概要情報
事件名 |
サガテレビ |
事件番号 |
佐賀地労委 昭和54年(不)第5号
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申立人 |
民放労連サガテレビ労働組合 X1ほか1名 |
申立人 |
日本民間放送労働組合連合会 |
申立人 |
日本民間放送労働組合九州地方連合会 |
被申立人 |
株式会社 サガテレビ |
命令年月日 |
昭和59年 9月 5日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
申立人組合の組合員X1及びX2を課長乃至部次長に昇格させなかったことが争われた事件で、X1については課長、X2については課長及び部次長に昇格させたものとして取り扱うこと並びに文書交付を命じ、X1の部次長への昇格、将来における賃金差別の禁止及び、昇格させるに当たっての組合脱退勧奨の禁止については、申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、下記の申立人に対してそれぞれ下記のとおり昇格したものとして取り扱わなければならない。 記 (1) X1を昭和55年3月1日付けで課長職に昇格させること。 (2) X2を昭和53年9月1日付けで課長職に、昭和56年9月1日付けで部次長職に昇格させること。 (3) 上記(1)(2)に伴い同人らが各昇格日以降受けるべきはずの諸給与相当額と現に支給された額の差額に年5分の利息を附加して支払わなければならない。 2 被申立人は、本命令交付後速やかに下記文書を申立人組合に交付しなければならない。 記 会社は、これまで貴組合の組合員であるX1及びX2の昇格を遅らせてきましたが、このことは、このたび佐賀県地方労働委員会から、両名が組合員であること及び両名の組合活動を理由とする不当労働行為であると認定されました。 今後は、かかる行為を行わないことを誓約します。 昭和 年 月 日 株式会社 サガテレビ 代表取締役 Y1 日本民間放送労働組合連合会 中央執行委員長 X3 殿 日本民間放送労働組合九州地方連合会 執行委員長 X4 殿 民放労連サガテレビ労働組合 執行委員長 X5 殿 3 申立人のその余の請求を棄却する。 |
判定の要旨 |
1200 降格・不昇格
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
申立人組合の組合員X1及びX2について、課長以上の職位は労組法上の管理職であること及び両名にはこれら職位についての適格性がないことを理由に、両名を課長乃至部次長に昇格させなかったことが不当労働行為であるとされた例。
4415 賃金是正を命じた例
組合員2名の昇格すべき地位及びその時期を命ずるにあたって、両名と同期・同年齢で、かつ、会社における昇格の第一ステップである主任に両名とほぼ同時期に昇格した者のうち、主任から課長乃至部次長に昇格するに当たって最長の経過月数を要した者を基準として判断するのが合理的であるとされた例。
4415 賃金是正を命じた例
4419 現存格差を一挙に是正した例
組合員X1の課長職昇格にあたり、比較対象者のうち主任から課長昇格までの最長経過月数は7年8か月であることから、同人が主任昇格時期から7年8か月後の昇格人事の時期に課長職に昇格したものとして取り扱うのが相当であるとされた例。
1200 降格・不昇格
組合員X1の部次長昇格を求める申立てについて、比較対象者3名のうち未だ昇格していない者があることから、同人を部次長に昇格させるべきであるとまでは判断できないとして棄却した例。
5004 管理職への登用の請求
課長及び部次長への昇格を求める申立ては、会社の人事権に対する容喙であり、また、労働委員会が裁量によって出す救済命令にも一定の限界があるとの主張について、人事は使用者側の包括的支配下に置かれているものではなく、合理的な一定の制約を受けるものと解され、人事権の行使が合理的裁量の範囲を逸脱し、労働者の団結権を侵害するような場合には、その侵害行為を救済する機関として設けられている労働委員会は、労使関係の内部に関与し、団結権回復に必要な措置を使用者に命じ得ることができるとされた例。
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業種・規模 |
放送業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集76集207頁 |
評釈等情報 |
労働判例 1985年2月1日 441号 84頁 
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