概要情報
事件名 |
東和システム |
事件番号 |
東京地労委 昭和56年(不)第128号
東京地労委 昭和57年(不)第104号
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申立人 |
電算労コンピューター関連労働組合東和システム支部 |
申立人 |
電算労コンピューター関連労働組合 |
被申立人 |
株式会社 東和システム |
命令年月日 |
昭和61年 2月18日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)団交事項のうち(1)賃上げ等について、組合員に直接文書回答したこと、(2)掲示板設置問題について不誠実な態度をとったこと、(3)旅費規程改訂問題について、別組合と先行協議をし、その結果のみを回答したこと、(4)賃金等査定基準の明示問題について、交渉を拒否したこと、(2)ビラ配付を行った組合員に警告書を発したこと、(3)社内報に業務出張の発令をうけた組合員の氏名のみ掲載しなかったこと等が争われた事件で、(1)組合の要求する団交事項について別組合と先行的に協議・妥結し、組合に対し、その結果の報告をもって回答に代えるような取扱いの禁止、(2)組合掲示板の設置問題及び賃金等の査定基準の明示問題について、誠実に団交に応じること、(3)上記(1)ないし(3)等に関するポスト・ノーティスを命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人株式会社東和システムは、申立人電算労コンピューター関連労働組合および申立 人電算労コンピューター関連労働組合東和システム支部の要求に係る団体交渉事項につい て、申立人両組合を無視ないし軽視する意図で両組合に諮ることなく申立外東和システム労 働組合と先行的に協議・妥結し、その結果の報告をもって両組合に対する回答に代えるよう な取り扱いをしてはならない。 2 被申立人会社は、申立人両組合の要求に係る組合掲示板の設置問題について誠実に団体交 渉に応じなければならず、また申立人両組合が賃金・一時金(資格手当、職務手当を含む) の査定基準の明示等に関する団体交渉を申し入れたときは、被申立人会社における賃金・一 時金(資格手当、職務手当を含む)の査定基準およびその適用方法について、妥当な説明を 加える等、誠意をもって団体交渉に応じなければならない。 3 被申立人会社は、本命令書受領の日から一週間以内に55cm×80cm(新聞紙2頁大)の白紙 に下記のとおり楷書で明瞭に墨書し、会社受付入口前に10日間掲示しなければならない。 記 昭和 年 月 日 電算労コンピューター関連労働組合 執行委員長 X1 殿 電算労コンピューター関連労働組合東和システム支部 執行委員長 X2 殿 株式会社 東和システム 代表取締役 Y1 当社が行った下記の行為は、不当労働行為であると東京都地方労働委員会において認定さ れました。今後このような行為を繰り返さないよう留意します。 記 (1)昭和56年5月16日、貴両組合所属の組合員に対してまで直接賃上げ文書回答をなし、か つ、これに対する同意書の提出を求め、また同年6月30日の夏期一時金の回答の際にも 同様の行為をしたこと、同年6月5日、三六協定締結のための従業員代表を会社自らが 指名し従業員にこれに対する同意書を提出させたこと、および貴両組合から既に仮眠室 設置の要求があったにかかわらず、同年7月24日、貴両組合に何の連絡もせず従業員代 表の新たな申し入れに対し、仮眠室の設置を認める旨の回答をしたこと。 (2)(1)貴両組合が要求していた旅費規程改訂問題について申立外東和システム労働組合と先 行的に協議妥結し、その結果のみを57年3月23日貴支部に回答したこと、(2)57年5月10 日にビラ配布活動を、同年9月2日に機関紙配布活動を行った貴両組合所属の組合員に 対して、それぞれ懲戒処分をほのめかす警告書を発したこと、ならびに57年11月4日、 会社の創立10周年記念式典において表彰の対象となった貴両組合所属の組合員5名の名 前のみを呼び上げず「その他5名」と呼ぶにとどめたこと、58年5月26日に行われた 「打ち上げ」慰労会に貴両組合所属の組合員の参加を拒否したり、58年11月1日付の社内 報「東和ニュース」に業務出張の発令を受けた貴両組合所属の組合員の氏名のみ掲載し なかったこと。 (3)貴両組合の要求に係る組合掲示板設置問題および賃金・一時金(資格手当、職務手当を 含む)の査定基準およびその適用方法について、団体交渉を拒否していること。 4 被申立人株式会社東和システムは、前第2項、第3項を履行したときは、すみやかに当委 員会に文書で報告しなければならない。 |
判定の要旨 |
2247 解決済
組合の組合掲示板設置要求について検討する旨約束していながら、組合が適当と思われる箇所を指摘したところ、その箇所を会社で使用する挙に出た会社の対応が、団交拒否に当たるとされた。
2240 説明・説得の程度
人事上の秘密であるとの理由で、賃金・一時金等の査定基準及びその適用方法について説明を拒否したことが実質的な団交拒否であるとされた。
2620 反組合的言動
朝礼終了後及び昼休み時間中に組合ビラを配付した組合員X3に対し、懲戒処分をほのめかす警告書を発し、かつ同警告書を会社掲示板に掲示したことが支配介入であるとされた。
2620 反組合的言動
組合及び組合員X4に対し、発注先からの見積り工数等会社機密にわたる内容を記載した組合機関誌を発注先で配付したとして、懲戒処分をほのめかす警告書を発したことが組合に対する嫌がらせを狙った支配介入であるとされた。
2901 組合無視
組合からの旅費規程の改訂要求には頑なに対応しながら、別組合と先行的に協議妥結し、その結果のみ申立人組合に回答したことが、支配介入であるとされた例。
2901 組合無視
組合からの退職金制度の明示要求に対しては曖昧な回答をしながら、別組合に対しては申立人組合に先行して「退職金支給基準要領」を明示しながら現行制度の運用及び今後の方向について説明をおこなったことが支配介入であるとされた例。
2901 組合無視
組合の仮眠室設置の要求に対しては、具体的回答を行わず、その後になされた従業員代表の申入れに対しては仮眠室の設置を認める旨の解答をしたことが支配介入であるとされた例。
3106 その他の行為
会社創立10周年記念において、被表彰者のうち、組合員5名についてのみ名前を個別に呼び上げず、「その他5名」と呼んだこと、「打ち上げ」慰労会に出席を予定していた組合員X3をそのメンバーから除外したこと、社内報に業務出張を受けた組合員の氏名のみ掲載しなかったことが全体として支配介入とされた例。
2901 組合無視
賃上げ及び夏期一時金について、組合の頭越しに直接組合員に対して個別的に文書回答を行い、同意書の提出を求めたことが、組合に対する支配介入とされた。
3103 労働協約締結をめぐる行為
組合の三六協定締結の要求には何ら具体的な対応を示さないでおきながら、会社自らが同協定締結のための従業員代表を指名し、従業員にこれに対する同意書を提出させたことが支配介入とされた例。
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業種・規模 |
情報サービス・調査業(ソフトウェア業等)、広告業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集79集242頁 |
評釈等情報 |
労働経済判例速報 昭和61年6月10日 1255号(37巻16号) 16頁 
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