概要情報
事件名 |
あけぼのタクシー |
事件番号 |
福岡地労委 昭和55年(不)第11号
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申立人 |
あけぼのタクシー労働組合 |
被申立人 |
あけぼのタクシー 有限会社 |
命令年月日 |
昭和58年 5月25日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社内での無断写真撮影等を理由とする組合委員長X1に対する出勤停止処分及び就労妨害、部長Y1の従業員に対する組合員X2らとの交際禁止の発言及び運転手会への入会の強要、前記X2らに対する社内旅行への参加拒否及び参加者に対する旅行費用の貸付け、忘年会費用の不払い等を理由とする組合員X3に対する出勤停止処分及び就労妨害が争われた事件で、組合委員長X1に対する出勤停止処分がなかったものとしての取扱い及びバック・ペイ、組合員X2らとの交際禁止の発言等による支配介入の禁止を命じ同人らに対する旅行費用相当額の支払い、組合員X3に対する出勤停止処分及び就労妨害、審査手続きに出頭したことに伴う損失補償及びポスト・ノーティスに関する申立てについては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は申立人組合員X1に対する(1) 昭和55年7月24日付、(2) 同年8月9日付の各出勤停止処分がなかったものとして取扱い、同人に対しこれらの処分がなければ受けるはずであった賃金相当額を支払うとともに、X1が同年5月3日午前7時30分から午前10時10分まで、また同年8月11日午前7時30分から午前11時まで就労したものとして取扱い、その間の賃金相当額を支払わなければならない。 2 被申立人は、会社従業員に対し、申立人組合員X2、同X1らとの交際を禁じたり、あけぼの会への加入を強要する等して申立人組合の運営に支配介入してはならない。 3 申立人その余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
1400 制裁処分
3700 使用者の認識・嫌悪
忘年会費用の不払い等を理由とする組合員X3に対する出勤停止処分及び就労妨害について、処分の程度や会社の対応には不適切さや行き過ぎが認められないわけではないが、同人が組合員であったことを知らずになした処分ないしは対応であったと認められることから、不当労働行為意思は認められないとして棄却された例。
1400 制裁処分
3604 労働者に落度がある場合
厳禁されている会社内での写真撮影及び担当車輌の自損事故に関する始末書の提出拒否を理由とする組合委員長X1に対する出勤停止処分及び就労妨害が、同人の組合活動を嫌悪し、その活動を弱める意図のもとになされた不当労働行為とされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
部長Y1が従業員に対し、組合員X2らとの交際をやめるよう発言したり、組合と対抗関係にある運転手会への入会を強要しようとしたことが、組合の運営に対する支配介入行為にあたるとされた例。
5124 その他の審査手続
本件申立ては本来、労使間交渉で解決すべきものであるのに1回の話合いもないまま申し立てられた本件について労委が受理し、処理しているのは問題であり、そのため会社側は審問に出席していないとの主張につき、労使間の懸案事項については先ず、労使間の自主交渉により解決することが労使自治の原則ではあるが、交渉を経ていないからといって、労働組合として不当労働行為救済制度に基づく救済申立てができないというものではないとして、会社の主張を斥け、本件審査はその手続きにおいて何ら瑕疵はないとした例。
1601 福利厚生上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
3411 その他の従業員の言動
社内慰安旅行に組合員X2らを参加させなかったことは同人らに対する不利益取扱いであり、組合に対する支配介入行為であるとして、会社に旅行費用に値する相当金を請求した申立てにつき、(1)同旅行が運転手会「あけぼの会」の名で行われていること、(2)会社部長2名が出席したり、参加者に3万円の費用貸付等の便宜をはかった事実は認められるものの、会社が同旅行を主催したことを認めるに足りる証拠がないとして、組合の申立てを棄却した例。
4413 給与上の不利益の場合
4603 その他
5005 損害賠償の請求
審査手続きに出頭したことに伴う損失補償について会社にその支払いを命ずるよう求めた申立てが棄却された例。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集73集400頁 |
評釈等情報 |
 
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