労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪ローリー運輸 
事件番号  大阪地労委 昭和61年(不)第17号 
大阪地労委 昭和61年(不)第46号 
大阪地労委 昭和61年(不)第51号 
大阪地労委 昭和62年(不)第44号 
申立人  全日本運輸一般労働組合南大阪支部 
被申立人  大阪ローリー運輸 株式会社 
命令年月日  昭和63年11月21日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  会社が、(1)配車差別、(2)腕章着用を理由に就労を拒否し賃金カット、(3)ビラ配付等を理由に減給処分、(4)最低保証賃金の賃金カット、(5)物損交通事故等を理由に出勤停止処分としたことが争われた事件で、(1)配車差別の撤回及びバック・ペイ、(2)バック・ペイ、(3)乃至(5)につき各処分の撤回、バック・ペイ及びこれらに関する文書手交を命じた。 
命令主文  主   文
1 被申立人は、下記表の申立人分会員に対する車の乗せ替え及び配車差別を速やかに是正するとともに、車の乗せ替え及び配車差別がなされた日以降これらが是正されるまでの間、同人らに対して同表記載の算定期間における平均残業時間に相当する残業手当額と既払残業手当額との差額及びこれに年率5分を乗じた金額を支払わなければならない。
2 被申立人は、申立人分会員X1を除く下記表の申立人分会員に対して、昭和60年11月16日から同年12月30日までの間車に乗務して就労したものとして取扱い、この間の残業手当を含む賃金相当額(既払額を除く)及びこれに年率5分を乗じた金額を支払わなければならない。
3 被申立人は、申立人分会員X1を除く下記表の申立人分会員に対する昭和61年2月22日付けの懲戒処分(減給処分)がなかったものとして取り扱い、同人らに対して、賃金カット額及びこれに年率5分を乗じた金額を支払わなければならない。
4 被申立人は、申立人分会員X2に対する昭和61年3月24日付けの出勤停止処分並びに同X3に対する昭和61年3月24日付け及び同年4月14日付けの出勤停止処分がなかったものとして取り扱い、同人らに対して、賃金カット額及びこれに年率5分を乗じた金額を支払わなければならない。
5 被申立人は、申立人分会員X3及び同X4の昭和61年6月分及び同年7月分の最低保障賃金並びに同X5、同X6及び同X2の同年6月分の最低保障賃金について、賃金カットがなかったものとして取り扱い、同人らに対して賃金カット額及びこれに年率5分を乗じた金額を支払わなければならない。
              記
     分会員名         算 定 期 間
              昭和 年 月 ~ 年 月
       X7        59. 10  ~ 60. 3
       X5       59. 12  ~ 60. 5
       X8        59. 10  ~ 60. 3
       X6        60. 1  ~ 60. 6
       X9        60. 5  ~ 60. 10
       X10        60. 5  ~ 60. 10
    X1        59. 5  ~ 59. 10
       X3        59. 10  ~ 60. 3
       X11        59. 10  ~ 60. 3
       X4        59. 10  ~ 60. 3
       X2        59. 12  ~ 60. 3
6 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
              記
                     年  月  日
 全日本運輸一般労働組合南大阪支部
 執行委員長 X12 殿
              大阪ローリー運輸株式会社
               代表取締役 Y1
 当社が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められましたので、今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
              記
 (1) 貴組合分会員に対して、車の乗せ替え及び配車差別を行ったこと
 (2) 昭和60年11月16日から同月30日まで腕章着用を理由に就労を拒否して、貴組合員に対して、賃金カットを行ったこと
 (3) 貴組合分会員に対して、腕章着用、ビラ配布及び休憩室の無断使用を理由に昭和61年2月22日付けで減給処分を行ったこと
 (4) 貴組合分会員X3及び同X4の両氏の昭和61年6月分及び同年7月分の最低保障賃金並びに同X5、同X6及び同X2の各氏の同年6月分の最低保障賃金について、賃金カットを行ったこと
 (5) 貴組合分会員X2氏に対して昭和61年3月24日付け出勤停止処分を行ったこと、並びに同X3氏に対して昭和61年3月24日付け及び同年4月14日付けでそれぞれ出勤停止処分を行ったこと 
判定の要旨  0210 リボン・ワッペン等の着用
組合の腕章着用就労は、その目的、内容、態様等からみて、正当な組合活動を逸脱するものとはいえないとされた例。

1203 その他給与決定上の取扱い
1600 休暇の取扱い
有給休暇を取得した場合は、所定労働日数を精勤した場合に該当しないとして最低保障賃金をカットしたことが不当労働行為であるとされた例。

1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社が分会員に対し、車の乗せ替え及び配車差別を行い残業手当を減少させたことが不当労働行為であるとされた例。

1400 制裁処分
1401 労務の受領拒否
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社が分会員に対して腕章着用を理由に就労を拒否し、賃金カット及び減給処分を行ったことが不当労働行為であるとされた例。

1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
交通事故をおこした組合員2名を出勤停止処分に付したことが不当労働行為であるとされた例。

4407 バックペイの支払い方法
分会員の車の乗せ替え及び配車差別にかかる残業手当の額の算出にあたっては、その時期前6カ月の平均残業月額をもって算定するのが相当であるとされた例。

5201 継続する行為
本件配車は会社が日々異なった配車先を毎日指示することによって行われていることからみて、会社の差別意思のもとに反復連続して行われていると判断され、継続する行為に該当するとされた例。

業種・規模  道路貨物運送業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集84集497頁 
評釈等情報   

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