概要情報
事件名 |
萬國観光 |
事件番号 |
大阪地労委 昭和56年(不)第57号
大阪地労委 昭和56年(不)第60号
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申立人 |
大阪芸能労働組合 |
被申立人 |
萬國観光 株式会社 |
命令年月日 |
昭和57年12月 9日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
経営悪化による人員整理を理由として分会員であるバンド員7名を指名解雇したこと、昭和56年度賃上げ及び人員削減問題等に関する団交において交渉権限を有する者を出席させないなど誠意ある団交に応じなかったことなどが争われた事件で、7名の原職復帰及びバックペイ(年5分加算)、代表取締役又は交渉権限を有する者の出席による誠意ある団交の実施並びに文書手交を命じ、損害賠償金の支払いの申立てについては却下し、賃金一律増額の誓約不履行、会社による協約の一方的破棄又は改訂、希望退職者募集の申入れ、整理解雇基準案の撤回並びに協定及び協約の各条項に反する申出の禁止については、申立てを棄却した。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人は、申立人組合員X1、同X2、同X3、同X4、同X5、同X6、同X7に対し、次の措置を含め、昭和56年8月10日付け解雇がなかったものとして取り扱わなければならない。(1)原職に復帰させること (2)解雇の日から原職に復帰させる日までの間、同人らが受けるはずであった賃金相当額(既に支払った金員は除く)及びこれに年率5分を乗じた額を支払うこと 2 被申立人は、昭和56年度賃上げ、労働協約基準案及び人員削減問題について、代表取締役が出席し、又は交渉権限を有する者を出席させて、申立人と誠意をもって団体交渉を行わなければならない。 3 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。 記 年 月 日 大阪芸能労働組合 委員長 X8 殿 萬國観光株式会社 代表取締役 Y1 当社が貴組合に対して行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第7条第1号、第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められましたので、今後このような行為を繰り返さないようにいたします。 記 (1)貴組合のX1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7の各氏を昭和56年8月10日付けで指名解雇したこと (2)昭和56年度賃上げ、労働協約基準案及び人員削減問題について、誠意をもって団体交渉に応じなかったこと 4 申立人の、損害賠償金の支払に関する申立ては、これを却下する。 5 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
2000 人員整理
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
経営悪化による人員整理を理由として分会員であるバンド員7名を指名解雇したことについて、協約を無視して組合との事前協議を行うことなく一方的に事業を縮小していること、4楽団のうちで会社に対する功績が最高位と会社が認めている本バンドのバンド員を解雇せざるを得ないほど会社の経営が悪化しているとは認められないことなどから、分会員を不利益に取り扱い、組合の弱体化を企図した不当労働行為であるとされた。
2248 実質的権限のない交渉担当者
賃上げ、人員削減等の要求に関する団交において、組合から会社の交渉員に対し、会社の回答を単に伝達するに過ぎない程度にしか権限委任されていないのではないかとただしたのに対し、私もその程度だと思っていると述べていること等から、実質的権限を有する者を出席させなかったことが、誠実に団交を行ったとはいえない。
4617 その他
希望退職者募集の申入れ及び整理解雇基準案の提示撤回を求める申立てについて、組合の救済請求趣旨は、つまるところ分会員の指名解雇の撤回にあるとみられ、解雇撤回を命じれば、これらの申立ての救済は必要ないとして棄却された。
4601 「抽象的不作為命令」を命じた例
協定の条項に反する申出の禁止を求める申立てについて、将来にわたってなされる蓋然性が認められないとして、棄却された。
5005 損害賠償の請求
損害賠償金の支払いを求める申立てにつき、現行制度上労委の判断になじまないとして、規則34条1項6号により却下した。
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業種・規模 |
娯楽業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集72集483頁 |
評釈等情報 |
 
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