概要情報
事件名 |
三浦電機 |
事件番号 |
新潟地労委 昭和59年(不)第5号
新潟地労委 昭和59年(不)第7号
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申立人 |
三浦電機労働組合 |
被申立人 |
三浦電機 株式会社 |
命令年月日 |
昭和61年 6月13日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)賃上げ等の団交において、交渉事項につき決定権のある者を出席させず、検討資料も提示しなかったこと、(2)社長らが組合及び組合活動を非難中傷する発言をしたこと、(3)組合事務所に掲揚されていた組合旗を撤去したり、組合事務所の使用も妨害したこと、(4)組合員2名の月給制移行に伴い基準内賃金を減額したこと、(5)スト参加者の精勤手当をカットしたことが争われた事件で、(1)団交において、交渉事項につき決定権限のある者を出席させ、検討資料を提示すること、(2)支配介入の禁止、(3)組合員2名の賃金是正を命じ、スト参加者の精皆勤手当カット及び陳謝文の手交及び掲示については棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人との間における賃上げ要求、一時金要求及びその他の労働条件の変更 に関する団体交渉において、代表取締役社長または交渉事項につき決定権限のある者を出席 させ、申立人が被申立人の回答ないし提案について十分に検討することができる資料を提示 しなければならない。 2 被申立人は、次の各行為をして申立人の運営に支配介入してはならない。 (1)朝礼その他従業員の集合する場所などにおいて申立人の組合活動や申立人組合員のスト 参加を非難、中傷する発言をしたり、被申立人の発行する社内報等の文書に申立人を非 難、中傷する文章を掲載して配付したりすること。 (2)申立人組合員に対し、直接、ストの中止を要請したり、「誰がスト投票したのだ」と詰 問するなどしてストへの参加を非難する発言をすること。 (3)申立人が組合事務所に掲揚した組合旗を降ろしたり、駐車場の出入口に施錠するなどし て組合事務所の使用を妨げること。 3 被申立人は、昭和59年度の賃上げ実施前の基本給について、昭和59年6月度分から申立人 組合員X1については 174,020円、申立人組合員X2については 169,800円になったものと して取り扱い、その後の給与、一時金についてそれぞれ再計算のうえ、その差額をX1及び X2に各支給しなければならない。 4 申立人のその余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1201 支払い遅延・給付差別
日給月給制から月給制へ移行するにあたって、組合員2名の基準内賃金を減額したことが不利益扱いとされた。
1204 スト・カット
ストに参加した組合員の精勤手当をカットしたことが不利益扱いであるとはいえないとされた例。
2240 説明・説得の程度
2248 実質的権限のない交渉担当者
賃上げ等に関する団交において、交渉事項につき決定権限のある者を出席させず、経理内容を示す資料も提示しなかったことが不誠意団交とされた。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
社長が申立人組合の時間外労働拒否のスト期間中の夕礼において、ストに参加しなかった非組合員や別組合の行動をねぎらい、感謝すると発言したことが不当労働行為とされた。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
社長が従業員の職場会議の席上、ストの中止を要請したことが支配介入とされた。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
社長が朝礼において、組合の時間外労働拒否が会社に損失をもたらした旨発言したことが支配介入とされた。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
組合のスト通告に関し、社長が、組合員に対し、誰がスト投票したんだ、お前もスト投票したのか等と発言したことが支配介入とされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
社長が、朝礼において前従業員に対し争議を中止するよう要請したことが支配介入とされた例。
2620 反組合的言動
組合の争議を批判する内容の社内報や文書を全従業員に配付したことが支配介入とされた例。
3020 組合活動への制約
会社職制をして組合事務所の正面入口付近に掲揚された組合旗を降ろさせたことが支配介入とされた例。
3020 組合活動への制約
組合のスト中に、駐車場の出入口に施錠するなどして組合事務所の利用を妨げたことが支配介入とされた例。
4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
4505 その他
不誠実団交であるとされた各団交の交渉事項はいずれも審問終結時には妥結しているが、将来再び同種の不当労働行為を繰り返す恐れがあるとして、将来にわたる作為を命じた。
4407 バックペイの支払い方法
4413 給与上の不利益の場合
日給月給制から月給制への移行にあたって基準内賃金を減額したことの救済として、基準内賃金を移行前の基準内賃金と同額とするよう取扱い、既支給額との差額の支給を命じた。
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業種・規模 |
電気機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集79集603頁 |
評釈等情報 |
労働経済判例速報 昭和61年7月20日 1259号(38巻20号) 3頁 
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