労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  近江産業 
事件番号  大阪地労委 昭和53年(不)第126号 
大阪地労委 昭和54年(不)第33号 
大阪地労委 昭和54年(不)第65号 
大阪地労委 昭和55年(不)第13号 
申立人  総評全国一般大阪地連近江産業労働組合 
被申立人  近江産業 株式会社 
命令年月日  昭和58年10月28日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  (1)組合員X1ら7名に対する一時金及び賃上げの低査定、(2)昭和54年度賃上げ交渉において、退職金に反映しない第2基本給及び5ランク査定の導入並びにこれらのことについて今後一切争わないことを確約することを妥結の条件とすることに固執したこと、(3)昭和54年期末報賞金の支給について、組合員らを非組合員らと差別したこと、(4)団交の席上等における会社役員の組合批判発言、(5)組合員X2に対する班長職降格及び受渡し班への配転、(6)組合員X1ら9名のみの新営業所への配転及び組合にとどまった同X1ら5名に対する不利益取扱い、(7)旅行費用補助金の社員会、組合間における差別支給及び、(8)組合員X3に対する配転が争われた事件で、(1)組合員X1ら7名に対する一時金及び賃上げにおける査定の是正及びバック・ペイ(年5分加算)、(2)昭和54年期末報賞金について、その支給額が非組合員の平均支給額に達しない組合員に対し、同平均支給額と既支給額との差額(年5分加算)の支払い、(3)組合員X2に対する班長降格及び配転がなかったものとしての取扱い及び班長手当相当額(年5分加算)の支払い措置を含む原職相当職への復帰、(4)組合員X4ら4名に対する天満営業所への配転がなかったものとしての取扱い、(5)組合員各人に対し、旅行費用として1人当り4万円を支払うこと及び、(6)ポスト・ノーティスを命じ、組合員X3の配転については、不当労働行為に当たらないとして、申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、次表のとおり、申立人組合員らに対し、一時金及び賃上げの最終査定ランクを第3ランクに是正したものとして取扱い、既に支払った額との差額(これに対する年5分の割合による金員を含む)を支払わなければならない。
             一  時  金
 組合員名     52年  53年  53年  54年  54年
          年末  夏季  年末  夏季  年末
           円   円   円   円   円
X1       21,336 64,008 72,560 75,760 75,760
X2       17,976 26,964
X3       16,620 49,860 28,260 59,220 59,220
X5        6,408
X6       31,704
X7       32,274 36,580 38,460 38,460
X8       20,160 22,840

          賃上げ(月額)
 組合員名     53年度  54年度
           円    円
X1        1,700   3,800
X2
X3        1,400  3,100
X5
X6
X7         900   2,000
X8         500   1,200

2 被申立人は、昭和54年期末報賞金について、申立人組合員らのうち非組合員の平均支給額に達しない者に対し、非組合員の平均支給額と既に支払った額との差額(これに対する年5分の割合による金員を含む)を支払わなければならない。
3 被申立人は、申立人組合員X4に対し、次の措置を含め原職相当職に復帰させなければならない。
(1) 昭和54年4月1日付け班長職降格及び配置転換がなかったものとして取り扱うこと
(2) 班長降格の日から原職相当職に復帰させるまでの間、同人が受けるはずであった班長手当相当額(これに対する年5分の割合による金員を含む)を支払うこと
4 被申立人は、申立人組合員X2、同X3、同X7及び同X8に対し、昭和53年10月1日付け天満営業所への配置転換がなかったものとして取り扱わなければならない。
5 被申立人は、申立人組合員各人に対し、旅行費用として一人当たり4万円を支払わなければならない。
6 被申立人は、下記の文書を1メートル×2メートル大の白色木板に明瞭に墨書して、速やかに本社及び天満営業所の従業員の見やすい場所に1週間掲示しなければならない。
             記
                     年  月  日
総評全国一般大阪地連近江産業労働組合
 執行委員長 X1 殿
               近江産業株式会社
                代表取締役 Y1
 当社が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められましたので、今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
             記
(1) 昭和52年年末一時金、同53年夏季一時金、同53年年末一時金、同54年夏季一時金、同54年年末一時金、同53年度賃上げ及び同54年度賃上げの査定において、貴組合の営業職及び事務職の役員ないし活動家を不利益に取り扱ったこと
(2) 昭和54年度賃上げ要求について、第2基本給及び5ランク査定の導入をそれぞれ認め今後これらに関して一切争わないことを確約しなければ有額回答・妥結しないとして、貴組合に要求したこと
(3) 昭和54年期末報賞金の支給について、貴組合員らと非組合員らを差別し、貴組合員らを不利益に取り扱ったこと
(4) 昭和53年10月2日、28日、11月10日及び同54年1月23日、当社役員が貴組合員らに対し「組合の路線が悪い」「交渉相手とは認めがたい」等発言し、貴組合を誹謗中傷したこと
(5) 貴組合X4氏に対し、昭和54年4月1日付けで班長職降格及び受渡し班への配置転換をしたこと
(6) 昭和53年10月1付けで貴組合の営業職及び事務職の組合員X1ほか8名を天満営業所へ配置転換し、組合にとどまった同氏ほか4名に対し不利益に取り扱ったこと
(7) 社員会「誠和会」が企画した昭和54年5月の沖縄旅行の際、非組合員に対し一人当たり4万円を補助したにもかかわらず、貴組合が昭和55年2月に企画した能登半島旅行に対しては、貴組合員らに旅行費用を支給しなかったこと
7 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  1202 考課査定による差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
賃上げ及び一時金の査定において組合員Hら7名を低査定したことが不当労働行為とされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
昭和54年期末報賞金の支給に際し、組合員の平均支給額と非組合員の平均支給額との間に大幅な較差をつけたことが、組合からの較差是正申入れに対して何ら納得のいく説明をしていないこと及び貢献度に関して組合員と非組合員との較差があることについて疎明がないことから不当労働行為とされた例。

1300 転勤・配転
組合員X3の配置転換に関し、組合の協議の申入れにも応じず、同人を配転したことが不当労働行為とはいえないとされた例。

1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社から人員配置に関する人選案の提出を求められた班長である組合員X2が、この問題は配置転換であるから組合と協議すべきであるとして、同案を提出しなかったことを理由として、同人を班長職から降格して受渡し班に配転したことが不当労働行為とされた例。

1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合員のみ9名を新営業所へ配転し、組合にとどまったX1ら5名を営業活動等において不利益に取り扱ったことが不当労働行為とされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
団交の席上等における会社役員の組合を批判する発言が不当労働行為とされた例。

2803 その他
非組合員らが結成している社員会には旅行費用を補助しながら、組合に対しては同費用を補助しないことが不当労働行為とされた例。

3106 その他の行為
退職金に反映しない第2基本給及び5ランク査定の導入並びにこれらに関し今後一切争わないことを確約することを賃上げ妥結の条件とすることに固執したことが不当労働行為とされた例。

業種・規模  鉄鋼業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集74集479頁 
評釈等情報   

[先頭に戻る]
 
[全文情報] この事件の全文情報は約260KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。