労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  イサヲ製作所 
事件番号  大阪地労委 昭和58年(不)第25号 
大阪地労委 昭和58年(不)第28号 
申立人  総評全国一般労働組合大阪地方連合会イサヲ労働組合 
被申立人  イサヲ製作所ことY1 
命令年月日  昭和59年10月 5日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  会社が労使間で合意した退職金協定書の作成を拒否したこと、57年度賃金是正、58年度賃上げ等に関する団交において、納得できる説明をしないなど不誠実な態度をとったこと、組合委員長X1を事業不振及び係長として不適格であるとの理由で解雇したこと、解雇等労働条件の改変については事前に合意を要する旨定めた合意協定の解約予告を行ったこと及び団交の席上において組合を誹謗、中傷する言動を行ったことが争われた事件で、退職金算定表について協定書を作成すること、57年度賃金格差是正、58年度賃上げ等について団交を実施すること及びこれらに関する文書手交を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人との間で昭和57年12月9日付けで合意した退職金算定表について、速やかに協定書を作成しなければならない。
2 被申立人は、申立人との間で、下記の議題による団体交渉を速やかに行わなければならない。
              記
(1) 昭和57年度賃金是正について
(2) 昭和58年度賃上げ及び同年夏季一時金について
3 被申立人は、申立人に対して、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
              記
                     年 月 日
 総評全国一般労働組合大阪地方連合会
 イサヲ労働組合
  執行委員長 X2 殿
                   イサヲ製作所こと
                    Y1
 私が貴組合に対して行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において労働組合法第7条第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められましたので、今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
              記
ア 昭和57年12月9日付けで合意した退職金算定表について、協定書の作成を拒否したこと
イ 昭和57年度賃金是正等について、団体交渉を拒否したこと
ウ 昭和56年12月26日付け協定について、昭和58年3月28日付けで解約の予告を行ったこと
エ 貴組合員X1氏を、昭和58年4月25日付けで解雇したこと
オ 貴組合が、総評全国一般労働組合大阪地方連合会に加盟していることに異議を述べるなどして、貴組合を誹謗、中傷し、また貴組合の反対を無視して、貴組合員を対象とする希望退職者を募集したこと 
判定の要旨  0500 勤務成績不良
2000 人員整理
会社が組合副委員長X1を経営不振及び係長職として不適格であるとの理由で解雇したことは、同人が当時活発な組合活動を行っていたことに対する不利益扱いであり、組合の弱体化を企図した支配介入であるとされた例。

2242 回答なし
2249 その他使用者の態度
会社が、57年度賃金格差是正を議題とする団交において、なんら回答を行わなかったこと、また58年度賃上げ及び同年夏季一時金を議題とする団交において、組合の回答が不満であることを理由に自己の回答を撤回したり、以後の団交においても回答を行わなかったこと、及び経営不振を理由に、組合に納得のいく説明を行わなかったことなどが不当労働行為であるとされた例。

2249 その他使用者の態度
3103 労働協約締結をめぐる行為
会社が団交の結果、合意した退職金算定表について、組合の上部団体名を付した協定書の作成を拒否していることは、団交に誠意を欠き、また組合に対する支配介入であるとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
会社が、「組合は暴力団と同じだ」、「イサヲ製作所はつぶされる」等の発言をしたこと、執拗に組合員の希望退職者を募集したことが、会社倒産の危機感をあおり、組合員にのみ退職を強要する意図でなした反組合的言動であり、不当労働行為であるとされた例。

3103 労働協約締結をめぐる行為
会社が組合員の解雇等労働条件の改変についての合意協定の解約予告を行い、引き続き組合の中心的活動家であるX1を解雇したことから、同協定解約の真の意図は、会社が組合の弱体化を企図したものと認めるのが相当であり、支配介入であるとされた例。

4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
組合副委員長X1の解雇については、裁判上の和解が成立したが、陳謝文の掲示等についての条項は解決していないこと、また同人は既に退職しているが、同人の解雇が不当労働行為である以上、同人の解雇に関する組合の申立てについては被救済利益が存在しているとされた例。

4421 文書掲示等を命じた例
裁判上の和解が成立し、退職した組合副委員長X1に関する救済として、組合が陳謝文の掲示及び手交を求めたのに対し、会社は同人の解雇を撤回し、その間の賃金を全額支給しているので、文書手交をもって十分救済の実を果たしうるとされた例。

4614 文書手交のみを命じた例
組合が56年度協定について解約予告の撤回を求めたのに対し、会社が和解により同協定の解約申入れを実質上撤回しているので、文書手交をもって十分救済の実を果たしうるとされた例。

業種・規模  電気機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集76集342頁 
評釈等情報   

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