労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  エッソ石油 
事件番号  宮城地労委 昭和52年(不)第15号 
申立人  全国石油産業労働組合協議会スタンダード・ヴァキューム石油労働組合東北分会連合会 
被申立人  エッソ石油 株式会社 
命令年月日  昭和59年 8月29日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  組合員X1及びX2に対する昭和51年度、52年度基本給及び一時金に係る人事考課を低く評価したこと並びに組合員X1をセールス・アシスタントIに、同X2をシニア・プラントマンに昇格させなかったことが争われた事件で、組合員X1に対する昭和51年度基本給、一時金の額の是正及び差額支払い、組合員X2に対する昭和51年度、52年度基本給、一時金の額の是正及び差額支払い、X2をシニア・プラントマンに昇格させること、並びに上記の履行状況の地労委への報告を命じ、同人らの昭和51年3月31日以前の昇給差別の是正及び賃金差額の支払いの申立ては却下し、組合員X1の昭和52年度基本給、一時金の額の是正及び差額支払い、同人のセールス・アシスタントIへの昇格、陳謝文及び誓約書の作成・配布については申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合員X1の昭和51年4月の基本給並びに同年度の夏季一時金及び年末一時金の額の決定につき被申立人の人事考課制度に基づく総合評価がいずれもB2以上の評価であることを前提として同年度の基本給、夏季一時金及び年末一時金の額を改めて決定し、さらにこれによって決定された基本給を基礎として被申立人の給与制度に基づいて昭和52年4月1日以降の基本給、夏季一時金及び年末一時金の額を改めて決定し、これらの額と既に被申立人がX1に支払った昭和51年4月1日以降の基本給、夏季一時金及び年末一時金の額との差額を同人に支払わなければならない。
2 被申立人は、申立人組合員X2を昭和53年4月1日付けをもってシニア・プラントマンに昇格させなければならない。
3 被申立人は、申立人組合員X2の昭和51年4月及び昭和52年4月の各基本給並びに両年度の夏季一時金及び年末一時金の額の決定につき被申立人の人事考課制度に基づく総合評価がいずれもB2以上の評価であることを前提として両年度の基本給、夏季一時金及び年末一時金の額を改めて決定し、さらにこれによって決定された基本給を基礎として、かつ、昭和53年4月1日付けシニア・プラントマン昇格を前提として被申立人の給与制度に基づいて昭和53年4月1日以降の基本給、夏季一時金及び年末一時金の額を改めて決定し、これらの額と既に被申立人がX2に支払った昭和51年4月1日以降の基本給、夏季一時金及び年末一時金の額との差額を同人に支払わなければならない。
4 被申立人は、前記1から3までの履行結果について本命令書写しの交付を受けた日から30日以内にその履行状況を当労働委員会へ文書をもって報告しなければならない。
5 申立人の申立人組合員X1及び同X2に係る昭和51年3月31日以前の不利益取扱いに関する救済の申立ては、これを却下する。
6 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  1202 考課査定による差別
組合員X1の昭和51年度基本給に関する人事考課を、職務遂行上著しく問題がある極めて限られた場合にのみ課せられるCに評価したことが不当労働行為であるとされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
1202 考課査定による差別
組合員X1の昭和51年の各一時金は、その決定において不利益取扱いと認められる基本給を基礎とするものであり、不利益取扱いであるとされた例。

1202 考課査定による差別
組合員X2の昭和52年度基本給に関する人事考課を、職務遂行上著しく問題がある極めて限られた場合にのみ課せられるCに評価したことが不当労働行為であるとされた例。

1202 考課査定による差別
組合員X2の昭和52年度一時金に関する人事考課を、職務遂行上著しく問題がある極めて限られた場合にのみ課せられるC及びCより1ランク上のX22 に評価したことが不当労働行為であるとされた例。

1202 考課査定による差別
組合員X2の昭和51年度基本給、一時金に関する人事考課を、職務遂行上著しく問題がある極めて限られた場合にのみ課せられるCに評価したことが不当労働行為であるとされた例。

1202 考課査定による差別
組合員X1の昭和52年度基本給に関する人事考課をB2 に評価したことについて、遅刻、無断電話使用等の事実があり、B2 評価をもって必ずしも不相当とは解しえず、また、このB2 評価を超える職務遂行上の事実の証明をなさないことから、不当労働行為ではないとされた例。

1202 考課査定による差別
組合員X1の昭和52年度一時金に関する人事考課をB2 に評価したことについて、このB2 評価を超える職務遂行の事実の証明をなさないことから不当労働行為ではないとされた例。

1200 降格・不昇格
組合員X2をプラントマンIからシニア・プラントマンに昇格させなかったことが不当労働行為であるとされた例。

1200 降格・不昇格
組合員X1をセールス・アシスタントIに昇格させなかったことについて、同人が昇格の資格要件を満たしていないことから、不当労働行為ではないとされた例。

5121 挙証・採証
組合員X1の昭和52年度の人事考課をB2 に評価したことが不利益取扱いであるとの主張について、かかる中等度評価においては、同人が標準以上の職務を遂行したことを立証しなければ、不当労働行為と認めることはできないとされた例。

5200 除斥期間
昇給・昇格における不利益取扱いの労委の審理の対象となるのは、昇給・昇格時期が4月1日であることからみて、終期到来後1年未満の昭和51年4月1日及び昭和52年4月1日に効果の発生した昇給・昇格のみであり、それを除く各昇給、昇格については、行為終了の日から既に1年を経過したものとして却下を免れないとされた例。

業種・規模  卸売業、小売業、飲食店 
掲載文献  不当労働行為事件命令集76集168頁 
評釈等情報  労働判例 1985年1月1・15日  440号  124頁 

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