概要情報
		
			
				| 事件名 | 健康保険鞍馬口病院 | 
			
				| 事件番号 | 京都地労委 昭和56年(不)第14号 
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				| 申立人 | 健康保険鞍馬口病院職員組合 | 
		
			
				| 申立人 | X1 | 
		
			
				| 被申立人 | 健康保険鞍馬口病院 | 
		
			
				| 被申立人 | 社団法人 全国社会保険協会連合会 | 
			
				| 命令年月日 | 昭和58年11月 2日 | 
			
				| 命令区分 | 全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) | 
			
				| 重要度 |  | 
			
				| 事件概要 | 組合員X1を婦長に推薦するにあたり、同人に組合を脱退して婦長に就任するのか、組合員としてとどまるのか態度決定を迫り、組合からの脱退を表明しない同人を婦長に昇任させなかったことが争われた事件で、同人の婦長への昇任、昇任に伴い同人が受けるべきはずの給与相当額の支払い及びポスト・ノーティスを命じた。 | 
			
				| 命令主文 | 1 被申立人らは、申立人X1を昭和56年11月7日付で看護婦長に昇任させるとともに、上記昇任に伴い同人が受けるはずの諸給与相当額を支払わなければならない。 2 被申立人らは、下記内容の文書を縦1メートル、横 1.5メートルの模造紙に墨書し、健康保険鞍馬口病院の食堂内の従業員の見易い場所に10日間掲示しなければならない。
 記
 当連合会及び当病院は、看護婦長の昇任に当たり、X1に対し貴組合からの脱退を慫慂し、同人が組合を脱退しないことを理由に昇任させなかったことは、不当労働行為であったことを認め、今後かかる行為はいたしません。
 以上、京都府地方労働委員会の命令により誓約いたします。
 昭和 年 月 日
 健康保険鞍馬口病院職員組合
 執行委員長 X2 殿
 X1 殿
 社団法人全国社会保険協会連合会
 会長 Y1
 健康保険鞍馬口病院
 病院長 Y2
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				| 判定の要旨 | 1200 降格・不昇格 組合からの脱退を表明しないことを理由として組合員X1を婦長に昇任させなかったことが不当労働行為とされた例。
 
 3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
 組合員X1を婦長に推薦するにあたり、同人に対し、組合を脱退して婦長に就任するのか、組合員としてとどまるのかの態度決定を迫ったことが不当労働行為とされた例。
 
 4916 企業に影響力を持つ者
 組合員X1を婦長に昇任させなかった病院の措置が不当労働行為を構成することにつき、同人に対する雇用契約上の当事者であり、かつ、病院に対して婦長は非組合員でなければならない旨の指導を行っていたことから、連合会もまた病院ともに労組法上の責任を負う立場にあるとされた例。
 
 4820 単一組織の支部・分会等
 病院の婦長は、管理職としてある程度の職務権限を有していたと認め得るものの、労組法第2条ただし書き1号に規定する使用者の利益代表者とは言えないとされた例。
 
 4905 経営補助者
 連合会の診療施設の一つにすぎない病院は独立の権利義務の主体とはなり得ず、被申立人適格を有しないとの主張につき、病院は、独立採算性を採用していること、病院長が病院の業務を総理し、職員を指揮監督して病院を運営していること、病院長が、規則その他の諸規定の制定、一般職員の給与格付決定、昇格実施、勤勉手当の支給、職員定数の決定、管理者以外の職員の任免等の権限を有していることなどから、病院は、実質的に独立の事業体として把握される一つの社会的存在であり、病院に勤務する労働者の労働関係につき実質的な決定権を有することは明らかであるとして、雇用契約上の当事者である連合会とともに、被申立人適格を有するとされた例。
 
 
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				| 業種・規模 | 医療業 | 
			
				| 掲載文献 | 不当労働行為事件命令集74集505頁 | 
			
				| 評釈等情報 | 労働判例 昭和59年3月15日  422号 81頁  
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