概要情報
事件名 |
大阪興業 |
事件番号 |
大阪地労委 昭和57年(不)第28号
大阪地労委 昭和57年(不)第52号
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申立人 |
大阪芸能労働組合 |
被申立人 |
大阪興業 株式会社 |
命令年月日 |
昭和58年12月26日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
労働協約の解約通告、協議を経ていない希望退職者の募集、昭和57年度賃上げに関する団交における会社の経理内容を示す資料の提出拒否、同57年夏季一時金に関する団交におけるゼロ回答の繰り返し及び同一時金の不支給が争われた事件で、労働協約の解約通告がなかったものとして取り扱うこと、組合と協議を経ていない希望退職者の募集の禁止、昭和57年度賃上げについての団交の実施、昭和57年夏季一時金の支給額についての団交の実施及びその決定に基づく同一時金の速やかな支給並びに文書の手交を命じ、労働協約案についての協議の継続、すでに合意決定している労働協約等の破棄又は改訂の申出の禁止並びに57年の夏季一時金の支給額について、分会員をバンドマン以外の従業員と同等に取り扱うこと、56年夏季一時金の支給額を下回らない額の支給を求める申立てについては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人に対して、昭和57年2月26日付け及び同年5月29日付けで行った労働協約の解約通告を、なかったものとして取り扱わなければならない。 2 被申立人は、申立人と協議することなく、申立人組合所属分会員を対象とする希望退職者の募集を行ってはならない。 3 被申立人は、昭和57年度賃上げについて、申立人と誠意をもって団体交渉を行わなければならない。 4 被申立人は、申立人と昭和57年夏季一時金の支給額について速やかに誠意をもって団体交渉を行うとともに、その決定に基づいて、申立人組合所属分会員に対して、昭和57年夏季一時金を速やかに支給しなければならない。 5 被申立人は、申立人に対して下記の文書を速やかに手交しなければならない。 記 昭和 年 月 日 大阪芸能労働組合 委員長 X1 殿 大阪興業株式会社 代表取締役 Y1 当社が貴組合に対して行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第7条第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められましたので、今後このような行為を繰り返さないようにいたします。 記 (1) 貴組合との間で締結した労働協約を、昭和57年2月26日付け及び同年5月29日付けで、正当な理由なく解約通告し、貴組合と協議せずに希望退職者を募集したこと (2) 昭和57年度賃上げに関する団体交渉において、当社の経理内容を示す資料の提出を拒み、また昭和57年夏季一時金に関する団体交渉において、正当な理由なくゼロ回答を繰り返すなど、貴組合との交渉に不誠実であったこと 6 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
1201 支払い遅延・給付差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
昭和57年の賃上げのゼロ回答に抗議するビラの貼付、分会員の一部が演奏活動をなおざりにしていること等を理由に、分会員に対して57年夏季一時金を支給しなかったことが、不当労働行為とされた例。
2240 説明・説得の程度
昭和57年度賃上げに関する団交において、ベースアップゼロの回答を行いながら、会社の経理内容を示す資料の提出を拒否したことが、不当労働行為とされた例。
2242 回答なし
昭和57年夏季一時金に関する団交において、ゼロ回答を繰り返したことが不当労働行為とされた例。
3103 労働協約締結をめぐる行為
組合と協議を行うことなく、会社で就労する組合員の定員等について定めた定員協定を解約し、希望退職者の募集を行ったことが不当労働行為とされた例。
3103 労働協約締結をめぐる行為
会社に対する中傷と虚偽の事実を記したビラを会社周辺に貼付したこと及び分会員が演奏技能向上に努めるよりも闘争に走っていること等を理由にユニオン・ショップ、会社施設の利用等を定めた労働協約の解約を通告したことが不当労働行為とされた例。
4420 団交を命じた例
昭和57年夏季一時金の支給額について、分会員をバンドマン以外の従業員と同等に取り扱い、56年夏季一時金の支給額を下回らない額を支給しなければならない旨の組合の主張につき、労使の団交によって決定するの妥当であるとして棄却した例。
4602 組合との協議を命じた例
労働協約案についての協議を継続しなければならない旨の組合主張につき、会社が同案についての交渉を拒否したものとは認められず、また、同案についての団交を拒否したとの疎明もないとして棄却した例。
4601 「抽象的不作為命令」を命じた例
すでに合意決定している労働協約及びすべての協定書記載事項を誠実に遵守し、破棄又は改訂の申出をしてはならない旨の組合主張につき、会社が今後、労働協約の破棄又は改訂の申出を一方的に行うと認めるに足る疎明がないとして棄却した例。
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業種・規模 |
娯楽業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集74集756頁 |
評釈等情報 |
 
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