労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  木下商事 
事件番号  京都地労委 昭和59年(不)第6号 
京都地労委 昭和59年(不)第8号 
京都地労委 昭和60年(不)第4号 
申立人  洛南合同労働組合 
被申立人  株式会社 木下商事 
命令年月日  昭和61年 3月20日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、(1)組合員の社会保険の掛金を一方的に是正したこと、(2)年末年始手当及び盆休手当の支給を廃止したこと、(3)組合事務所使用貸借契約の更新を拒否したこと、(4)組合員が脱退した旨の文書を社内に掲示したこと、(5)組合事務所の電気配線を切断したこと、(6)委員長を職務放棄等を理由に解雇したこと、(7)組合旗を破損したこと、(8)ストに対し賃金をカットしたこと、(9)有給休暇に関する協定を破棄したことが争われた事件で、年末年始手当及び盆休手当の支給、組合事務所の継続使用、及び上記(1)、(4)ないし(7)に関する誓約文の手交及び掲示を命じ、上記(8)及び(9)については棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、X1に対して昭和58年度の年末年始手当を支払わなければならない。
2 被申立人は、X1及びX2に対して昭和59年度の盆休手当を支払わなければならない。
3 被申立人は、申立人及び申立人の木下支部に対する昭和58年8月10日付組合事務所使用貸 借契約の更新拒否の意思表示を撤回し、申立人の木下支部が同契約に従って組合事務所の使 用を継続することを認めなければならない。
4 被申立人は、下記内容の文書を申立人に提出するとともに、横 1.5m×縦1mの模造紙に 墨書し、従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。
                      記
  株式会社木下商事は、当社の下記の行為が貴組合及び貴支部の運営に対する支配介入とな る不当労働行為であること並びに下記第3項及び第5項の行為が貴支部の組合員に対する不 利益取扱いとなる不当労働行為でもあることを認めます。
  今後は、このような行為をしないことを誓約します。
                      記
 (1)昭和58年10月から当社が健康保険及び厚生年金保険の従業員掛金を引き上げるに際し、   従業員に対し貴組合及び貴支部の組合活動がその原因であるかの如き印象を与える言動   をしたこと。
 (2)組合員X3が貴組合を脱退した旨の文書を社内に掲示したこと。
 (3)組合員に対する年末年始手当及び盆休手当の支給を廃止したこと。
 (4)組合事務所の電気配線を切断したこと。
 (5)貴支部の委員長であったX4を解雇したこと。
 (6)組合旗を破損したこと。
                              昭和  年  月  日
   洛南合同労働組合
    執行委員長 X5 殿
   洛南合同労働組合木下支部
    委員長 X2 殿
                         株式会社 木下商事
                          代表取締役 Y1
5 申立人のその余の請求を棄却する。 
判定の要旨  0700 職場規律違反
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
職場放棄及び従業員に対する脅迫を理由に、支部委員長X4を解雇したことが、不当労働行為とされた。

1204 スト・カット
ストライキに対する賃金カットは過剰な賃金カットであるとの組合の主張が斥けられた例。

1201 支払い遅延・給付差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
年末年始手当及び盆休手当の支給を廃止したことが、不当労働行為とされた例。

1601 福利厚生上の差別
健康保険等の掛金の控除額を引き上げたことは、単純な事務処理上のミスの是正にすぎず不当労働行為にあたらないとされた。

2625 非組合員化の言動
組合員X3の組合脱退届けを社内に掲示したことが支配介入とされた。

2625 非組合員化の言動
健康保険等の掛金の控除額を引き上げるに際し、真の原因を説明せずあたかも組合活動にその原因があるかがごとく思わせるような言動をとったことが支配介入とされた。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
組合事務所の使用貸借契約の更新を拒否したことが支配介入とされた例。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
組合事務所の電気配線を切断したことが支配介入とされた例。

3020 組合活動への制約
会社内の工場建物にくくりつけていた組合旗を会社が自力で撤去したことが支配介入とされた例。

3106 その他の行為
本人の同意を得ることなく支部委員長X4の個人債務と賃金債権とを相殺したことが組合に対する報復的意図があったとはいえないとされた例。

4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
有給休暇に関する協定を破棄する旨の通告について会社はその誤りを認め、直ちに破棄通告を撤回し、組合は異議を認めながらもカットされた賃金(供託金)を受け取っていること等から、救済を命じる実益は失われているとされた例。

業種・規模  その他の事業サービス業(建物サービス業、民営職業紹介所、警備業等) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集79集446頁 
評釈等情報   

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