概要情報
事件名 |
山水電気 |
事件番号 |
長野地労委 昭和55年(不)第7号
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申立人 |
サンスイ労働組合 |
被申立人 |
山水電気 株式会社 |
命令年月日 |
昭和58年10月22日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
(1)会社再建を理由にN事業所を閉鎖し、S事業所及び分工場へそれぞれ配転したこと、(2)同配転を拒否したことを理由に賃金カットしたこと、(3)組合員に勇退を勧告したこと及びそれに伴って自宅待機させたこと、(4)配転、勇退勧告等について、直接組合員に応諾を求めたこと、(5)組合員X1に対する分工場からM営業所への配転が争われた事件で、S事業所への配転を命じられた組合員X1ら14名に対する原職または原職相当職への復帰及び諸給与額(年5分加算)の支払い、分工場への配転を命じられた組合員X2ら17名に対する原職または原職相当職への復帰及び諸給与相当額の支払い(ただし、X3ら6名を除く)、組合員X1に対する諸給与相当額の支払い、組合員であったX4ら4名に対する諸給与相当額の支払い、事業所の閉鎖及び配転等による組合の運営への支配介入の禁止並びに本社及び分工場におけるポスト・ノーティスを命じ、組合員X1の配転に係る申立てについては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合員X5、同X6、同X7、同X8、同X9、同X10、同X11、同X12、同X13、同X14、同X15、同X16、同X17及び同X18について、次の措置を含め、昭和55年10月16日付の配転命令がなかったと同様の状態に回復させなければならない。 (1) 原職又は原職相当職に復帰させること。 (2) 昭和55年11月1日以降原職又は原職相当職に復帰するまでの間に、これらの者が受けるはずであった諸給与相当額及びこれに年率5分を乗じて得た金額を支払うこと。 2 被申立人は、申立人組合員X2、同X19、同X20、同X21及び同X22について、次の措置を含め、昭和55年11月1日付の配転命令がなかったと同様の状態に回復させなければならない。 (1) 原職又は原職相当職に復帰させること。 (2) 昭和55年11月10日から同年12月16日までの間に、これらの者が受けるはずであった諸給与相当額を支払うこと。 3 被申立人は、申立人組合員X23、同X24、同X25、同X26、同X27及び同X28について、次の措置を含め、昭和55年11月25日付の配転命令がなかったと同様の状態に回復させなければならない。 (1) 原職又は原職相当職に復帰させること。 (2) 昭和55年11月27日から同年12月16日までの間に、これらの者が受けるはずであった諸給与相当額を支払うこと。 4 被申立人は、申立人組合員X3、同X29、同X30、同X31、同X32及び同X33について、原職又は原職相当職に復帰させることを含め、昭和55年12月22日付配転命令がなかったと同様の状態に回復させなければならない。 5 被申立人は、申立人組合員X1について、昭和55年11月10日から同年12月16日までの間に、同人が受けるはずであった諸給与相当額を支払わなければならない。 6 被申立人は、申立人組合員X4、同X34、同X35及び同X36について、昭和55年11月27日から同年12月16日までの間に、これらの者が受けるはずであった諸給与相当額を支払わなければならない。 7 被申立人は、正当な理由がないにもかかわらず事業場を閉鎖し、申立人組合員に対して配転及びその拒否を理由とする賃金カット並びに勇退勧告及びそれに伴う自宅待機という不利益な取扱いを行ったり、配転、勇退勧告等について、申立人と誠意をもって協議を行うことなく、直接組合員に応諾を求めたりするなどして、申立人の運営に支配介入してはならない。 8 被申立人は、下記の誓約書を申立人に手交するとともに、同文を縦1メートル、横 1.5メートルの白色木板に、楷書で明瞭に墨書して、被申立人本社及び第1事業部埼玉工場長長野製造課の各入口付近の従業員の見やすい場所に、7日間掲示しなければならない。 記 契 約 書 当社が行った下記の行為は、長野県地方労働委員会により、不当労働行為であると認定されました。当社は、今後このような行為を繰り返さないことを、長野県地方労働委員会の命令により誓約いたします。 1 長野事業所を閉鎖し、貴組合員に対して配転及びその拒否を理由とする賃金カット並びに勇退勧告及びそれに伴う自宅待機命令という不利益な取扱いを行ったこと。 2 長野事業所閉鎖に伴う配転、勇退勧告等について、貴組合と誠意をもって協議を行うことなく、直接組合員に応諾を求めたこと。 昭和 年 月 日 サンスイ労働組合 中央執行委員長 X37 殿 山水電気株式会社 代表取締役 Y1 9 申立人のその余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1300 転勤・配転
組合員X1に対する分工場からM営業所への配転は、同営業所においては、労働基準法に違反する長時間の所定時間外労働が事実上強制されていること、通勤時間が増加すること、また、このため家業の農業の手伝いが困難となること、職種については本人の意思を無視して一方的に変更されること等、不当労働行為に当たるとの組合主張につき、時間外・休日労働について、労働基準法違反であるとの具体的な疎明がなされていないこと、通勤に要する時間は増加するものの常識的な範囲内であること、家業の手伝い等への影響についてはそれ自体主観的な事柄であること、X1は事務職の経験があり、同人に事務職への希望があったこと等から不当労働行為とはいえないとされた例。
1800 会社解散・事業閉鎖
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社再建を理由にN事業所を閉鎖し、組合員を通勤不能なS事業所及びN事業所閉鎖後設置した分工場へ配転したこと、その拒否を理由に賃金をカットしたこと並びに組合員に勇退を勧告したこと及びそれに伴って自宅待機させたことが不当労働行為とされた例。
3105 事業廃止、工場移転・売却
配転、勇退勧告等について、組合と誠意をもって協議を行うことなく、直接組合員に対して応諾を求めたことが不当労働行為とされた例。
4400 原職相当職への復帰を命じたもの
会社のN事業所は既に閉鎖されたものの、会社の業績は伸張著しく、また、大企業における一事業所の問題であり、併せて、会社は旧N事業所の至近において分工場を運営していること、旧N事業所の土地・建物が会社所有のまま現存していること、旧N事業所の近くには会社専属の下請会社が2社存在していること等から、S事業所への配転を拒否している組合員及び分工場に就労している組合員を原職又は原職相当職へ復帰させること等の措置を命じた例。
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業種・規模 |
電気機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集74集344頁 |
評釈等情報 |
労働法律旬報 1984年5月25日 1096号 41頁 
労働判例 昭和59年3月1日 421号 66頁 
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