事件名 |
フジタ工業 |
事件番号 |
大阪地労委 昭和55年(不)第2号
大阪地労委 昭和55年(不)第63号
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申立人 |
全日本港湾労働組合関西地方本部 |
被申立人 |
フジタ工業 株式会社 |
命令年月日 |
昭和58年 9月22日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含
む) |
重要度 |
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事件概要 |
(1)昭和52年10月19日から同53年9月22日までの間にお
いて、申立人組合員に対して脱退強要及び暴行脅迫等を行ったこと、(2)会社管理職が配転により赴任して来た分会書記長らに
対し、支部及び分会の団交権を否定し、団交での合意を無視する発言をしたこと、(3)同管理職が同書記長に対し、「団体交渉
の内容を即座に自分まで報告せよ」との指示を行ったこと、(4)団交時間、場所及び出席者について、別組合と差別扱いしたこ
と、(5)団交での回答を文書で行わないこと、(6)分会長を機材センターに配転せず、操業を一時休止した住宅工業に残留さ
せ閑職につけたことが争われた事件で、(2)に関しての文書手交を命じたが、(1)については期間徒過により却下し、
(3)~(6)については申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなけれ
ばならない。
記
年 月 日
全日本港湾労働組合関西地方本部
地方執行委員長 X1 殿
フジタ工業株式会社
代表取締役 Y1
当社は、昭和55年1月17日に大阪機材センターにおいて、当時の同センター所長Y2が、貴組合の団体交渉権を否定し、貴
組合と当社との団体交渉での合意を無視する発言を行ったことについて、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第7条第3
号に該当する不当労働行為であると認められましたので、今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
2 被申立人が、昭和52年10月19日から昭和53年9月22日までの間において、申立人組合員に対して脱退強要及び暴行
脅迫を行ったとする申立人の申立ては、却下する。
3 申立人のその他の申立ては、棄却する。 |
判定の要旨 |
1302 就業上の差別
分会長を機材センターに配転せず、操業を一時休止した住宅工場に残留させ閑職につけたことが不当労働行為であるとの申立て
が、同工場の全面的な操業休止にともない、同人を同センターへ配転していること等からみて、ことさら同工場に残留させたとは
断定できないとして、棄却された例。
2211 団交ルールの先議
団交での回答を文書で行わないことが不当労働行為であるとの申立てが、特別の合意や慣行又は文書回答を必要とする特段の事情
が認められないとして棄却された例。
2213 交渉人数
2901 組合無視
団交時間、場所及び出席者について、別組合と差別扱いしたことが不当労働行為であるとの申立てが、支部及び分会と会社との団
交の開催形態と別組合と会社との労使協議会のそれとの間の多少の相違が、差別的取扱いとは断定できず、また、この相違により
団交に支障が生じたとは認められないとして、棄却された例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
会社管理職が配転により赴任して来た分会書記長らに対し、支部及び分会の団交権を否定し、団交での合意を無視する発言をした
ことが支配介入とされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3800 行為の結果・その他
会社管理職が分会書記長に対し、「団体交渉の内容を即座に自分まで報告せよ」との指示を行ったことについて、直ちにその発言
を取り消していることから、不当労働行為にあたらないとされた例。
5200 除斥期間
昭和52年10月19日から同53年9月22日までの間になされた組合脱退強要、組合員に対する暴行脅迫及び組合に対する中
傷等に関する申立てについて、それらの行為のうちの最後の行為の日と申立前1年以内の行為である会社管理職による支部及び分
会の団交権否定等の発言がなされた同55年1月17日との間には、すでに1年3ヶ月有余の期間が経過していることからみて、
一連の行為とはいえず、法27条2項に抵触し、却下を免れないとされた例。
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業種・規模 |
建設業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集74集297頁 |
評釈等情報 |
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