労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日本濾水機工業 
事件番号  神奈川地労委 昭和57年(不)第21号 
神奈川地労委 昭和57年(不)第36号 
申立人  総評全国一般労働組合神奈川地方連合日本濾水機工業支部 
被申立人  日本濾水機工業 株式会社 
命令年月日  昭和58年12月23日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  昭和56年度夏期一時金、同冬期一時金、昭和57年度給与改定、同夏期一時金及び奨励金について、組合員を低位に査定したこと並びに会社食堂内の組合掲示板周辺の壁面に貼付したポスター類を一方的に撤去したことが争われた事件で、昭和56年度夏期及び冬期一時金について、同年度の各組合員の基準内賃金月額に組合員と組合員以外の従業員との1人当たり平均較差率(1人当たり平均差額を組合員の平均基準内賃金額で除した値) 0.072、 0.104をそれぞれ乗じた額(年5分加算)、昭和57年度給与改定について、昭和56年度の各組合員の基準内賃金月額とそれに 100分の 1.008を乗じた額(年5分加算)、昭和57年度夏期一時金について、昭和56年度の各組合員の基準内賃金月額とそれに 100分の 1.008を乗じた額とを加えた額に 0.158を乗じた額(年5分加算)及び奨励金について、その算出基礎となっている昭和56年度夏期及び冬期一時金の各組合員への支払済額に、同年度の各組合員の基準内賃金額に 0.072を乗じた額及び 0.104を乗じた額をそれぞれ加えた額と各組合員への奨励金支払済額との差額(年5分加算)の支払い、会社食堂内の組合掲示板周辺の壁面に掲示したポスター類の撤去の禁止並びにポスト・ノーティスを命じた。 
命令主文  1 被申立人は、昭和56年度夏期一時金の不足分として、同年度の申立人各組合員の基準内賃金月額に 0.072を乗じた額に、昭和56年8月7日から年5分の割合による額の金員を加えて申立人各組合員に支払わなければならない。
2 被申立人は、昭和56年度冬期一時金の不足分として、同年度の申立人各組合員の基準内賃金月額に 0.104を乗じた額に、昭和56年12月24日から年5分の割合による額の金員を加えて申立人各組合員に支払わなければならない。
3 被申立人は、昭和57年度給与の不足分として、昭和56年度の申立人各組合員の基準内賃金月額に 100分の 1.008を乗じた額に、各月の支払日の翌日から年5分の割合による額の金員を加えて申立人各組合員に支払わなければならない。
4 被申立人は、昭和57年度夏期一時金の不足分として、昭和56年度の申立人各組合員の基準内賃金月額とそれに 100分の 1.008を乗じた額とを加えた額に 0.158を乗じた額に、昭和57年7月31日から年5分の割合による額の金員を加えて申立人各組合員に支払わなければならない。
5 被申立人は、昭和57年4月30日に支払われた「奨励金」として、その算出基礎となっている昭和56年度夏期一時金及び同冬期一時金の申立人各組合員への支払済額に、同年度の申立人各組合員の基準内賃金月額に 0.072を乗じた額及び 0.104を乗じた額をそれぞれ加えたうえで算出された額と申立人各組合員への奨励金支払済額との差額に、昭和57年5月1日から年5分の割合による額の金員を加えて申立人各組合員に支払わなければならない。
6 被申立人は、被申立人会社食堂内にある申立人組合掲示板周辺の壁面に、申立人組合が掲示するポスター類を撤去してはならない。
7 被申立人は、本命令交付の日から速やかに、次の誓約書を縦1メートル、横2メートルの白色木板に読みやすい字ではっきりと書き、被申立人本社正面の入口の見やすい場所に毀損することなく7日間掲示しなければならない。
            誓 約 書
 当社の行った下記の行為は、神奈川県地方労働委員会により、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。
 よって当社は、速やかに是正措置をとるとともに、今後このような行為をくり返さないことを誓います。
              記
1. 昭和56年度夏期一時金、同冬期一時金、昭和57年度給与改定、同夏期一時金及び昭和57年4月30日に支払われた「奨励金」について、貴組合員を差別して低位に査定したこと。
2. 当社食堂内の貴組合掲示板周辺の壁面に、従来から貴組合が掲示してきたポスター類を一方的に撤去し、今後の掲示を禁止したこと。
                    昭和 年 月 日
総評全国一般労働組合神奈川地方連合
日本濾水機工業支部
執行委員長 X1 殿
                    昭和 年 月 日
総評全国一般労働組合神奈川地方連合
日本濾水機工業支部
執行委員長 X1 殿

        日本濾水機工業株式会社
         代表取締役 Y1 
判定の要旨  1202 考課査定による差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
昭和56年度夏期一時金の査定において、組合員と組合員以外の従業員との間に較差をつけたことが、会社の主張する低査定の理由には合理性が見い出せないこと、前年までなかった査定が夏期一時金に導入されたこと、人事異動に関し組合の行動を理由とした低査定を会社上層部が容認していること、終結直前まで進展していた「36協定」の締結を一方的にやめ、別組合と締結したこと等からみて、不当労働行為に当たるとされた例。

1202 考課査定による差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
昭和56年度冬期一時金の査定において、組合員と組合員以外の従業員との間に較差を付けたことが、会社の主張する低査定の理由には合理性が見い出せないこと、査定原資率が前年、前々年の 7.8パーセント、7.85パーセントから20パーセントに増大されていること、一次査定での評価が同年夏期一時金の場合よりもわずかに向上している組合員も多いが、支給実績は逆に直前の同一時金のそれを大巾に下回っていること、査定期間が職制による組合脱退慫慂及び組合員以外の従業員に支払われる会社再建協力金の支払時期であったことなどからみて、不当労働行為に当たるとされた例。

1202 考課査定による差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
昭和57年度給与改定の査定において、組合員と組合員以外の従業員との間に較差をつけたことが、組合員は別組合結成直後の給与改定から急に大巾なマイナス査定に転じていること、人事異動に関し組合の行動を理由とした低査定を容認していること等からみて、不当労働行為に当たるとされた例。

1202 考課査定による差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
時間外労働時間数が少ないこと等を理由に、昭和57年度夏期一時金の査定において、組合員と組合員以外の従業員との間に較差をつけたことが不当労働行為とされた例。

3020 組合活動への制約
会社食堂内の組合掲示板周辺の壁面に貼付したポスター類を一方的に撤去したことが、会社は組合掲示板周辺の壁面へのポスター類の貼付を禁止しておらず、それについての労使間の合意ないし労使慣行が成立していたと認められることからみて、正当な組合活動の妨害を企図した不当労働行為とされた例。

4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
申立て以後、会社を退職したX2及びX3について、両名とも請求を維持する意思表示をしていることから被救済利益を有するとされた例。

業種・規模  一般機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集74集716頁 
評釈等情報   

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