概要情報
事件名 |
奈良新聞社 |
事件番号 |
奈良地労委 昭和57年(不)第4号
奈良地労委 昭和58年(不)第1号
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申立人 |
日本新聞労働組合連合 |
申立人 |
奈良新聞労働組合 |
被申立人 |
株式会社 奈良新聞社 |
命令年月日 |
昭和59年 1月13日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
チェックオフを中止したこと、組合書記局から電話を撤去したこと、会議室及び中庭の午後7時以降の使用を禁止したこと、組合との交渉決着前に部・次長にのみ夏季一時金を支給したこと、チェックオフ等の問題について誠意ある団交を行わなかったこと、年末一時金の支給にあたり、地労委への申立ての取下げ等を迫ったこと並びに給与の遅配が争われた事件で、チェックオフの再開、電話の設置、午後7時以降、会議室及び中庭の使用を許可すること、支配介入の禁止、ポスト・ノーティス並びに文書交付を命じ、組合との交渉決着前に部・次長にのみ夏季一時金を支給したこと及び不誠意団交については申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人奈良新聞労働組合に対し昭和59年2月分以降、各組合員の給与からの組合費、労働金庫借入金の返済金及び労働金庫の積立貯金の各控除事務中止措置をとりやめ、従前と同一の取り扱いをしなければならない。 2 被申立人は、申立人奈良新聞労働組合の書記局に電話を再度設置しなければならない。 3 被申立人は、申立人奈良新聞労働組合が被申立人会社の会議室及び中庭を使用するに際して、従前通り午後7時以降も許可しなければならない。 4 被申立人は、申立人奈良新聞労働組合の組合員に対し、同組合が不当労働行為救済申立をしたことをもって、「一時金の支給を遅らせる。」というような発言をしたり、現実に給与の支払いを遅らせたりするような方法で、組合員を不利益に取り扱ったり、組合活動に支配介入してはならない。 5 被申立人は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記のとおり墨書した縦1メートル、横1.5 メートルの白色木板を被申立人会社の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。 記 昭和 月 年 日 奈良新聞労働組合 執行委員長 X1 殿 株式会社 奈良新聞社 代表取締役 Y1 当社が行った下記の行為は、不当労働行為であると奈良県地方労働委員会により認定されました。よって、当社はこのことを反省し、今後このような行為を繰り返さないことを約束いたします。 記 1)昭和57年3月分以降の給与の支払いに際し、組合費等のチェックオフをしていないこと。 2)昭和57年2月に組合書記局から電話を撤去したこと。 3)昭和57年7月以降、組合が中庭及び会議室を午後7時以降使用することを禁止していること。 4)昭和57年5月17日から同年9月3日までの団体交渉に際し、団体交渉の開催を不当に長く拒否したり、団体交渉に実質的な裁量権を与えた交渉委員を出席させなかったり、会社の主張を一方的に押しつけようとしたこと。 5)本件不当労働行為救済申立事件を取り下げなければ昭和57年年末一時金の支給を遅らせるなどと会社側管理職が発言したこと、及び組合が本件不当労働行為救済申立をなしていることを理由に昭和58年1月分給与を遅配したこと。 以上、奈良県地方労働委員会の命令によって掲示します。 6 被申立人は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記文面の文書を、申立人日本新聞労働組合連合に交付しなければならない。 記 昭和 年 月 日 日本新聞労働組合連合 中央執行委員長 X2 殿 1 株式会社 奈良新聞社 代表取締役 Y1 当社が貴組合傘下の奈良新聞労働組合に対し行った下記の行為は、不当労働行為であると奈良県地方労働委員会により認定されました。よって、当社はこのことを反省し、今後このような行為を繰り返さないことを約束いたします。 記 1)昭和57年3月分以降の給与の支払いに際し、組合費等のチェックオフをしていないこと。 2)昭和57年2月に組合書記局から電話を撤去したこと。 3)昭和57年7月以降、組合が中庭及び会議室を午後7時以降使用することを禁止していること。 4)昭和57年5月17日から同年9月3日までの団体交渉に際し、団体交渉の開催を不当に長く拒否したり、団体交渉に実質的な裁量権を与えた交渉委員を出席させなかったり、会社の主張を一方的に押しつけようとしたこと。 5)本件不当労働行為救済申立事件を取り下げなければ昭和57年年末一時金の支給を遅らせるなどと会社側管理職が発言したこと、及び組合が本件不当労働行為救済申立をなしていることを理由に昭和58年1月分給与を遅配したこと。 以上、奈良県地方労働委員会の命令によって交付します。 7 申立人のその余の申立は棄却する。 |
判定の要旨 |
1201 支払い遅延・給付差別
資金繰り困難を理由とした給与の遅配について、地労委に係属中の不当労働行為救済申立事件が会社の思うように解決しないことからあえて行ったもので、不当労働行為であるとされた例。
1201 支払い遅延・給付差別
組合との交渉決着前に部・次長にのみ夏季一時金を支給したことについて、管理職以外の非組合員には組合員と同じ条件で同じ日に支給していることから、組合員に対する不利益取扱いにはあたらないとされた例。
2248 実質的権限のない交渉担当者
チェックオフ及び夏季一時金問題に関する団交において、会社側交渉委員に交渉妥結権限を与えていないこと、一方的に会社主張を押しつけようとするものであること及び団交申し入れから開催までの期間を相当長くひきのばしたことから、会社の態度が、不誠実団交とされた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
チェックオフを中止したことが、給与が口座振込になることを口実にして行った不当労働行為であるとされた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
業務運営上電話が不足していることを理由に組合書記局から電話を撤去したことが、組合活動に支障をきたすことを狙った不当労働行為であるとされた例。
3020 組合活動への制約
管理が行き届かないことを理由に会議室及び中庭の午後7時以降の使用を禁止したことが、施設管理上合理的理由がなく、不当労働行為であるとされた例。
3200 不当労働行為とされた例
支給について既に協定化されている年末一時金の支給にあたり、その交換条件として地労委への申立ての取下げ等を迫ったことが不当労働行為とされた例。
4503 他の救済との関係で団交の必要性を認めなかった例
チェックオフ及び夏季一時金に関する団交拒否の救済について、チェックオフ中止問題についてはその再開を命ずれば足り、夏季一時金問題については解決済みであり、団交を命ずる必要がないとされた例。
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業種・規模 |
出版・印刷・同関連産業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集75集69頁 |
評釈等情報 |
 
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