労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  九州旅客鉄道・日本貨物鉄道(熊本不採用) 
事件番号  熊本地労委 昭和62年(不)第1号 
申立人  国鉄労働組合 
申立人  国鉄労働組合熊本地方本部 
申立人  国鉄労働組合熊本支部 
申立人  国鉄労働組合熊本地方本部城南支部 
被申立人  九州旅客鉄道 株式会社 
被申立人  日本貨物鉄道 株式会社 
命令年月日  平成 1年 4月25日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  国鉄の分割民営化に伴う新会社発足時、九州旅客鉄道が組合員54名を日本貨物鉄道が同 2名を採用しなかったことが争われた事件で、両会社に対しそれぞれ54名と2名の採用、就労すべき職場・職種等について誠意をもっての協議、バック・ペイ及び文書手交を命じ、陳謝文の交付及び掲示については棄却した。 
命令主文  1 被申立人九州旅客鉄道株式会社は、同社に採用を希望している別表第1記載の組合員を、 昭和62年 4月 1日付で社員に採用したものとして取り扱い、就労させなければならない。
2 被申立人日本貨物鉄道株式会社は、同社に採用を希望している別表第2記載の組合員を、 昭和62年 4月 1日けで社員に採用したものとして取り扱い、就労させなければならない。
3 被申立人九州旅客鉄道株式会社及び同日本貨物鉄道株式会社は、上記第1項及び第2項を 履行するにあたり、就労すべき職場、職種等について、申立人らと誠意をもって協議するも のとする。
4 被申立人九州旅客鉄道株式会社及び同日本貨物鉄道株式会社は、別表第1及び第2記載の 組合員が就労するまでの間、同人らが昭和62年 4月 1日に上記被申立人らの社員として採用 されていたならば受けるはずの賃金相当額と、申立外日本国有鉄道清算事業団において実際 に支払われた賃金額との差額を、同人らに対して支払わなければならない。
5 被申立人らは、本命令後速やかに、下記の文書を申立人らに手交しなければならない。
6 申立人らのその余の申立ては、これを棄却する。
                      記1
                                 平成元年 月 日
   国鉄労働組合
    執行委員長  X1 殿
   国鉄労働組合熊本地方本部
    執行委員長  X2 殿
   国鉄労働組合熊本支部
    執行委員長  X3 殿
   国鉄労働組合熊本地方本部城南支部
    執行委員長  X4 殿
                         九州旅客鉄道株式会社
                          代表取締役 Y1
  昭和62年 4月 1日の採用に際し、当社が貴組合の組合員を採用しなかったことは、今般熊 本県地方労働委員会から、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であ ると認定されました。
  今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
                      記2
                                平成元年 月 日
   国鉄労働組合
    執行委員長  X1 殿
   国鉄労働組合熊本地方本部
    執行委員長  X2 殿
   国鉄労働組合熊本支部
    執行委員長  X3 殿
   国鉄労働組合熊本地方本部城南支部
    執行委員長  X4 殿
                           日本貨物鉄道株式会社
                            代表取締役 Y2
  昭和62年 4月 1日の採用に際し、当社が貴組合の組合員を採用しなかったことは、今般熊 本県地方労働委員会から、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であ ると認定されました。
  今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。 
判定の要旨  1500 不採用
国鉄が、組合員56名を採用候補者名簿に登載せず、設立委員が同人らを新会社に採用しなかったことが不当労働行為であるとされた例。

4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
本件組合員のうち、2名は意思確認書を白紙で提出していることから、救済対象者から除外した例。

4417 条件付命令・協議命令
本件組合員の就労すべき職場、職権等の決定については、新会社発足後の事情などを勘案して、労使間で協議するよう命じた例。

4911 解散事業における使用者
国鉄が行った名簿作成行為は設立委員の行為とみなされ、設立委員の採用に関する行為については、新会社にその責任が帰属するとされた例。

4911 解散事業における使用者
国鉄と新会社とは、新会社の事業、資産、職員構成、労働条件などを総合すれば、実質的同一性を有するものとされた例。

5121 挙証・採証
被申立人らが審問に欠席し、何らの反論・反証を行わなかった点を考慮すれば、最も実行性ある措置として採用命令を発するのが適切であるとされた例。

5008 その他
労委の命令によって基本計画に定める職員数を上回る結果を生じるとしても、本件不採用が不当労働行為であると認定し、現状回復のための事実上の措置として命じるもので、労委の裁量の範囲に属するとされた例。

5147 その他
労委が採用命令を発することは、企業に認められている採用の自由を侵すものであるとの主張が斥けられた例。

業種・規模  鉄道業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集86集139頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委 平成 1年(不再)第54号/他 一部変更(初審命令を一部取消し)  平成 6年 9月 7日 決定 
中労委 平成 1年(不再)第53号/他 一部変更(初審命令を一部取消し)  平成 6年 9月 7日 決定 
 
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