労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日中旅行社 
事件番号  大阪地労委 昭和55年(不)第77号 
大阪地労委 昭和56年(不)第2号 
申立人  総評全国一般大阪地連日中旅行社労働組合 
被申立人  株式会社 日中旅行社 
命令年月日  昭和58年 7月15日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  アルバイトの組合員X1ら2名の嘱託雇用にあたり、新嘱託規則による嘱託としてでなければ雇用できないとして同人らの嘱託雇用を拒否したこと、人事管理上支障と来たすとして組合との間で結ばれた「人事同意約款」の解約通知を組合に対して行ったこと、一時金に関する団交の場に交渉権限のある者を出席させなかったこと、一時金についての別組合との妥結結果を組合に掲示し、妥結を要求したこと、一時金に関する組合からの団交要求に応じず、組合からの再三にわたる会社の経営状態についての具体的説明要求を拒否したこと、一時金の査定内容を別組合には説明しながら組合に対しては説明を拒否したこと、年末一時金の支給にあたり嘱託の組合員X2に対して、一時金の査定部分の支給を行わなかったこと、「3ヶ月で45時間の就労時間内組合活動」を別組合には認めて組合には認めなかったことなどが争われた事件で、アルバイトの組合員X1ら2名に対する旧嘱託規則の適用を受ける嘱託としての取扱い及びバックペイ(年5分加算)、夏季・年末一時金について誠意をもって団交することを命じ、組合との間で結ばれた「人事同意約款」の解約通知、一時金に関する団交の場に交渉権限を有する本社の部長が出席しなかったこと、一時金についての別組合との妥結結果を組合に掲示して妥結を要求したこと、年末一時金の支給にあたり、嘱託の組合員X2に対し、一時金の査定部分の支給を行わなかったこと、「3ヶ月で45時間の就業時間内組合活動」を別組合には認めて組合には認めなかったことについては申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合員X1を、昭和55年5月12日から、昭和54年4月に施行された嘱託就業規則の適用を受ける嘱託として取り扱い、同日以降、同人が嘱託であれば得たであろう賃金相当額(既に支払ったものを除く)、及びこれに年率5分を乗じた額を支払わなければならない。
2 被申立人は、申立人組合員X3を、昭和55年5月12日から昭和58年5月26日までの間、昭和54年4月に施行された嘱託就業規則の適用を受ける嘱託であったものとして取り扱い、その間、同人が嘱託であれば得たであろう賃金相当額(既に支払ったものを除く)、及びこれに年率5分を乗じた額を支払わなければならない。
3 被申立人は、昭和55年夏季一時金、及び同年年末一時金について、申立人と誠意をもって団体交渉しなければならない。
4 申立人のその他の申立てを棄却する。 
判定の要旨  1201 支払い遅延・給付差別
年末一時金の支給にあたり、嘱託である組合員X2に対しては、一時金の査定部分の支給を行わなかったことが、非組合員である嘱託に対しても一時金の査定部分は支給されていないことから不利益取扱いとはいえないとされた例。

1500 不採用
アルバイトの組合員X1ら2名の嘱託雇用にあたって、会社が一方的に旧嘱託規則でなく新嘱託規則による嘱託としてでなければ雇用できないとして同人らの嘱託雇用を拒否したことが、会社の嘱託雇用の姿勢を変える転機となったのが組合結成であると認められることから、組合を嫌悪する会社の不当労働行為であるとされた例。

2248 実質的権限のない交渉担当者
一時金に関する団交の場に、交渉権限のある部長を出席させない会社の交渉態度につき、団交には東京本社の部長が出席できない場合には交渉権限の委任された支社長代理や所長が会社の代表として出席していることから不誠実とはいえないとされた例。

2246 併存団体との関係
一時金についての別組合との妥結結果を組合に掲示して妥結を要求する会社の態度につき、会社が衡平の見地から組合の違いによって妥結内容に差異が出ないよう留意するのは当然であり、そのため別組合との妥結内容を掲示して組合にも妥結するよう理解を求めることには理由があると認められることから、不誠実とはいえないとされた例。

2240 説明・説得の程度
組合からの一時金に関する団交要求に応じようとせず、また、組合からの再三にわたる会社の経営状態についての具体的説明の要求に対してもこれに答えようとしないなど、会社の態度が誠実なものとはいえず不当労働行為であるとされた例。

2250 未妥結・打切り・決裂
一時金の査定内容を別組合には説明しながら、組合からの説明要求に対しては上部団体が別組合と同じであるので、組合は上部団体から知り得るとして査定内容の説明を拒否したことにつき、組合と別組合とは会社と個別に交渉しているのであるから会社はこれに応ずる義務があり、これに応じず交渉を打ち切った会社の行為は不当労働行為であるとされた例。

2803 その他
会社が別組合に対して認めた「3ヶ月で45時間の就業時間内組合活動」を申立人組合に対しては認めなかったことについての救済申立てが、別組合は経費援助を受ける組合であって労組法上の組合としての資格を欠くものであることから、この差別をもって組合に対する不利益取扱いとして救済することは組合の自主的を失わしめることになるとして、棄却された例。

3103 労働協約締結をめぐる行為
会社が人事管理上支障を来たすとして、組合に対して組合との間で結ばれた、「人事同意約款」の解約通知をしたことが、同解約通知は適法になされており、また、解約後も人事問題や労働条件の変更にあたっては、組合と誠実に交渉を行うとしていることからみて、組合の弱体化・破壊を目的として行われたとはいえないとされた例。

業種・規模  その他のサービス業(他に分類されないサービス業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集74集114頁 
評釈等情報  労働判例 昭和58年11月15日  415号 66頁 
労働経済判例速報 昭和58年12月10日 1170号(34巻33号) 14頁 

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