概要情報
事件名 |
全労済 |
事件番号 |
神奈川地労委 昭和58年(不)第11号
神奈川地労委 昭和59年(不)第1号
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申立人 |
神奈川労済労働組合 |
被申立人 |
全国労働者共済生活協同組合連合会 |
被申立人 |
全国労働者共済生活協同組合連合会神奈川県本部 |
命令年月日 |
昭和59年 5月 9日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
ストライキに対する賃金カットに関する団交拒否、同賃金カット問題に関し、暫定的措置として調印されている議事録確認の破棄通告及びストライキに対する諸手当からの賃金カットが争われた事件で、ストライキに関する賃金カットに関する団交応諾、議事録確認破棄通告書の撤回、諸手当からのカット分に相当する金額(年5分加算)の支払い及び誓約書の被申立人らの機関紙への掲載を命じ、ストライキに対する賃金カットに関する「全国統一案」の撤回を求める申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人全国労働者共済生活協同組合連合会は、申立人神奈川労済労働組合が、昭和58年4月13日に申し入れたストライキに対する賃金カットに関する団体交渉に誠実に応じなければならない。 2 被申立人全国労働者共済生活協同組合連合会神奈川県本部は、申立人神奈川労済労働組合にあてた昭和58年3月2日付け「通告書」を撤回しなければならない。 3 被申立人全国労働者共済生活協同組合連合会及び同連合会神奈川県本部は、申立人組合の実施したストライキに対する賃金カット分として昭和58年12月20日支給の組合員の賃金から控除した金額のうち、基本給からのカット分を除き、諸手当からのカット分に相当する別表C欄記載の金額に、昭和58年12月21日から同金額が支払われるまでの間年5分の割合による金員を加算して、別表記載の申立人組合の組合員に支払わなければならない。 4 被申立人全国労働者共済生活協同組合連合会及び同連合会神奈川県本部は、本命令交付後すみやかに次の文書を被申立人らの機関紙「共済時代」及び「ろうさいかながわ」に掲載しなければならない。 記 当連合会が貴組合の申し入れる団体交渉を拒否したこと、貴組合に対して、昭和57年3月3日付け議事録確認の一方的破棄通告を行ったこと及び連合会神奈川県本部が貴組合の実施したストライキに対して、昭和58年12月20日支給の賃金について、諸手当からの賃金カットを行ったことが、神奈川県地方労働委員会より労働組合法第7条第1号、第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。 よって、ここに深く反省し、これからは一切このような不当労働行為を行わないことを誓約いたします。 昭和 年 月 日 神奈川労済労働組合 殿 組合員一同 殿 全国労働者共済生活協同組合連合会 理事長 Y1 全国労働者共済生活協同組合連合会 神奈川県本部 理事長 Y2 5 申立人のその余の救済申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
1204 スト・カット
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
ストライキに対する賃金カットは、基本給のみについて行う旨の議事録確認がいまだ有効に存在していることから、基本給以外の諸手当に対する賃金カットは、同確認に反しており、不当労働行為に当たるとされた例。
2123 その他交渉出席者
団交に関する権限の委譲を受けた県本部が確実に団交に応じているので、連合会には応諾義務はない等の理由で、組合が申し入れたストライキに対する賃金カットに関する団交を拒否したことが不当労働行為とされた例。
3102 争議対抗手段
ストライキに対する賃金カットの方法につき、再提案された全国統一案についての組合との交渉が決裂したとして、同問題について、暫定的措置として労使間で調印されている議事録確認の破棄通告に及んだことが不当労働行為とされた例。
4602 組合との協議を命じた例
組合に提案された賃金カットに関する「全国統一案」の撤回を求める申立てが、同案は、今後、団交において協議されるべき問題であるとして棄却された例。
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業種・規模 |
金融業、保険業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集75集354頁 |
評釈等情報 |
労働判例 1984年9月1日 432号 83頁 
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