概要情報
事件名 |
日本ロックタイト |
事件番号 |
神奈川地労委 昭和59年(不)第5号
神奈川地労委 昭和59年(不)第20号
神奈川地労委 昭和59年(不)第25号
神奈川地労委 昭和59年(不)第27号
神奈川地労委 昭和60年(不)第8号
神奈川地労委 昭和60年(不)第19号
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申立人 |
日本ロックタイト労働組合 |
申立人 |
X1 |
被申立人 |
日本ロックタイト 株式会社 |
命令年月日 |
昭和61年 6月 6日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)新入社員に対し組合へ加入しないよう働きかけ、組合員に対し組合脱退を勧奨したこと、(2)主任への昇格につき組合員を差別したこと、(3)組合員3名につき1日分の年休を認めず、賃金カットしたこと、(4)組合員11名につき半日の年休を認めず、賃金カットしたこと、(5)組合の腕章等着用行動に対し、組合委員長を4回にわたり懲戒処分にしたこと、(6)組合員1名を本社から北関東営業所へ配転したことが争われた事件で、(1)脱退勧奨又は主任への昇格差別により組合運営に支配介入しないこと、(2)組合員3名の1日の不就労について年休として取扱うこと、(3)組合員12名の半日の不就労について年休として取扱うこと、(4)委員長に対し、各処分がなかったと同様に扱い、カットした賃金相当額を支払うこと、(5)誓約文の掲示を命じ、組合員1名の配転については棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合の組合員に組合からの脱退をもしくは新入社員に組合への不加入 を勧奨すること、又は主任への昇格について申立人組合の組合員を非組合員と差別して取り 扱うことにより、申立人組合の組合運営に支配介入してはならない。 2 被申立人は、申立人組合の組合員X2及びX3の昭和59年7月3日の不就労並びに同X4の同年 7月9日の不就労について、これを有給の基本年次休暇として取り扱わなければならない。 3 被申立人は、申立人組合の下記組合員に係る昭和59年10月1日午後の不就労につき、これ を半日の有給の年次休暇として取り扱わなければならない。 (下記組合員略) 4 被申立人は、申立人組合の執行委員長X11に対し、次の処分がなかったと同様に扱い、カ ットした賃金相当額を同人に支給しなければならない。 (下表略) 5 被申立人は、本命令受領後速やかに縦1m×横2mの白色木板に下記文書を明瞭に墨書 し、被申立人本社正門付近の従業員の見やすい場所に1週間掲示しなければならない。 記 当社が行った次の行為は、神奈川県地方労働委員会によりいずれも不当労働行為と認定さ れました。よって当社は今後再びかかる行為を繰り返さないことを契約いたします。 (1)貴組合員に対して貴組合から脱退するように働きかけたり、新入社員に対し貴組合に加 入しないように働きかけたこと。 (2)昭和58年8月25日付けの主任への昇格人事について、貴組合の組合員を非組合員と差別 して取り扱ったこと。 (3)昭和59年7月3日につき貴組合員X2及びX3の両氏から、同年7月9日につきX4氏 から、それぞれ請求のあった有給の年次休暇を認めず、賃金カットを行ったこと。 (4)昭和59年10月1日午後につき、貴組合執行委員長X11氏ほか貴組合員11名から請求のあ った半日の有給の年次休暇を認めず、賃金カットを行ったこと。 (5)貴組合が実行した腕章及びプレート着用行動に関して、貴組合執行委員長X11氏に対し て、昭和59年9月28日譴責処分、同年10月26日及び昭和60年7月23日減給処分並びに同 年8月27日謹慎(出勤停止)処分をそれぞれ行ったこと。 昭和 年 月 日 日本ロックタイト労働組合 執行委員長 X11 殿 日本ロックタイト株式会社 代表取締役 Y1 6 申立人のその余の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
1204 スト・カット
1600 休暇の取扱い
組合の時限スト通告以前になされた書記長の年次有給休暇の請求を認めず、全日分の賃金カットを行ったことは不利益扱いとされた例。
1204 スト・カット
1600 休暇の取扱い
年次有給休暇取得単位についての労基署の回答等を理由として、組合員12名の半日の年次有給休暇の請求を認めず、賃金カットを行ったことは不利益扱いとされた例。
1203 その他給与決定上の取扱い
1600 休暇の取扱い
組合員2名の労働委員会の審問に出席または傍聴するための年次休暇の請求を認めず、賃金カットしたことが不利益扱いとされた例。
1300 転勤・配転
執行委員X13を本社技術部から営業所へ配転を命じたことは不利益扱いとはいえないとされた例。
1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
3600 処分の差別
勤務時間中の腕章等の着用を理由とする組合委員長の4次にわたる減給等の懲戒処分は会社が組合活動によって蒙る不利益に比し著しく均衡を失するもので不当労働行為とされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
会社取締役の組合不加入勧奨、組合の存在を批判する発言が支配介入とされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
会社部長が組合員や新入社員に対して組合からの脱退や不加入を勧奨する発言は、会社の意を体してなされた支配介入とされた例。
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社の主任昇格人事において、組合員を非組合員と差別したことが支配介入であるとされた例。
4825 その他
組合員である会社の部課長らは、その職務上有する実質的権限からみて、労組法2条但書1号にいう「使用者の利益を代表する者」に該当せず、同人等が加入する申立人組合は申立人資格を有するとされた。
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業種・規模 |
化学工業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集79集571頁 |
評釈等情報 |
 
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