労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  大阪暁明館 
事件番号  大阪地労委 昭和56年(不)第41号 
大阪地労委 昭和56年(不)第55号 
申立人  大阪暁明館職員組合 
被申立人  社会福祉法人 大阪暁明館 
命令年月日  昭和58年 8月11日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  病院が、(1)理事会決議に基づいて、就労時間中の無許可組合活動等を理由に、組合長及び副組合長を懲戒処分に付す旨ほのめかしたこと、(2)組合の設置した横断幕及び立看板の撤去を要求し、その撤去がないとみるや、これを撤去し、更に「将来設置行為を繰り返さない旨の組合の誓約がないこと」を理由に、これらを組合に返還しなかったこと、(3)組合員に対して、腕章・ワッペンの着用就労を禁止したこと、(4)病院のホール使用許可願いが出されていないことを理由に、ホールでの臨時組合大会の開催を妨害したこと、(5)裁判所への和議手続開始申立書の中で、組合を誹謗・中傷したことが争われた事件で、病院が自力撤去した組合の横断幕及び立看板を条件を付すことなく組合に返還すること及びポスト・ノーティスを命じ、裁判所への和議手続開始申立書における組合に対する誹謗・中傷については申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、昭和56年6月24日及び同月25日ごろ自力撤去した組合の横断幕及び立看板を条件を付することなく組合に返還しなければならない。
2 被申立人は、被申立人病院(新館及び旧館)の正面玄関の従業員の見やすい場所に、2メートル×1メートル大の白色木板に下記のとおり明瞭に墨書して、速やかに2週間掲示しなければならない。
              記
                       年 月 日
大阪暁明館職員組合
 組合長 X1 殿
               社会福祉法人 大阪暁明館
                 理事長 Y1
 当病院が行った下記の行為は、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為と認められましたので、今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
              記
(1) 昭和56年4月27日付け理事会決議に基づいて、貴組合組合長X1氏及び同副組合長X2氏に対する懲戒処分の実行を示唆し、貴組合の弱体化をはかったこと
(2) 昭和56年6月24日及び同月25日ごろ、貴組合が設置した横断幕及び立看板について、施設管理上特に支障がないにもかかわらずこれらの撤去を貴組合に要求し、かつこれらを自力撤去し、その後もこれらを貴組合に返還しなかったこと
(3) 昭和56年6月26日午後5時から同8時ごろまでの間、薬局前ホールの照明を消して貴組合臨時大会の開催を妨害したこと
(4) 昭和56年6月25日以降同年7月ごろまでの間、業務運営上特に支障がないにもかかわらず貴組合員の腕章・ワッペンの着用就労を妨害したこと
3 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  2620 反組合的言動
病院が、裁判所での和議手続をするにあたり、その和議手続開始申立書の中で、組合を誹謗・中傷したことにつき、申立書自体は、直接組合又は組合員らに働きかける意図で作成されたものではなく、裁判所への提出文書として作成されたものであることから、これをもって直ちに組合の弱体化を企図した不当労働行為とはいえないとされた例。

3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
病院が、就業時間中の無許可組合活動等を理由に組合長及び副組合長を懲戒処分に付すべき旨理事会で決議し、これを維持したことが、組合執行部を処分でもって脅し、暗に組合活動を抑止することを企図した不当労働行為であるとされた例。

3020 組合活動への制約
病院が、施設管理上特に支障があったとは認められないにもかかわらず、組合の設置した横断幕及び立看板の撤去を要求した後、十分な余裕を与えることなく自力撤去し、更に撤去した横断幕等を「将来設置行為を繰り返さない旨の組合の誓約がないこと」を理由に返還しなかったことが、組合活動を嫌悪し、その活動を妨害するためになされた不当労働行為であるとされた例。

3020 組合活動への制約
病院が、ホールの使用許可願いが出されていないことを理由に、ホールでの臨時組合大会の開催を照明を消すなどして妨害したことにつき、その真意は、施設管理に藉口して組合の重要な活動の一つである臨時組合大会を妨害することにあったとみられることから、組合の弱体化を企図した不当労働行為であるとされた例。

3105 事業廃止、工場移転・売却
病院が、組合員に対して、腕章・ワッペンの着用就労の中止を求めたことが、その着用就労が業務運営に支障をきたしたとは認められないこと、個々の組合員に対し、直接口頭及び文書でその中止を求めるとともに処分をほのめかし、更に警告書を組合員らの自宅に十数回にわたり送付したことなどからみて、組合活動を妨害し、組合の弱体化を企図した不当労働行為であるとされた例。

業種・規模  医療業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集74集154頁 
評釈等情報   

[先頭に戻る]
 
[全文情報] この事件の全文情報は約147KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。