概要情報
事件名 |
三栄興業 |
事件番号 |
神奈川地労委 昭和58年(不)第20号
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申立人 |
全国自動車交通労働組合総連合会神奈川地方自動車交通労働組合日吉自動車学校支部 |
申立人 |
全国自動車交通労働組合総連合会神奈川地方自動車交通労働組合 |
被申立人 |
三栄興業 株式会社 |
命令年月日 |
昭和59年 4月 5日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
会社慰安旅行の宴席で社長が行った申立人組合支部加入者への脱退を促す発言、組合掲示物の一方的撤去及び掲示の際に許可を求めさせたこと、組合事務所の貸与、組合費のチェックオフ、就業時間内組合活動及び組合集会等組合用務のための会社施設利用の取扱いにおける組合間差別が争われた事件で、申立人組合支部の組合員に対する組合脱退工作及び同組合支部の組合掲示物に対する干渉の禁止、組合事務所の貸与及び組合費のチェックオフの実施、就業時間内組合活動の取扱い及びそれに伴う賃金カット並びに組合集会等組合用務のための会社内施設利用の許可について別組合と差別することの禁止並びにポスト・ノーティスを命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人会社は、社長が会社慰安旅行の宴席あいさつで申立人組合支部加入者への脱退を促す発言をするなど、申立人組合支部の組合員に対して組合脱退工作をしてはならない。 2 被申立人会社は、申立人組合支部に対して組合掲示物を一方的に撤去させたり、その掲示の際に許可を求めさせたりして、申立人組合支部の組合掲示物に干渉してはならない。 3 被申立人会社は、申立人組合支部に対して、日本自動車産業労働組合連合会民間統合労働組合日吉自動車学校支部と差別することなく、次の措置を実施しなければならない。 (1)社会通念上機能し得る程度の組合事務所を貸与すること (2)組合員の組合費チェックオフを行うこと 4 被申立人会社は、次の措置について、申立人組合支部を日本自動車産業労働組合連合会民間統合労働組合日吉自動車学校支部と差別してはならない。 (1)組合員が就業時間内の組合役員会や組合大会への出席等の組合活動に伴い遅刻、早退、欠勤等をした場合の組合用務としての取扱い及び賃金カット (2)組合集会等組合用務のための会社内施設利用の許可 5 被申立人会社は、本命令の交付を受けた後、速やかに下記文書を、縦1メートル、横2メートルの白色木板に楷書で墨書し、被申立人会社日吉自動車学校内の従業員の見やすい場所に毀損することなく7日間掲示しなければならない。 記 会社が、社長の「貴支部の結成と自交総連を誹謗し、貴支部加入者への脱退を促す」旨の発言により、貴支部組合員に対して組合脱退工作をしたこと、組合掲示物に干渉したこと並びに民労日吉支部と差別して、貴支部に対し組合事務所を貸与せず、会社内施設利用を拒否し、貴支部組合員の就業時間内の組合活動について不利益取扱いをしていること、また貴支部組合員の組合費のチェックオフに応じていないことは、このたび、神奈川県地方労働委員会によって労働組合法第7条第3号の規定に該当する不当労働行為であると認定されました。 よって、会社は、ここに深く反省し、今後再びこのような行為を繰り返さないことを固く約束します。 昭和 年 月 日 全国自動車交通労働組合総連合会 神奈川地方自動車交通労働組合 執行委員長 X1 殿
全国自動車交通労働組合総連合会 神奈川地方自動車交通労働組合 支部長 X2 殿 三栄興業株式会社 代表取締役 Y1 |
判定の要旨 |
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
会社慰安旅行の宴席で社長が行った申立人組合支部加入者への脱退を促す発言及び職制らによる同支部組合員らの自宅への訪問等が不当労働行為とされた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
2901 組合無視
別組合には組合事務所を貸与していながら、申立人組合支部に対しては貸与を拒否していることが不当労働行為とされた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
2901 組合無視
別組合については組合費のチェックオフを実施しながら、申立人組合支部の要請については必要がないとして拒否していることが不当労働行為とされた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
2901 組合無視
就業時間内の組合役員会や組合大会への出席等の組合活動について、別組合員には組合用務として扱うことにより、教習手当と乗車手当に限って賃金カットしながら、申立人組合支部組合員には組合用務と認めず、給与規定に定めるとおり諸手当や基本給について賃金カットを行っていることが不当労働行為とされた例。
2901 組合無視
3020 組合活動への制約
組合集会等組合用務のための会社施設利用について、別組合には認めながら、申立人組合支部に対しては拒否していることが不当労働行為とされた例。
3020 組合活動への制約
申立人組合支部の掲示物の内容に事実に反する部分があるとして、同掲示物を撤去させたり、掲示について許可を必要とするとしたことが不当労働行為とされた例。
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業種・規模 |
教育(自動車教習所を含む) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集75集321頁 |
評釈等情報 |
 
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