労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  ブリヂストン防振ゴム 
事件番号  静岡地労委 昭和53年(不)第6号 
申立人  総評合化労連化学一般・ブリヂストン防振ゴム労働組合 
被申立人  ブリヂストン防振ゴム 株式会社 
命令年月日  昭和59年 3月30日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  (1)会社職制による申立人組合の結成に対する干渉・妨害、同組合からの脱退工作、ビラ配布に対する妨害、組合集会の監視及び組合大会のための公民館等の利用についての妨害、(2)別組合の結成への支援・助成、同組合へ加入させるための利益誘導、(3)新入社員に対する現場指導者の選抜養成の際の組合間差別、(4)守衛所の設置及び上部団体の組合員らの入門等の拒否並びに会社施設の利用拒否、(5)申立人組合活動家に対する仕事取上げ、(6)団交における差別的対応等が争われた事件で、(1)(2)及び(3)に係る部分については、不当労働行為に当たるとして、文書の手交及びポスト・ノーティスを命じ、その余の申立ては棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、本命令書受領後速やかに下記の文書を申立人に手交するとともに、同じ内容の文書を縦1メートル、横2メートルの白紙にかい書で墨書し、被申立人の工場正門附近の従業員の見易い場所に2週間掲示しなければならない。
 なお、この年月日は申立人に手交した日、掲示した初日を記載しなければならない。
            記
 会社は、
(1) 貴組合が昭和52年7月31日に結成されるに際して、管理職である一部の課長らや、その他一部の職長らをして妨害・干渉をしたこと
(2)ア 貴組合結成翌日の同年8月1日にブリヂストン防振ゴム労働組合の結成が宣言されたが、この結成を支援・助成し、同月5日にこれが結成された後は、同組合に新入社員研修の場等を利用させるなどして加入勧誘の便宜を図り、結果として、貴組合への加入を妨げたこと
イ 貴組合結成後、昭和54年8月に至る間、貴組合員に対して、管理職である一部の課長らや、その他一部の職長らをして、貴組合を非難・中傷して脱退を勧奨したり、ブリヂストン防振ゴム労働組合へ加入勧奨をしたこと
ウ 貴組合が昭和52年8月17日に大会を開催するにあたり、地域の公民館を利用するについて管理職である一部の課長らをしてその利用を妨げる働きかけをさせたこと
 これらの行為は、いずれも貴組合に対する支配介入行為にあたるものであると静岡県地方労働委員会において認定されました。
 会社は、今後管理職らがこのような行為をすることのないよう十分注意します。
                    昭和 年 月 日
総評合化労連化学一般・
ブリヂストン防振ゴム労働組合
執行委員長 X1 様
              ブリヂストン防振ゴム株式会社
               代表取締役 Y1
2 申立人のその余の申立てを棄却する。 
判定の要旨  1302 就業上の差別
申立人組合活動家に仕事を与えないことにより、同組合組織に対する妨害・干渉を行ったとの主張につき、同組合活動家なるが故に不利益な取扱いを受けたことを認めるに足る疎明資料がないとして斥けられた例。

2901 組合無視
別組合とは、先ず、就業時間内の労使協議会で行い、ここで解決に至らない場合に午後5時以降の団交に移行する方式をとっているのに対し、申立人組合とは、はじめから午後5時以降の団交の方式をとっていることにつき、申立人組合が労使協議会の方式を忌避し、団交を選択していることの結果であり、不当労働行為に当たらないとされた例。

2500 別組合の結成・援助
別組合の結成を支援・助成し、その結成後は、同組合への加入勧奨の便宜を図ったことが、不当労働行為とされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
3020 組合活動への制約
申立人組合が会社門前で未加入従業員に対して配布した組合結成通知等を、会社職制らが取り上げたことが不当労働行為とされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2625 非組合員化の言動
管理職または下級職制らによる申立人組合員に対する脱退工作等が、不当労働行為とされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
昭和53年度賃上げ分の支給について、裁判所に仮処分申請した申立人組合を非難・中傷し、同組合からの脱退を慫慂する会社職制らの言動が不当労働行為とされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
3100 スパイ
会社下級職制らが組合集会への参加者を監視したことが不当労働行為とされた例。

2700 威嚇・暴力行為
組合が地域の公共施設である公民館を使用するについて、会社がこれを妨げる如き行為をなしたことが、不当労働行為とされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2700 威嚇・暴力行為
第一次考課査定者の立場にある会社下級職制らが、申立人組合員に対して別組合へ加入させるための利益誘導を行ったことが、不当労働行為とされた例。

2500 別組合の結成・援助
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
新入社員に対する現場指導者17名を選抜養成するにあたり、申立人組合員は1人も推薦せず、しかもその合宿訓練では、労働組合の結成を管理職として体験してきた講師に、本来の目的とは離れた組合問題を講演させたことが、意図的に申立人組合を排除し、別組合の支援・強化を図った不当労働行為とされた例。

3020 組合活動への制約
守衛所を設置し、構内への出入者のチェックを始めたこと、団交を要求し、Y2部長を訪ねた上部団体の組合員らの入門を拒否したこと等が、組合運営に対する妨害とはいえないとされた例。

2901 組合無視
3020 組合活動への制約
会社施設の利用を組合にのみ拒否したとの組合の主張が斥けられた例。

3410 職制上の地位にある者の言動
会社課長X2が、組合結成の中心的役割を果たしているX3らに対して行った組合結成を干渉・妨害する言動が、管理職として会社の意を体して行ったものとされた例。

3410 職制上の地位にある者の言動
別会社からの派遣者である下級職制らの、組合結成に対する干渉・妨害の言動が、会社の意を体して行ったものとされた例。

業種・規模  ゴム製品製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集75集268頁 
評釈等情報  労働判例 1984年6月15日  428号 69頁 

[先頭に戻る]
 
[全文情報] この事件の全文情報は約270KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。