労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  九州旅客鉄道(鹿児島不採用) 
事件番号  鹿児島地労委 昭和62年(不)第1号 
申立人  国鉄労働組合 
申立人  国鉄労働組合鹿児島地方本部 
被申立人  九州旅客鉄道 株式会社 
命令年月日  平成 1年 5月 8日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  国鉄の分割民営化に伴う新会社発足時、会社が組合員74名を採用しなかったことが争われた事件で、74名の採用、就労すべき職場・職種等についての協議、バック・ペイ及び文書手交を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、別表記載の組合員を昭和62年4月1日付で被申立人の社員に採用したものと して取り扱わねばならない。
2 被申立人は、別表記載の組合員の就労すべき職場及び職種について、申立人らと協議しな ければならない。
3 被申立人は、昭和62年4月1日以降別表記載の組合員を就労させるまでの間に、同人らが 被申立人より受けるはずであった賃金相当額(賞与・諸手当を含む。ただし、既に日本国有 鉄道清算事業団から支払われた金額を除く。)を同人らに支払わねばならない。
4 被申立人は、本命令受領後速やかに、下記の文書を申立人らに手交しなければならない。
                      記
                                平成元年 月 日
   国鉄労働組合
    執行委員長 X1殿
   国鉄労働組合鹿児島地方本部
    執行委員長 X2殿
                           九州旅客鉄道株式会社
                            代表取締役 Y1
  当社が、昭和62年4月1日付けで職員を採用するに際し、貴組合の組合員を貴組合の組合 員であること及び貴組合の組合活動をしたことを理由に採用しなかったことは、今般、鹿児 島県地方労働委員会において、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為 であると認定されました。
  よって、ここにその責任を認め、今後このような行為を繰り返さないことを誓約いたしま す。 
判定の要旨  1500 不採用
国鉄が、不採用者ら74名を名簿に登載しなかった行為は、会社の職員の採用手続きを利用した、実質的な整理解雇措置であり不当労働行為であるとされた例。

3900 「不利益の範囲」
本件不採用者らは、実質的には被調整解雇者に準ずる者で、精神的不利益を被っているとされた例。

4417 条件付命令・協議命令
本件不採用者ら個々人の就労すべき職場及び職種については、会社発足後の事情などを考慮し、労使間で協議するよう命じた例。

4911 解散事業における使用者
国鉄の承継法人の職員となるべき者の選定及び名簿登載行為は、設立委員の行為を代行させたものであり、ひいては承継法人の行為とみなすべきで、新会社は本件について被申立人適格を有するとされた例。

5006 採用の請求
本件不採用が不当労働行為であると認められる場合には、不採用者の採用を命ずることは、労委の裁量権の範囲であり、企業の採用の自由に抵触しないとされた例。

5121 挙証・採証
被申立人が不採用の理由を明らかにせず、審問に出頭して積極的な反論、反証を行わなかった事情のもとでは、大量観察を中心とした立証を行い、個別的立証について疎明にとどめてもやむを得ないとされた例。

5147 その他
本件採用命令は、採用に関し不利益扱いがなかった同じ状態になるよう事実上の取り扱いを命じたものであって、改革法の規定に反しないとされた例。

5143 不出頭・所在不明・消滅・死亡・承継
被申立人は、申立人らの申出に係る証人に対して反対尋問権を行使する必要を認めず、法律判断に必要な主張立証を行うときを除き審問手続には関与しないとして、事実審理を行った審問はすべて欠席した例。

業種・規模  鉄道業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集86集334頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委 平成 1年(不再)第56号 一部変更(初審命令を一部取消し)  平成 6年11月30日 決定 
 
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