脱退勧誘及び(4)乃至(6)に関し同一文書の掲示をしたことが争われた事件で、(1)営業研修及び営業部への配転取消し、残業手当、一律割増金の平均相当額の支払い、(2)組合事務所等の貸与及びポスト・ノーティス((1)、(2)、及び(4)乃至(8))を命じ、その余の申立ては棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合員X1に対し、昭和60年7月1日から昭和61年6月23日までの営業研修及び同月24日付け営業部への配置転換がなかったものとして取り扱い、昭和60年7月1日以降原職復帰の日までの間、同人の営業研修前3か月間の残業手当及び一律割増金の平均相当額(既に支払った金額を除く)及びこれに年率5分を乗じた金額を支払わなければならない。
2 被申立人は、申立人のアヅミ分会に対し、組合事務所及び組合掲示板の貸与並びに組合費の地チェック・オフを行うとともに、組合活動のための会社施設の利用に関し、アヅミ労働組合と同様の便宜を図らなければならない。
3 被申立人は、1メートル×2メートル大の白色木板に、下記のとおり明瞭に墨書して、速やかに会社事務所正面付近の見やすい場所に1週間掲示しなければならない。
              記
                    昭和 年 月 日
 全大阪金属産業労働組合
  執行委員長 X2 殿
 全大阪金属産業労働組合アヅミ分会
  分 会 長  X1 殿                              アヅミ株式会社
               代表取締役 Y1
 当社が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められましたので、今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
              記
(1) 貴組合員X1氏を昭和60年7月1日から昭和61年6月23日まで営業研修とし、同月24日付けで営業部へ配置転換したこと
(2) 貴分会に対し、組合事務所、組合掲示板の貸与、及び組合費のチェック・オフを行わず、組合活動のための会社施設の利用に関しアヅミ労働組合と差別的に取り扱ったこと
(3) 昭和61年2月15日、貴組合員X3氏に対し、「時差出勤の業務命令を拒否した」との内容の注意書を手交し、また、同文書を会社掲示板に掲示したこと
(4) 昭和61年5月15日に貴組合が行った要請行動に関し、「責任者の処分を検討中である」との内容の抗議文を貴分会に手交し、また、同文書を会社掲示板に掲示したこと
(5) 昭和61年6月3日、貴組合員X1氏及び同X4氏に対し、貴分会のビラ配布に関して、注意書を手交し、また同文書を会社掲示板に掲示したこと
(6) 昭和61年5月27日、当社の総務部長Y2が貴組合員X4氏の貴分会のビラ配布に関して「組合として認められるか」などの暴言をはいたこと
(7) 貴分会員に対し、昭和61年4月23日及び同年5月15日の年次有給休暇取得を否認し、欠勤扱いにしたこと
(8) 当社職制が、全アヅミ労働組合の組合員であったX5氏に対し、同組合から脱退するよう勧誘したこと
4 申立人のその他の申立ては棄却する。 
判定の要旨  1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合員X1に対し、営業所への配転命令、営業研修命令及び本社営業部への配転命令は、不当労働行為であるとされた例。

1600 休暇の取扱い
労委の審問に出席するための年次有給休暇の請求を認めず、欠勤扱いとした会社の行為が組合活動に干渉するもので不当労働行為であるとされた例。

3102 争議対抗手段
会社が組合員に対して営業研修命令の撤回等を求める組合の要請行動に対して、責任者の処分を検討中であるとの抗議文を手交し、会社掲示板に掲示したことが不当労働行為であるとされた例。

3020 組合活動への制約
3102 争議対抗手段
組合員のビラ配布に対して注意書を手交し、会社掲示板に掲示したことが組合の組合員に対するみせしめとする意図があったものとされた例。

1400 制裁処分
会社は、組合の組合員X3に対し、時差出勤の業務命令を拒否したことに対し、注意書を手交するとともに、会社掲示板に掲示したことが旧組合の組合員に対するみせしめとする意図があったものとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
3410 職制上の地位にある者の言動
組合員のビラ配布をめぐる会社部長の発言は、組合を否認したもので不当労働行為であるとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
会社のブロック長及び専務が組合員に対し、旧組合からの脱退を勧誘する発言が支配介入であるとされた例。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
2901 組合無視
会社が別組合に対して組合事務所を貸与しながら組合には貸与を行わないことが不当労働行為であるとされた例。

3103 労働協約締結をめぐる行為
旧組合は自らの判断で、本件一時金についての協定書及び覚書に調印したと認められるので、旧組合に不利な協定書等の締結を強要したとは認められないとされた例。

4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
組合員であった2名は既に会社を退職しているが、組合の申立ては旧組合又は組合の団結権への侵害を問題としているのであること等から救済利益は存在するとされた例。

4407 バックペイの支払い方法
組合員X5に対する営業研修及び営業部への配転がなければ受けるはずであった残業手当相当額等の算定にあたっては、同人の営業研修前3カ月間の平均額を算定するのが相当であるとされた例。

4837 結成または加入の行為
営業所への配転命令及び営業研修命令は、分会結成前になされた会社の行為であるが、被救済者が現に組合の組合員である以上、組合の申立ては相当であるとされた例。

業種・規模  精密機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集84集40頁 
評釈等情報   

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