労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  伊藤忠商事(大阪工作所) 
事件番号  大阪地労委 昭和54年(不)第57号 
申立人  日本労働組合総評議会全国金属労働組合大阪工作所支部 
被申立人  伊藤忠商事 株式会社 
命令年月日  昭和58年 5月 9日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  I商事は、O社の経営には関与しておらず、O社の従業員との関係では、労組法第7条の使用者に当たらないとして、O社の解散、全員解雇等についての団交申入れを拒否したことが争われた事件で、I商事に対し団交拒否の禁止及び誓約文の掲示を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人から昭和54年7月16日付けで申入れのあった団体交渉について、使用者でないとの理由でこれを拒否してはならない。
2 被申立人は、1メートル×2メートルの白色木板に下記のとおり墨書して、株式会社大阪工作所本社正門付近の見易い場所に、1週間掲示しなければならない。
              記
                    昭和 年 月 日
日本労働組合総評議会全国金属労働組合
大阪工作所支部
 執行委員長 X1殿
                伊藤忠商事株式会社
                 代表取締役 Y1
 当社は、貴組合から昭和54年7月16日付けで申入れのあった団体交渉について、使用者でないとの理由でこれを拒否しましたが、この行為は、大阪府地方労働委員会において労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると認められましたので、今後このような行為をくりかえさないようにいたします。 
判定の要旨  2130 雇用主でないことを理由
子会社である旧O社の解散に伴い新たに設立された同名のO社の解散、全員解雇等の問題について、親会社であるI商事に組合が団交を申し入れたところ、I商事はO社の経営には何ら関与しておらず、支配の事実等も全くないとして、団交を拒否したことにつき、I商事は旧O社の経営全般にわたって支配していたと認められるとともに、O社は旧O社の解散に伴い、その残務整理のためのみに設立されたものであり、旧O社の残務及び従業員をそのまま引き継いでおり、両者は事実上同一企業であると認められることから、I商事はO社の従業員に対し、使用者の地位にあると認められるとして、団交の応諾を命じた例。

2130 雇用主でないことを理由
子会社のO社については経営権を別会社に譲渡したため、経営について何の関係もなくなり、従業員に対しても支配関係になく使用者に当たらないとして、親会社I商事がO社の解散、全員解雇等の問題についての団交を拒否したことにつき、その主張する経営譲渡の実態は、親会社の依頼を受けた旧O社役員Y2が親会社に代ってその経営に当っているに過ぎず、親会社がO社の経営者であることには変わりはないと認められることから不当労働行為であるとされた例。

業種・規模  卸売業、小売業、飲食店 
掲載文献  不当労働行為事件命令集73集365頁 
評釈等情報  労働経済判例速報 昭和58年6 月30日 1155号(34巻18号) 21頁 
労働法律旬報 1983年9 月10日 1079号 58頁 
労働判例 1983年9月15日 411 号 88頁 

[先頭に戻る]
 
[全文情報] この事件の全文情報は約146KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。