労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日本シェーリング 
事件番号  大阪地労委 昭和58年(不)第23号 
申立人  総評合化労連化学一般日本シェーリング労働組合 
被申立人  日本シェーリング 株式会社 
命令年月日  昭和59年 6月21日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  昭和57年度賃上げにおいて「稼動率80%以下の者を賃上げの対象から除外する」いわゆる「80%条項」を組合に押しつけ、組合員X1に対して賃上げを行わなかったこと及び昭和57年夏季一時金及び同年冬季一時金について、申立人組合員の平均支給月数に差異を設けたことが争われた事件で、昭和57年度賃上げに関する協定中の「80%条項」の撤回、X1に対する「80%条項」に該当しなかったものとしての取り扱い、申立人組合員に対する昭和57年夏季一時金及び同年冬季一時金の査定部分の是正、是正した額と既支給額との差額(年5分加算)の支払い及びポスト・ノーティスを命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人と締結した昭和57年度賃上げに関する協定中、稼動率80%未満の者を賃上げ対象者から除外する旨の条項(以下「80%条項」という)を撤回するとともに、申立人組合員X1に対しては、80%条項に該当しなかったものとして取り扱わなければならない。
2 被申立人は、申立人組合員に対する昭和57年夏季一時金及び同年冬季一時金について次のとおり是正し、これによって是正した額から既に支払った額を控除した額、及びこれに年率5分を乗じた額を支払わなければならない。
 「申立人組合員各人に対する査定部分について、全日本シェーリング労働組合の組合員のうち、当該申立人組合員と同性、同学歴、同職種の者に対して支給した上記各一時金の1人当たり平均支給月数と同一になるように再査定すること
 なお、上記の再査定は、既に申立人組合員各人に支給した額を下回らない限度において行うこと」
3 被申立人は、2メートル×1メートル大の白色木板に下記のとおり明瞭に墨書して、被申立人会社正門玄関付近の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなけれなならない。
            記
                       年 月 日
総評合化労連化学一般
 日本シェーリング労働組合
 執行委員長 X2 殿
            日本シェーリング株式会社
             代表取締役 Y1
 当社が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められましたので、今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
            記
(1)昭和57年度賃上げにおいて、80%条項を内容とする協定の締結を貴組合に押しつけ、貴組合員X1を不利益に取り扱ったこと
(2)昭和57年夏季一時金及び同年冬季一時金について貴組合員を不当に低く査定して不利益に取り扱ったこと
4 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  1201 支払い遅延・給付差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
昭和57年度賃上げにおいて、欠勤、早退等の不就労時間のほかに年次有給休暇、産前産後休暇、組合活動及び団体交渉等による不就労を稼働率の算出の基礎とし、「稼働率80%以下の者を賃上げの対象から除外する」旨のいわゆる「80%条項」を組合に押しつけ、それによって組合員X1に対して賃上げを行わなかったことが不当労働行為とされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
2901 組合無視
昭和57年夏季一時金及び同年冬季一時金の支給にあたり、申立人組合員と別組合員の平均支給月数に差異を設けたことが、不当労働行為とされた例。

4413 給与上の不利益の場合
別組合員の昭和57年夏季一時金及び同年冬季一時金の平均支給月数と、申立人組合員の同平均支給月数の差額を求める申立てが、会社では、性別、学歴、職種の差異によって一時金の支給月数に差がつけられているが、両組合間においては、その構成に差異があることからみて、申立人組合の主張は失当であるとして、棄却された例。

業種・規模  化学工業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集75集413頁 
評釈等情報  労働判例 1984年10月1日  434号 69頁 

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