概要情報
事件名 |
三港陸運 |
事件番号 |
三重地労委 昭和59年(不)第3号
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申立人 |
全日本運輸一般労働組合三重支部ほか個人10名 |
被申立人 |
三港陸運 株式会社 |
命令年月日 |
昭和61年 1月 8日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)和解期日の当日、早退届の時刻以前に離職した組合員に対し、職場放棄を理由に賃金カットしたこと、(2)傭車運転手に対し、今後ストに参加したら傭車契約を解除する旨の通告書を送付したこと、(3)昭和59年度夏季一時金の団交を誠実に行わず、同一時金について組合間差別をしたこと、(4)従業員控室内に掲示板の設置を認めず、同室内のビラ貼付を禁止したこと、(5)組合員3名を合理化を理由に指名解雇したことが争われた事件で、組合員3名の原職復帰及びバック・ペイ(年5分加算)の支払を、従業員控室内での掲示板の設置を認めること及び同掲示板へのビラ貼付の妨害禁止、及びこれらに関する陳謝文の手交を命じ、(1)ないし(3)については棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人三港陸運株式会社は、申立人X1、X2及びX3に対して行った昭和59年11月22 日付解雇を取り消し、同人らを原職に復帰させるとともに、解雇された日の翌日から原職に 復帰するまでの間、同人らが受けるはずであった賃金相当額及びこれに年率5分の割合によ る金員を加算して支払わなければならない。 2 被申立人三港陸運株式会社は、四日市営業所及び亀山営業所の従業員控室内に新聞紙1頁 大(55cm×40cm)程度の組合掲示板の設置を認め、当該掲示板に貼付される組合ビラの貼付 を妨害してはならない。 3 被申立人三港陸運株式会社は、申立人組合に対し、下記の文書を命令交付の日から7日以 内に手交しなければならない。 記 陳 謝 文 当社が、貴支部及び貴分会の活発な組合活動を嫌悪し、分会員X1、X2及びX3を昭和 59年11月22日に解雇したこと及び従業員控室内に掲示板の設置を認めず、かつ組合ビラをは がした行為は、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると三重県 地方労働委員会で認定されました。 ここに深く反省するとともに、今後このような行為を行わないことを固く誓約します。 昭和 年 月 日 全日本運輸一般労働組合三重支部 執行委員長 X4 殿 全日本運輸一般労働組合三重支部三港陸運分会 分会長 X5 殿 三港陸運株式会社 代表取締役 Y1 4 その余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
1203 その他給与決定上の取扱い
労委で行われる和解に出席するため、上司の指示を求めることなく独自の判断で作業に従事しなかった分会員5名に対し、職場放棄を理由に賃金カットを行ったことが不当労働行為に当たらないとされた。
1204 スト・カット
ストに参加するため独自の判断で積み荷のまま自分の車を現場に置き営業所に戻った分会員X1に対し、職場放棄を理由に賃金カットを行ったことが不当労働行為に当たらないとされた。
1201 支払い遅延・給付差別
分会員の昭和59年度夏季一時金について、別組合員より低額支給したことが、全審問を通じて別組合との間で不当な差別を受けたことについて疎明がないことから、不当労働行為に当たらないとされた。
2000 人員整理
副分会長を含む組合員3名を指名解雇したが、経営状況の書証は信用し難く、解雇直後に配転をし、アルバイトを採用していること、解雇を回避するための努力を講じていないこと、指名解雇基準を適用する具体的事実の疎明が十分でないことから、経営悪化による人員整理に籍口した不当労働行為とされた。
2249 その他使用者の態度
昭和59年度夏季一時金にかかる団交が進展しなかったのは、組合が会社回答額を不満として昨年の実績を主張しつづけたこと等から労使の主張が対立したことによるもので、会社が誠実な団交を怠ったとは認められないとされた例。
3020 組合活動への制約
組合が従業員控室に会社の許可を受けずに組合ビラを貼付したことは容認しうる限りではないが、組合の再三にわたる要求にもかかわらず、掲示板の設置を認めず、組合の貼付したビラを剥がしたことは行きすぎであり、支配介入とされた例。
5001 将来における予防、不特定な内容の請求
傭車制運転手である分会員3名の「ストに参加したことを理由に同人等を解雇(傭車契約を解除)してはならない」との請求が、将来を仮定した請求であり、本件の救済にはなじまないものであるとされた。
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業種・規模 |
道路貨物運送業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集79集58頁 |
評釈等情報 |
 
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