概要情報
事件名 |
中央エンジニアリング |
事件番号 |
大阪地労委 昭和51年(不)第100号
大阪地労委 昭和52年(不)第10号
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申立人 |
全日本港湾労働組合関西地方本部 |
被申立人 |
Y1 |
被申立人 |
中央エンジニアリング 株式会社 |
命令年月日 |
昭和58年 9月 8日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社の経営実態を無視した分会の組合活動、ストライキが原因で経営状態が悪化したとして、会社を閉鎖倒産させたこと並びに会社業務の再開及び従業員の未払い賃金についての団交申入れに応じなかったことが争われた事件で、分会員X1ら4名に対する賃金相当額(年5分加算、ただし、既支給額を除く)の支払い、文書手交を命じ、会社業務の再開及び分会員の原職復帰については申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人Y1は、、申立人組合中央エンジニアリング分会員X1、同X2、同X3及び同x4に対し、昭和51年6月1日から昭和55年10月24日までの間に同人らが得たであろう賃金相当額(ただし、既に支払った金額を除き、その未払い金に対する年5分の割合による金員を含む)を支払わなければならない。 2 被申立人らは、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。 記 年 月 日 全日本港湾労働組合関西地方本部 地方執行委員長 X5 殿 中央エンジニアリング株式会社 代表取締役 Y1 Y1 私共が行いました下記の行為は、大阪府地方労働委員会において労働組合法第7条第1号、第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められましたので、ここに陳謝いたします。 (1) 昭和51年7月16日、中央エンジニアリング株式会社を倒産させたこと (2) 昭和51年9月22日付けで貴組合中央エンジニアリング分会からなされた会社業務の再開等の団体交渉の申入れに応じなかったこと 3 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
1800 会社解散・事業閉鎖
会社の経営実態を無視した分会の組合活動、ストライキが原因で経営状態が悪化したとして、会社を閉鎖倒産させたことが不当労働行為とされた例。
2400 その他
会社業務の再開及び従業員の未払い賃金についての団交申入れに応じないことが不当労働行為とされた例。
4402 企業閉鎖・偽装解散と救済
会社倒産後も分会員に対し解雇措置がとられていないことから、会社の破産宣告及び破産廃止決定が確定した55年10月25日の前日の10月24日まで会社と分会員との雇用関係は継続したとして、同日までの賃金相当額の支払いを命じた例。
4402 企業閉鎖・偽装解散と救済
会社業務の再開、分会員の原職復帰を求める申立てが棄却された例。
4614 文書手交のみを命じた例
会社事務所入口における陳謝文の掲示を求める申立てにつき、会社事務所が存在しないため文書手交を命じた例。
4916 企業に影響力を持つ者
組合の被申立人Y1に対する申立ては、会社の従業員に対して使用関係にたたず単に会社の代表取締役にすぎない者に対してなされたものであり、申立ては却下されるべきであるとの主張につき、会社は、Y1の個人企業を改組したものであり、その後も同人が代表取締役であったこと、株式の出資額の大部分がY1個人の出資によるものであったこと、株主総会、取締役会が開催された事実はなく、同人が役員、従業員の労働条件を決定し、また、会社の経営全般に関する事項を専決しており、同人が会社の経営に関するすべての権限を掌握していたことが認められることから、会社はY1の個人会社であり、会社とY1とは実質上同一体であるとして、Y1は被申立人適格と有するとされた例。
4916 企業に影響力を持つ者
会社は破産宣告及び破産廃止決定を受け、その実体は既に消滅していることから、賃金相当額の支払いについては、会社と同一性を有する被申立人Kにのみ命じた例。
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業種・規模 |
専門サービス業(法律事務所、経営コンサルタント業等) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集74集244頁 |
評釈等情報 |
労働判例 昭和59年1月15日 418号 115頁 
労働経済判例速報 昭和59年2月10日 1175号(35巻4号) 18頁 
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