労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  山水電気 
事件番号  東京地労委 昭和55年(不)第115号 
申立人  サンスイ労働組合 
被申立人  山水電気 株式会社 
命令年月日  昭和61年 3月 4日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、会社再建計画の実施に絡み発生した労使紛争過程において、組合員らに懲戒事由に該当する行為があったとして、組合幹部らを懲戒解雇(3名)、諭旨解雇(6名)し、執行委員及び一般組合員14名を出勤停止3か月ないし減給1日の各処分にしたことが争われた事件で、上記処分のうち、(1)組合幹部らに対する各解雇処分、(2)2名の組合員に対する出勤停止処分を不当労働行為として、(1)については、退職した2名を除く7名に対する原職もしくは原職相当職への復帰、バック・ペイ(ただし、当初の1年分は控除)を、(2)については各出勤停止処分がなかったものとしての取扱い、バック・ペイを命じ、その余の被処分者に関する申立て、年5分の割合による金員の付加の支払い、誓約書の交付、掲示及び社内報等への掲載については棄却した。 
命令主文  1 被申立人山水電気株式会社は、申立人サンスイ労働組合所属の別表(1)および(2)掲記(省 略)の組合員に対して、次の措置を講じなければならない。 
  (1)別表(1)掲記の組合員に対する昭和55年11月7日付懲戒解雇処分および諭旨解雇処分が なかったものとして取扱い、原職もしくは原職相当職に復帰させること。
(2)同解雇がなかったとすれば、受けるはずであった賃金相当額のうち当初の1年分を控除した 分を各支払うこと。
(3)別表(2)掲記の組合員に対する昭和55年11月7日付各出勤停止処分がなかったものとして取 扱い、同処分がなかったとすれば受けるはずであった賃金相当額を支払うこと。
2 被申立人は、前項を履行したときは、すみやかに当委員会に文書で報告しなければならな い。
3 その余の申立てを棄却する。 
判定の要旨  0203 職場闘争と業務妨害
昼休み時間中の行動とはいえ組合の三鷹支部委員長ら3名が、会議のため出かけようとしている取締役Y1に対し、執拗に要請を続けたことが、要請行動の範囲内にとどまるものとは認められないとされた例。

0202 会社施設の利用
組合が会社の許可なく、組合員を組合事務所内に宿泊せしめたことが、当時の労使の緊迫した状況からみて組合活動に必要な範囲内の利用とみるのが相当であるとされた。

0200 宣伝活動
組合のビラ貼付行為は、貼付の場所、貼付の方法、枚数・内容等いずれの点からみても情宣活動として許される範囲を逸脱したものとされた。

0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
朝礼終了後、業務に就くようにとの部長らの指示に従わず、配転の内容をめぐってこれら職制らと間で押し問答となったこと、各職場の組合員らが総務課になだれ込み、会社が組合の申し入れた事務折衝に応じないことを非難したりしたことが、行きすぎた行動であるとされた。

0203 職場闘争と業務妨害
事務所閉鎖に関連して、会社の物品搬出を阻止した活動がその手段・方法において多分に協力要請としての域を超えたものが見られ、処分の事由とされるのはやむを得ないとされた。

0202 会社施設の利用
事業所構内にある従業員の休憩所に組合員を宿泊させたり構内にテントを張り組合員を待機させる等の行動は、処分の対象とされてもやむを得ないとされた。

0203 職場闘争と業務妨害
修理品を組合の管理下に置き、会社からの引渡要求を拒否したことは、処分の対象たるを免れえないとされた。

0208 暴力・不穏当な言動を伴った組合活動
Y2部長代理に対して鞄の中味を尋ね、点検しようとするなどして鞄を携行することを妨害したことは、その手段・方法において著しく要請としての域を逸脱しており、処分の対象とされることはやむをえないとされた。

0202 会社施設の利用
事業所別館が閉鎖されるとして、それを占拠した行動であったとはいえ、会社施設を欲しいままに占拠することは許されないとされた。

0203 職場闘争と業務妨害
車両から郵便物や会社の文書を引き下ろし、さらには海外規格取得用製品サンプルを自己の管理下に移して会社の返還要求を無視し続けたことは正当な組合活動とみることはできないとされた例。

0205 第三者・取引先等への働きかけ
本社の玄関前の座り込みは、主として第三者に訴えるための方法であり、来客の出入場を阻止するものではないから組合活動としての範囲を逸脱したものとまではいえないとされた。

0414 ピケッティング
車両を構内に引き入れてピケの補強手段として配置したことは、組合の示威行為としては、その域を超えたものとして、処分の対象とされるのは止むを得ないとされた。

0414 ピケッティング
会社役員や管理職を組合員が多勢で取り囲み、大声で怒鳴ったりするなどしてその入構を阻止したことは、本来ピケとして許される範囲を超えたものであるとされた。

0203 職場闘争と業務妨害
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
職場騒擾、職場占拠等の違法行為を理由として組合役員9名を懲戒または論旨解雇処分に付したことは組合破壊ないしその弱体化を主眼においてなされた不当労働行為とされた。

1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合員X1及びX2の物品搬出妨害の行為は処分の対象たるに値せず、両名に対する出勤停止処分は不当労働行為であるとされた。

0203 職場闘争と業務妨害
1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
職場騒擾、職場占拠等の違法行為を理由として組合員12名を出勤停止等の懲戒処分に付したことは相当であるとされた。

3020 組合活動への制約
従前の取扱いに反し組合集会のための会社施設利用を不許可としたことは、組合の行動を制約せんとしたものと見ざるを得ず、組合の無許可集会を処分の対象とすることは許されないとされた。

4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
論旨解雇された組合員X1及びX13は、会社に対して自らの意思によるものと見られる退職通告をしており、両名については救済の対象としないとされた。

4408 バックペイが認められなかった例
被解雇者のバック・ペイについて、同人らにも本来懲戒責任のあることを考え、他の被処分者との均衡上、解雇された当初1年分を控除するのが相当であるとされた。

業種・規模  電気機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集79集353頁 
評釈等情報   

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