概要情報
事件名 |
丸大運送店 |
事件番号 |
兵庫地労委 昭和53年(不)第4号
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申立人 |
全日本運輸一般労働組合神戸支部 |
被申立人 |
株式会社 丸大運送店 |
命令年月日 |
昭和58年 8月12日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
分会員らに対する組合からの脱退の勧奨、会社構内における腕章着用を理由とする乗車手当及び日勤手当の不支給、得意先T社への配車差別、事故のペナルティーとして車種変更に付した分会員X1を、長期間にわたり従前の車種担当に戻さなかったこと、組合旗の撤去、年次有給休暇申請に対する時季変更権の行使を無視して審問に出頭した分会員X1ら4名に対する欠勤扱い並びに争議続行中を理由とする分会員らに対する日曜休日出勤の割当て差別が争われた事件で、組合からの脱退勧奨などの組合の運営への支配介入の禁止、会社構内での腕章着用を理由とする日勤手当の不払い等の不利益な取扱いの禁止及び日勤手当の支払い、T社の運送業務への組合員の就業及び残業手当差額の支払い、並びに組合員X1に対し、従前の車種を担当すれば受けるはずであった諸給与相当額と同人が既に受領済の諸給与との差額金を支払うことを命じ、会社構内における腕章着用を理由とする乗車手当の不支給、組合旗の撤去、時季変更権の行使を無視して審問に出席した分会員X1ら4名に対する欠勤扱い、日曜休日出勤の割当て差別、並びにポスト・ノーティスについては申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合員に対し、申立人組合からの脱退を勧奨したりなどして、申立人組合の運営に支配介入してはならない。 2 被申立人は、申立人組合員が、会社構内において腕章を着用したことを理由として日勤手当を支払わない等不利益な取扱いをしてはならない。 3 被申立人は、別紙債権目録(1)記載の申立人組合員に対し、それぞれ同目録記載の金員を支払わなければならない。 4 被申立人は、申立人組合員を、東洋製罐株式会社の運送業務に就業させねばならない。 5 被申立人は、別紙債権目録(2)記載の申立人組合員に対し、それぞれ同目録記載の金員を支払わなければならない。 6 被申立人は、申立人組合員X1に対し、同人が昭和54年4月27日ら昭和55年7月分まで、ハニー化成株式会社専属大型トレーラー車を担当すれば受けるはずであった諸給与相当額(残業手当の基礎をなる残業時間数は、同期間同車両を担当した運転手の平均残業時間数を基準とする。)と、同人が既に受領済の諸給与との差額金を支払わなければならない。 7 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
1201 支払い遅延・給付差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
得意先においても腕章等を外さないと明言した分会員らに対し乗車勤務を拒否するとともに乗車手当を支給せず、また、腕章を着用したまま会社構内においてゴム切断等の作業に従事した同人らに対し、腕章を着用しての就労行為は組合活動であるとして、日勤手当を支給しなかったことにつき、会社が従来からの慣行に反するとして乗車勤務を拒否したことには無理からぬところがあり、したがって、乗車手当不支給も不利益に取り扱ったものとはいえないが、日勤手当の不支給は、会社が構内における作業を中止させていないこと及び会社構内における腕章の着用を容認していたことからみて、分会員に対する不利益取扱いであり、組合に対する支配介入であるとされた例。
1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
分会員に対し、残業時間数として計上される復荷(帰り荷)があることの多いT社への配車をしなかったことが不当労働行為とされた例。
1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
事故のペナルティーとして車種変更に付した分会員X1に対し、過去の事例に比し、長期間にわたり従前の担当車種に戻さなかったことが不当労働行為とされた例。
1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
争議続行中を理由に分会員らに日曜休日出勤を割り当てなかったことが不当労働行為とはいえないとされた例。
1600 休暇の取扱い
分会員X1ら4名の審問出席のための年次有給休暇の申請に対し、時季変更権を行使し、それを無視して欠勤した同人らを、それぞれ欠勤扱いにしたことが不当労働行為を構成しないとされた例。
2621 個別的示唆・説得・非難等
組合結成の風聞を確認するためと称し、業務の終了した運転手ら1名ないし数名を順次社長室に呼び出して「申立人組合はやめて、別組合にしてほしい」旨の言辞を述べたことが不当労働行為とされた例。
3020 組合活動への制約
会社事務所横に掲揚された組合旗を撤去したことが、労使間に組合旗掲揚についての労働協約もなく、又これについての慣行も熟成されていなかったのであるから、許可のない掲揚は一応会社の施設管理権を侵すものということができること、会社は分会に対し、無許可掲揚を禁止する旨の警告をし、分会が任意に撤去しないならば、会社において撤去する旨を予告した上でその撤去をしたことが認められること等からみて、分会の組合活動を妨害する意図の下になされたものとは認められず、不当労働行為とはいえないとされた例。
4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
会社を退職した分会員X2について、救済利益を有するとされた例。
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業種・規模 |
道路貨物運送業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集74集163頁 |
評釈等情報 |
労働判例 昭和58年12月15日 417号 81頁 
労働経済判例速報 昭和59年1月10日 1172号(35巻1号) 21頁 
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