概要情報
事件名 |
別府鉄道 |
事件番号 |
兵庫地労委 昭和57年(不)第5号
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申立人 |
全国自動車交通労働組合総連合会兵庫地方本部 |
被申立人 |
別府鉄道 株式会社 |
命令年月日 |
昭和61年 5月 9日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)分会が新勤務体系の導入に反対して従来の勤務体制による勤務を続けたことを理由に、分会員が新勤務体系に移行した後も休日出勤の機会を与えなかったこと、(2)一時金について別組合員と差別して支給したこと、(3)家族手当等の各種手当について別組合員と差別したこと、(4)新車の貸与に当たり別組合員と差別したこと、(5)賃上げ等に関する団交において不誠実な態度を取ったこと等が争われた事件で、(1)休日出勤の機会を与えないことによる、差別的取扱いの禁止、(2)X1ら3名に対し、休日出勤が与えられるまでの間、それぞれが1か月間に1.4日の休日出勤をした場合に予想される月間運輸収入に基づき、賃金及び一時金を計算し、既支払額との差額の支払いを命じ、一時金差別、各種手当差別、不誠実団交等は棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人会社は、申立人組合員に対し、休日出勤の機会を与えないことにより、差別的取 扱いをしてはならない。 2 被申立人会社は、申立人組合員X1、X2及びX3に対し、昭和56年6月21日から休日出 勤の機会が与えられるまでの間、それが1箇所 1.4日の休日出勤をした場合に予想される月 間運輸収入に基づき、賃金及び一時金を計算し、既支払額との差額を支払わなければならな い。 3 申立人のその余の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
1201 支払い遅延・給付差別
申立人組合員に対する一時金について、両組合に適用されている新・旧賃金規程の差を考慮して、別組合の支給基準から新旧賃金差額を減額したものを支給したことが不利益に扱うものとは認められないとされた。
1201 支払い遅延・給付差別
家族手当等の各種手当についての、申立人組合員と別組合員との間の差は新旧賃金規程の差異に由来するものであり、申立人組合員が旧規程の適用を選択している以上不利益扱いとはいえないとされた。
1302 就業上の差別
組合員X1に対し、別組合とのみ合意した新車貸与基準を適用し、同人に新車を貸与しなかったことが差別扱いとはいえないとされた。
1302 就業上の差別
新勤務体系への移行に反対していた申立人組合員に対し、同組合員が新勤務体系への移行に応じた後においても、休日出勤の機会を与えなかったことが不利益取扱いであるとされた例。
1601 福利厚生上の差別
申立人組合員に対する昭和56年、57年の各旅行助成金の支給遅延は、分会が会社との合意に反する金額を要求するなどの対応に起因するものと考えるのが相当であり、会社にその責任はないとされた。
1302 就業上の差別
新勤務体制を申立人組合等と合意に至らないまま、同組合員に適用したことが不利益にあたらないとされた例。
2249 その他使用者の態度
賃上げ等に関する団交において、組合の要求を拒否したことをもって不誠実団交であるとすることはできないとされた。
4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
会社の申立人組合員に対する昭和56年の旅行助成金支給拒否は差別扱いであるが、その後組合との合意が成立し別組合員と同様に支給されていることから救済を命ずる必要はないとされた。
4414 その他の不利益の場合
別組合員との休日出勤差別の救済として、当該期間における別組合員の月間平均休日出勤日数1.4日と同等の休日出勤をした状態に回復するのが妥当であるとされた例。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集79集535頁 |
評釈等情報 |
 
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