事件名 |
壷阪観光 |
事件番号 |
奈良地労委 昭和54年(不)第4号
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申立人 |
奈良県自動車交通労働組合壷阪観光分会 |
被申立人 |
株式会社 壷阪観光 |
命令年月日 |
昭和57年12月 6日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含
む) |
重要度 |
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事件概要 |
(1)勤務時間中、駅頭で機関紙の配布をしていた書記長に対し、社
長が処分をほのめかす言動をしたこと、(2)分会員が会社事務所、タクシーのり場等にビラ貼付をした際、社長が地元住民に対
して組合を誹謗する言動をしたこと、(3)分会員X1に対して金銭を供与して組合への加入を妨害したこと(4)長期にわたり
団交を延期したことなどが争われた事件で、(1)、(2)などによる組合活動への支配介入の禁止を命じ、(3)の分会員X1
に対する金銭供与に関する申立てについては1年を経過しているとして却下し、(4)の団交拒否の申立てについてはその後団交
が行われているとして応諾を命じる必要はないとし、また、ポスト・ノーティスの申立てについても棄却した。 |
命令主文 |
主 文
1 被申立人は、申立人分会の組合員が、全自交大阪地連の機関紙の配布を行うことに対して処分をほのめかしたり、地元住民に
対し、「こいつら赤だから仕方がないんだ」というような誹謗中傷発言をして、申立人分会の組合活動に支配介入してはならな
い。
2 昭和53年7月30日のX1に対する社長の労働組合加入妨害に関する申立はこれを却下する。
3 申立人のその余の申立は棄却する。 |
判定の要旨 |
0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
書記長が勤務時間中に駅頭で組合機関紙を配布したことにつき、機関紙の配布はほんの2~3分程度で業務に支障をきたす程の時
間ではないとみられることから、正当な組合活動の範囲を逸脱するものとは認められない。
2245 引き延ばし
分会からの度重なる団交申し入れに対し、会社が業務の都合を理由に長期にわたり団交を延期したり、既に十分説明済みであると
して団交を拒否したことが不当労働行為とされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
勤務時間中に駅頭で機関紙の配布をしていた書記長に対し、社長がわざわざ駅まで追いかけて来て、処分をほのめかす言動をした
ことが、組合設立の中心人物である同人に対する嫌悪感からなされた不当労働行為であるとされた。
0420 その他の争議行為
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
分会員による会社事務所、タクシーのり場等へのビラ貼付の際、事務所や車庫などに許すなく大量のビラを貼付したもので、会社
の撤去申入れ、警告は当然の行為であったと判断される。社長が地元住民に対し、「こいつら赤だから仕方ないんだ」との組合誹
謗の言動をしたことが、組合活動に干渉し、分会の運営に支配介入しようとした不当労働行為である。
2610 職制上の地位にある者の言動
2700 威嚇・暴力行為
分会員X1に対する専務の暴行につき、分会が会社に対し抗議もしておらないことなどからみて、両者間の個人的感情のもつれか
ら生じたもので、会社職制による支配介入とはいえない。
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
長期の団交延期や団交拒否は不当労働行為に該当するが、その後、団交により協定を締結し一時金も支給されており、その後も円
滑に団交が行われていることからみて、改めて団交を命ずる必要はない。
5201 継続する行為
分会員に対する金銭供与等の社長の行為は、それ以後の分会主張の不当労働行為とはその種類及び態様が異っており、その時だけ
の行為であって、「継続する行為」とは認められず、行為の日から1年を経過している以上これに係る申立ては却下を免れない。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集72集473頁 |
評釈等情報 |
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