労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  いずみの会 
事件番号  東京地労委 昭和57年(不)第42号 
申立人  日本社会福祉労働組合東京支部 
申立人  日本社会福祉労働組合東京支部みぎわ保育園分会 
被申立人  社会福祉法人 いずみの会 
命令年月日  昭和59年 1月24日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  勤務時間帯及び年次有給休暇の取扱いを変更したこと、組合宛郵便物を差出人に返送したこと、電話の使用を禁止したり、取次をしなくなったこと、上部団体である支部の参加を忌避して団交を拒否したこと、無断職場離脱、園児の父兄を対象とする署名活動、園長に対する暴力行為等を理由として執行委員長を戒告処分に付したこと、リボン闘争を理由に分会員全員を戒告処分に付したこと並びに組合員X1が地労委での調査に出頭するにあたり年休の取得を認めず、無断欠勤を理由に同人に対し戒告処分及び賃金カットを行ったことが争われた事件で、支配介入の禁止、団交応諾、執行委員長に対する戒告処分の撤回、リボン闘争を理由とする分会員全員の戒告処分の撤回、組合員X1に対する戒告処分の撤回及び賃金カット分の支払い並びに文書手交を命じ、勤務時間帯及び年次有給休暇の取扱いの変更に関する申立てについては棄却した。 
命令主文  1 被申立人社会福祉法人いずみの会は、申立人日本社会福祉労働組合東京支部みぎわ保育園分会ないし同分会執行委員長宛の郵便物を無断で差出人に返送したり、また休憩時間中における同分会所属の分会員による電話利用を禁止したり、分会員宛の電話の取次ぎを拒否したりして、申立人両組合の運営に支配介入してはならない。
2 被申立人は、申立人日本社会福祉労働組合東京支部および同みぎわ保育園分会が申入れた団体交渉を申立人支部の参加を認めないとの理由で拒否してはならない。
3 被申立人は、申立人分会執行委員長X2に対して行った昭和57年3月29日付、同年5月31日付および同年6月11日付の戒告処分をいずれも撤回しなければならない。
4 被申立人は、申立人分会所属の組合員X2、同X1、同X3、同X4、同X5、同X6、同X7、同X8、同X9、同X10、同X11、同X12および同X13に対して行った昭和57年6月28日付戒告処分をいずれも撤回しなければならない。
5 被申立人は、申立人分会所属の組合員X1に対して行った昭和57年9月24日付戒告処分を撤回するとともに賃金カット分 7,268円を支払わなければならない。
6 被申立人は、申立人両組合に対して本命令書受領の日から1週間以内に下記の文書を手交しなければならない。
            記
                    昭和 年 月 日
日本社会福祉労働組合東京支部
執行委員長 X14 殿
日本社会福祉労働組合東京支部
みぎわ保育園分会
執行委員長 X2 殿
                社会福祉法人 いずみの会
                  理事長 Y1
 当法人いずみの会の行った下記の行為は、いずれも不当労働行為であると東京都地方労働委員会において認定されました。今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。(注、年月日は、文書を手交する日を記載すること。)
            記
1. 貴分会宛の郵便物を無断で返送したこと。
2. 貴分会所属の分会員の休憩時間中の電話利用を認めず、あるいは分会員宛の電話を取次がなかったこと。
3. 貴両組合から申入れのある団体交渉を拒否していること。
4. 貴分会執行委員長および全分会員を戒告処分に付したこと。
5. 貴分会所属の分会員X1に対し、戒告処分および賃金カットを行なったこと。
7 被申立人は、主文第3項、第4項、第5項および第6項を履行したときは、すみやかに当委員会に文書で報告しなければならない。
8 その余の申立てを棄却する。 
判定の要旨  0210 リボン・ワッペン等の着用
分会員全員が行ったリボン闘争について、園の組合嫌悪の態度に対抗してやむなく行った抗議行動であり、リボンの形状は異様とはいえず、着用方法についても安全を配慮しており、職場の秩序が乱れたとか業務に支障をきたしたことは認められず、正当な組合活動であるとされた例。

1203 その他給与決定上の取扱い
1400 制裁処分
組合員X1が地労委での調査に出頭するにあたり、年休の取得を認めず、無断欠勤を理由に同人に対し戒告処分及び賃金カットを行ったことが不当労働行為とされた例。

1400 制裁処分
無断職場離脱等を理由として執行委員長を戒告処分に付したことが不当労働行為とされた例。

1400 制裁処分
園児の父兄を対象とする署名活動等を理由として執行委員長を戒告処分に付したことが不当労働行為とされた例。

1400 制裁処分
園長に対する暴力行為等を理由に執行委員長を戒告処分に付したことが不当労働行為とされた例。

1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
リボン闘争を行ったことを理由として分会員全員を戒告処分に付したことが、同闘争が正当な組合活動であることから、組合を弱体化しようとしたものであるとされた例。

1604 その他
勤務時間帯の取扱いを変更したことが、労働基準法違反の慣行を法に則して是正しようとする意図のもとに行われたものであり、かつ、職員全員に適用されることから、不当労働行為にはあたらないとされた例。

1600 休暇の取扱い
年次有給休暇における「1/2 有休」「1/3 有休」の廃止が、労働基準法違反の慣行を法に則して是正しようとする意図のもとに行われたものであり、かつ職員全員に適用されることから、不当労働行為にはあたらないとされた例。

2215 上部団体参加否認
2902 労組法7条2号(団交拒否)と競合
労働条件及び賃金等に関する団交申入れに対し、上部団体である支部が参加することを理由に団交を拒否したことが団交拒否のみならず、支配介入にもあたるとされた例。

2901 組合無視
組合宛郵便物の受領を拒否し、差出人に返送したことが、組合の存在を無視した支配介入行為であるとされた例。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
組合結成直後に電話使用を禁止し、電話の取次ぎをしなかったことが、組合活動を不当に制約する意図のもとに行われた不当労働行為であるとされた例。

業種・規模  社会保険、社会福祉 
掲載文献  不当労働行為事件命令集75集101頁 
評釈等情報   

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