概要情報
事件名 |
信越化成 |
事件番号 |
長野地労委 昭和59年(不)第1号
長野地労委 昭和59年(不)第2号
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申立人 |
総評・全国一般労働組合長野地方本部 |
被申立人 |
信越化成 株式会社 |
命令年月日 |
昭和59年11月10日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
(1)無断早退による約20分間の職場放棄を理由に、分会長を懲戒解雇に、分会書記次長及び分会会計監査を7日間の出勤停止と昇給停止にそれぞれ付したこと、(2)一部の従業員のみを招集した昼休みの会合において、分会長らに対する懲戒処分理由及び内容の説明を行ったり、分会員らに組合脱退を要請し、脱退の署名を求めたこと及び分会員を排除して会社慰安会を行ったことが争われた事件で、(1)分会長に対する原職復帰、バック・ペイを含む懲戒解雇がなかったと同様の状態の回復、(2)分会書記次長に対するバック・ペイ、賃上げの実施を含む出勤停止がなかったと同様の状態の回復、(3)分会会計監査に対するバック・ペイを含む出勤停止がなかったと同様の状態の回復、(4)懲戒処分による不利益取扱いや組合脱退工作などによる支配介入の禁止、(5)誓約書の手交及びポスト・ノーティスを命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合員X1に対して、次の措置を含め、昭和59年3月30日付で通知した懲戒解雇がなかったと同様の状態に回復させなければならない。 (1) 懲戒解雇がなかったならば、信濃町工場において同人が就いていたであろう職に復帰させること。 (2) 昭和59年3月29日以降上記の職に復帰するまでの間に、同人が受けるはずであった賃金相当額を支払うこと。 2 被申立人は、申立人組合員X2に対して、次の措置を含め、昭和59年3月30日付で通知した出勤停止及び昇給停止がなかったと同様の状態に回復させなければならない。 (1) 昭和59年3月29日から同年4月4日までの間の同人が受けるはずであった賃金相当額を支払うこと。 (2) 申立人と被申立人との間で結ばれた昭和59年5月21日付協定の内容に従い、同人に対する賃上げを実施すること。 3 被申立人は、申立人組合員X3に対して、昭和59年3月29日から同年4月4日までの間の同人が受けるはずであった賃金相当額の支払いを含め、昭和59年3月30日付で通知した出勤停止がなかったと同様の状態に回復させなければならない。 4 被申立人は、申立人組合員に対して、懲戒処分を行うことにより不利益な取扱いをしたり、組合脱退工作をするなどして、申立人の運営に支配介入してはならない。 5 被申立人は、下記の誓約書を申立人に手交するとともに、同文を縦1メートル、横 1.5メートルの白色木板に、楷書で明瞭に墨書して、被申立人本社入口付近の従業員の見やすい場所に、10日間掲示しなければならない。 記 誓 約 書 当社が行った次の行為は、長野県地方労働委員会より、不当労働行為であると認定されました。当社は、今後このような行為を繰り返さないことを、長野県地方労働委員会の命令により誓約いたします。 1 申立人組合員X1、同X2及び同X3に対して、懲戒処分を行うことにより不利益な取扱いを行ったこと。 2 被申立人信濃町工場に従来から勤務していた申立人組合員に対して、脱退工作を行ったこと。 昭和 年 月 日 総評・全国一般労働組合長野地方本部 執行委員長 X4 殿 総評・全国一般労働組合長野地方本部長野支部信越化成分会 執行委員長 X1 殿 信越化成株式会社 代表取締役 Y1 |
判定の要旨 |
0700 職場規律違反
1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
無断早退による約20分間の職場放棄を理由に、分会長X1を懲戒解雇に、分会書記次長X2及び分会会計監査X3を7日間の出勤停止と昇給停止にそれぞれ付したことが、不当労働行為とされた例。
1601 福利厚生上の差別
2621 個別的示唆・説得・非難等
一部の従業員のみを招集した昼休みの会合において、分会長らに対する懲戒処分理由及び内容を説明したり、分会員らに組合脱退を要請し、脱退の署名を求めたこと及び分会員を排除して会社慰安会を行ったことが、不当労働行為とされた例。
4404 復帰後の労働条件等
分会長X1に対する懲戒解雇の取消し及び原職復帰を求めたことにつき、同人が解雇理由とされている無断早退当日従事していた清掃、整理、雪片付けなどの雑務は、新工場の操業が開始されるまでの暫定的なものだったと考えられるとして、懲戒解雇がなかったならば、新工場において同人が就いていたであろう職への復帰、バック・ペイ等を命じた例。
4411 配転・転勤・出勤停止・下車勤等の場合
分会会計監査X1に対する出勤停止及び昇給停止は不当労働行為に該当するが、組合は、昇給停止に係る部分については救済を求めていないとして、出勤停止期間の賃金相当額の支払いを含む出勤停止がなかったと同様の状態に回復させることのみ命じた例。
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業種・規模 |
化学工業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集76集395頁 |
評釈等情報 |
 
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