労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  明治屋 
事件番号  宮城地労委 昭和51年(不)第5号-1 
宮城地労委 昭和52年(不)第5号-1 
宮城地労委 昭和53年(不)第1号 
宮城地労委 昭和54年(不)第1号 
宮城地労委 昭和55年(不)第1号 
宮城地労委 昭和56年(不)第1号 
申立人  宮城一般労働組合 
申立人  総評全国一般全明治屋労働組合仙台支部 
被申立人  株式会社 明治屋仙台支店 
被申立人  株式会社 明治屋 
命令年月日  昭和61年 2月 5日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、昭和50年ないし55年の各昇給、中元及び年末賞与において、申立人組合の組合員15名を他の従業員に比し低く査定したこと、組合員16名を係長に昇格、昇給させないこと、また、組合員の大量脱退に関与したことが争われた事件で、(1)組合員15名について、昭和50年ないし55年度の各昇給、各賞与の再査定、既支払額との差額の支払い、(2)組合員11名について、昭和50年4月1日に遡って係長待遇への昇給、昇格及び職務手当の支払い、(3)脱退工作及び上記に関する文書の手交を命じ、仙台支店に対する申立ては却下した。 
命令主文  1 被申立人株式会社明治屋は、申立人総評全国一般全明治屋労働組合仙台支部に所属する別 紙記載の組合員15人について、昭和50年以降昭和55年までの各年度毎に、当該各年度の昇給 における平均査定額に組合員15名の人数を乗じて算出して得た額を原資として、既査定額を 下回らない範囲で当該各年度の昇給について再査定し、これに基づいて昭和50年度以降の賃 金を改めて計算し、その結果算出して得た額と既に支払われた賃金との差額を速やかに同人 らに対し支払わなければならない。
2 被申立人株式会社明治屋は、申立人総評全国一般全明治屋労働組合仙台支部に所属する別 紙(省略)記載の組合員15人について、昭和50年以降定額に組合員15人の人数を乗じて算出 して得た額を原資として、既査定額を下回らない範囲で当該各年度の中元賞与及び年末賞与 について再査定し、これと前記1により是正された賃金とに基づいて昭和50年度以降の中元 賞与及び年末賞与を改めて計算し、その結果算出して得た額と既に支払われた中元賞与及び 年末賞与との差額を速やかに同人らに対し支払わなければならない。
3 被申立人株式会社明治屋は、申立人総評全国一般全明治屋労働組合仙台支部に所属するX 1及びX2を係長待遇3級に、X3、X6、X5及びX6を係長待遇2級に、X7、X8、 X9、X10及びX11を係長待遇1級に、それぞれ昭和50年4月1日に遡って昇給、昇格をさ せ、さらに同人らに対し、これに伴って支給されるべき職務手当を速やかに支払わなければ ならない。
4 被申立人株式会社明治屋は、申立人総評全国一般全明治屋労働組合仙台支部及び宮城一般 労働組合に対し、それぞれ下記文書を本命令書写しの交付後速やかに手交しなければならな い。
                     記
  当社が貴組合員に対し、賃上げ、昇級、昇格につき差別を行ったこと及び脱退工作を行っ たことは、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると宮城県地方 労働委員会により認定されました。よって、貴組合及び貴組合員に陳謝するとともに、今後 はこのような行為を繰り返さないようにいたします。
                                昭和  年 月 日
   総評全国一般全明治屋労働組合仙台支部
    執行委員長 X12 殿
   宮城一般労働組合
    執行委員長 X13 殿
                        株式会社 明治屋
                         代表取締役 Y1
5 被申立人株式会社明治屋は、前記1から4までの各項について、本命令書写しの交付を受 けた日から30日以内に、その履行結果を当労働委員会へ文書をもって報告しなければならな い。
6 申立人らの被申立人株式会社明治屋仙台支店に対する申立ては、これを却下する。
7 申立人らのその余の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  1202 考課査定による差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
昭和50年度以降55年度までの各昇給及び賞与について、申立人組合の組合員15名を他の従業員に比し低く査定したことが不当労働行為とされた例。

1200 降格・不昇格
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
昭和47年以降の組合員の昇格、昇給者が他の従業員より少数であることが不当労働行為とされた例。

2621 個別的示唆・説得・非難等
申立人組合仙台支部からの大量脱退は、組合を嫌悪し、同支部の弱体化を意図する会社の本社Y2総務部長及び支店Y3課長の組合員への働きかけと密接な関与のもとになされたものと推認され、支配介入とされた。

4820 単一組織の支部・分会等
申立人組合支部は労組法2条・5条2項の要件に適合すると公益委員会議で決定されており、適法な労働組合であるとされた例。

4905 経営補助者
労組法第27条の救済命令の名宛人とされる「使用者」は、法律上独立した権利義務の帰属主体であることを要するべきであり、S支店は会社の組織の構成部分であり、救済命令の名宛人とすることはできないとされた例。

業種・規模  食料品製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集79集152頁 
評釈等情報   

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