概要情報
| 事件名 |
大富士開発 |
| 事件番号 |
静岡地労委 昭和60年（不）第8号
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| 申立人 |
大富士労働組合 |
| 被申立人 |
大富士開発 株式会社 |
| 命令年月日 |
昭和63年10月13日 |
| 命令区分 |
全部救済（命令主文に棄却又は却下部分を含まない） |
| 重要度 |
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| 事件概要 |
会社が、（1）組合員の60年度賃上げの成績給を低く査定したこと、（2）同組合員5名を60年度に指導運転士補心得に昇格させなかったこと、（3）組合からの脱退を勧奨したことが争われた事件で、（1）成績給の再査定及び差額支払い、（2）5名の昇格及び差額支払い、（3）支配介入等に係る文書手交を命じた。 |
| 命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合員に対する昭和60年度賃金ベースアップに係る成績給については、次の各号により再査定を行い、昇給額を是正のうえ既に支給済みの賃金との差額を支払わなければならない。
(1) 申立人組合員Ｘ1、同Ｘ2、同Ｘ3、同Ｘ4、同Ｘ5及び同Ｘ6の勤務成績考課については、「欠勤」「遅刻・早退」「事故の有無」の各項目は、既に与えられている各人の得点とし、「勤務状況」「服装・態度・言語」「指示命令の実行」「車輛の保守状況」「協調性」の各項目は、別表の分布人員になるよう再査定し、その合算によって得点を是正する。その場合、既に各人が取得している得点を下回ってはならない。
(2) 申立人組合員Ｘ2、同Ｘ3、同Ｘ4、同Ｘ5及び同Ｘ6の走行キロ成績については、年間輸送日数 261日から各人の輸送期間中の年次有給休暇日数を減じた実労働日数に、大石寺営業所の申立人組合員、元申立人組合員を除く従業員（病欠者を除く）の平均実労働日数1日当たりの走行キロ数 193.0キロメートルを乗じた年間走行キロ数を12で除し得られた月間走行キロ数によって是正する。
2 被申立人は、申立人組合員Ｘ1、同Ｘ2、同Ｘ7、同Ｘ3及び同Ｘ4を昭和60年3月16日付けで指導運転士補心得に昇格させるとともに、同日以降指導運転士心得であったならば受けるはずであった技能手当月額 3,000を支払わなければならない。
3 被申立人は、第1項の差額及び第2項の金額については、支給されるべき日の翌日から年5分の割合による金員を加算して支払わなければならない。
4 被申立人は、本命令書交付の日から5日以内に下記の文書を申立人に手交しなければならない。
記
当社が貴組合を嫌悪し組合活動に介入し、組合員に対して、昇給、昇格について他の従業員と差別したことは、不当労働行為であると静岡県地方労働委員会において認定されました。今後このような行為を繰り返さないことを誓約します。
昭和 年 月 日
大富士労働組合
執行委員長 Ｘ2 様
大富士開発株式会社
代表取締役 Ｙ1
別表 分布人員
勤務 服装・ 指示 車輛の 協調性
状況 態度・ 命令 保守
言語 の実行 状況
8点 1人 2人 1人
9点 6人 3人 3人 5人
10点 2人 4人 3人 2人
13点 1人
14点 4人
15点 3人
（注）再査定にあたっては、Ｘ7、Ｘ8を加えて労組員8人で実施すること。 |
| 判定の要旨 |
1200 降格・不昇格
2901 組合無視
3010 労組法7条1号（不利益取扱い、黄犬契約）と競合
指導運転士補心得への昇格は、従来入社順であったところ、60年において、入社歴の浅い別組合の組合員らを組合の組合員を追い越して昇格させたことが不当労働行為であるとされた例。
1202 考課査定による差別
2901 組合無視
3010 労組法7条1号（不利益取扱い、黄犬契約）と競合
60年賃上げの際、その成績給について、申立人組合員中、2名に対して有額配分したのみで、その他の組合員には零査定したことが、不当労働行為であるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
会社総務部長ら会社幹部が組合東京支部の役員らに地区労からの脱退を勧奨したことが支配介入に当たるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
会社幹部が組合本部組合員に組合からの脱退を働きかけたことが支配介入に当たるとされた例。
4302 組合員資格喪失者（含組合脱退・死亡）
5142 申立意思の放棄
本件申立て後、組合を脱退したＸ9は、自らの意思をもって、会社との争いを放棄したものであるから救済の対象から除くとされた例。
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| 業種・規模 |
道路旅客運送業（バス専業） |
| 掲載文献 |
不当労働行為事件命令集84集316頁 |
| 評釈等情報 |
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