労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  第1日之出化学工業 
事件番号  京都地労委 昭和61年(不)第6号 
申立人  化学一般日之出化学工業労働組合 
申立人  化学一般労働組合連合京都滋賀地方本部 
被申立人  日之出化学工業 株式会社 
命令年月日  昭和62年10月12日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、(1)会社再建策の一環としての関連会社への出向を拒否した組合員13名を、「課付」とし、約10カ月間従前の業務を担当させず、さらに製造課へ配置換えし、従前下請企業に外注していたシュート作業等に従事させたこと、(2)団交の席上、反組合的言動を行ったこと、(3)組合掲示物の施設内貼付等の便宜供与を取止めたこと、(4)執行部の方針に反する一部組合員らと組合対策を協議したこと等が争われた事件で、課付及び製造課への配置換えの各措置を取り消し、課付前の原職に復帰させること、右及び上記(3)、(4)に関する文書掲示を命じ、その余の申立ては棄却した。 
命令主文  主       文
1 被申立人日之出化学工業株式会社は、昭和61年5月24日以降になした申立人化学一般日之出化学工業労働組合の組合員X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10、X11、X12及びX13に対する課付及び製造課への配置換の各措置を取り消し、同人らを昭和61年5月24日前の原職に復帰させなければならない。
2 被申立人は、下記内容の文章を縦1メートル横 1.5メートルの模造紙に墨書し、被申立人の本社正門付近及び苫小牧工場内の従業員に見やすい場所に10日間掲示しなければならない。
              記
 日之出化学工業株式会社は、当社が貴組合の組合員に対し課付及び製造課への配置換の各措置を行ったこと、昭和61年5月から7月にかけて貴組合の活動を制限しそれに干渉したこと並びに当社のY2総務部長が貴組合の弱体化を図る意図を以て貴組合の一部の組合員と通じ貴組合に対抗する活動を協議したことは、いずれも貴組合に対する不当労働行為であることを認めます。
 今後、このような行為をしないことを京都府地方労働委員会の命令により誓約します。
  昭和  年  月  日
 化学一般日之出化学工業労働組合
  執行委員長 X14 殿
            日之出化学工業株式会社
             代表取締役社長 Y1
3 申立人のその余の申立てを棄却する。 
判定の要旨  1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社が、申立人組合員を課付及び製造課へ配置換えの措置を行うことが、出向予定者を不利益に取扱い、また、組合運営に影響を与える不当労働行為であるとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
部長Y2の団交の場で「組合の体質を変えろ」等の発言は、組合の要求に対する見解の表明という程度のものであり支配介入とまではいえないとされた例。

2621 個別的示唆・説得・非難等
従業員及びその家族に対する合理化骨子説明文書は、労使慣行に反し、組合を無視するとの主張は、事前に組合へ掲示した内容のものであり、かつ、労使慣行の存在を示すに足りる証拠はないとして斥けた例。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
組合員が就業時間内に組合活動をしたり、掲示物を会社施設利用等の便宜供与を事実上認めていた労使慣行を、労使間の対立した時期に突然取り止めたことは支配介入であるとされた例。

3106 その他の行為
労働運動、労使関係等に関する新聞等の記事回覧は、単なる情報提供とは解されず、組合の方針を変えさせようとした意識から出たもので支配介入であるとされた例。

3102 争議対抗手段
組合対策に係る部長Hの文書は、現執行部方針に反対する組合員らと協議・検討されていたと認められるもので支配介入であるとされた例。

業種・規模  化学工業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集82集218頁 
評釈等情報   

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