労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日本ブリタニカ 
事件番号  東京地労委 昭和56年(不)第139号 
申立人  日本ブリタニカ労働組合 
被申立人  エンサイクロペディア・ブリタニカ(ジャパン)インコーポレーテッド 日本における代表者Y1 
被申立人  日本ブリタニカ 株式会社 
命令年月日  昭和59年 9月18日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  年末一時金等についての団交を拒否したこと、組合の頭越しに、労働条件の変更を伴う提案文書や団交中の問題について、利益誘導したりするような表現を用いた文書を組合員に配布したことが争われた事件で、誠意ある団交応諾、提案文書による支配介入の禁止、文書交付及び上記の履行状況についての地労委への報告を命じ、組合員に配布した文書において、組合が団交を引き延ばしているなどと述べたことについては、支配介入にあたるとまでは言えないとして申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人日本ブリタニカ株式会社は、申立人日本ブリタニカ労働組合の頭越しに、労働条件の変更を伴う提案文書を組合員に配布したり、また組合員に対し、同組合と団体交渉中の問題について、不安に陥れたり、利益誘導したりするような表現を用いた文書を配布するなどして、申立人組合の運営に支配介入してはならない。
2 被申立人日本ブリタニカ株式会社は、申立人組合の申し入れた昭和56年年末一時金および「自立再建基本計画」(同計画に伴う昭和56年11月9日付「申入書」を含む)を議題とする団体交渉について、
(1) 「団体交渉中は争議行為を行わない」あとの団体交渉の開催条件に固執して、これを拒否してはならない。
(2) 上記「計画」と年末一時金とを一括して妥結すべきであるとの主張に固執するなどの態度をとることなく、誠意をもってこれに応じなければならない。
3 被申立人日本ブリタニカ株式会社は、申立人組合に対し、下記文書を交付しなければならない。
              記
                   昭和 年 月 日
 日本ブリタニカ労働組合
 執行委員長 X1 殿
              日本ブリタニカ株式会社
              代表取締役 Y2
 当社が、(1)(1)貴組合と事前に協議することなく、希望退職募集(「自立再建基本計画」末尾3行の自己都合退社の実施)をしたこと、(2)貴組合の頭越しに、労働条件の変更を伴う上記「計画」書を貴組合員に配布したり、また、貴組合との団体交渉中の問題について、「社員の皆様へ(Q&A)(そのI、II)」を配布し、さらに、「お知らせ」なる文書を掲示・配布したことは、貴組合に対する支配介入であり、(2)また、上記「計画」と56年年末一時金を議題とする団体交渉申入れに対し、「団体交渉中は争議行為を行わない」との団体交渉の開催条件に固執してこれを拒否したこと、および上記「計画」と56年年末一時金との一括妥結を固執するなどの対応をしたことは、団体交渉拒否に該ると東京都地方労働委員会において認定されました。
 今後、かかる行為を繰り返さないよう留意いたします。
(注、年月日は、文書を交付した日を記載すること。)
4 被申立人日本ブリタニカ株式会社は、前項を履行したときは、すみやかに当委員会に文書で報告しなければならない。
5 その余の申立ては棄却する。 
判定の要旨  2211 団交ルールの先議
2244 特定条件の固執
年末一時金及び「再建計画」に関する団交について、団交中の争議権の不行使を団交開催条件とすることに固執して団交を拒否したことが不当労働行為であるとされた例。

2244 特定条件の固執
年末一時金及び「再建計画」に関する団交について、一時金を「再建計画」を一括妥結することに固執して団交を拒否したことが、不当労働行為であるとされた例。

2247 解決済
年末一時金に関する団交について、仮処分決定により2か月分の金員を支払っていることから、団交で云々する問題ではないとして団交を拒否したことが、不当労働行為であるとされた例。

2620 反組合的言動
会社が組合の頭越しに、全従業員に対して、労働条件の低下等を内容とする「再建計画」なる文書や同計画への協力がない時は不利益が及ぶことを示唆する趣旨の文書を配布したことが不当労働行為であるとされた例。

2620 反組合的言動
会社が組合の頭越しに、労働条件の低下等を内容とする「再建計画」に対し、協力がない時は不利益が及ぶことを示唆する趣旨の文書を掲示・配付したことが不当労働行為であるとされた例。

2620 反組合的言動
会社が配布した「社員の皆様へ」の文書において、組合が団交を引き延ばしているなどと述べたことが、支配介入にあたるとまでは言えないとされた例。

3103 労働協約締結をめぐる行為
全従業員に配布した再建計画書中の自己都合退職の申出者に対する退職金特別加算の記載が、「会社は希望退職等の雇用調整を行わない」旨定めた協約に反し、組合員の動揺をねらった支配介入にあたるとされた例。

4831 組織変更
救済申立て後、組合三役らの組合脱退に伴い、臨時大会で新たに組合役員を選出したところ、これら役員は正規の手続を経て選出されたとはいえず、したがって組合の同一性がないとした会社主張が斥けられた例。

4906 外国法人・外国法人の出先機関
4910 事業廃止に伴う新経営者
親会社である外国籍企業の日本支社は、清算段階にあり、また、業務組織を持たない持株会社化した投資会社に転化したとみられることから、被申立人となる適格性は認め難いとされた例。

業種・規模  出版・印刷・同関連産業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集76集252頁 
評釈等情報  労働判例 1985年2月15日  442号 79頁 
労働法律旬報 角尾隆信 五百蔵洋一他 1985年3月10日 1115号 65頁 

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