労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日本濾水機工業 
事件番号  神奈川地労委 昭和56年(不)第26号 
神奈川地労委 昭和56年(不)第28号 
申立人  総評全国一般労働組合神奈川地方連合日本濾水機工業支部 
被申立人  日本濾水機工業 株式会社 
命令年月日  昭和57年11月26日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  会社が再建協力協定の未締結を理由に、再建協力金(1人当り88,000円)を組合員には支給しなかったこと、管理職が組合員X1及びX2宅を訪ね組合からの脱退を慫慂したことなどが争われた事件で、会社再建協力金相当額の支払い(年5分加算)、職制を組合員宅に訪問させての支部からの脱退慫慂の禁止並びに本社及び各営業所におけるポスト・ノーティスを命じた。 
命令主文  主   文
1 被申立人は、申立人組合員に、申立人組合員以外の従業員に支払われた会社再建協力金相当額に、昭和56年11月14日の翌日から年5分の割合による金額を加算して支払わなければならない。
2 被申立人は、職制をして、申立人組合員の自宅を訪問させ、申立人組合員に対して、総評全国一般労働組合神奈川地方連合日本濾水機工業支部からの脱退を慫慂させるなどして、申立人組合の運営に支配介入してはならない。
3 被申立人は、本命令交付の日から5日以内に、次の誓約書を縦1メートル、横 1.5メートルの白紙に読みやすい字で明瞭に墨書し、被申立人の本社及び各営業所の正面入口の見やすい場所に、毀損することなく10日間掲示しなければならない。
             誓 約 書
 当社が行った下記の行為は、神奈川県地方労働委員会により、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。
 よって当社は深く反省するとともに、今後一切このような行為をしないことを誓約いたします。
                記
1 貴組合との会社再建協力協定の締結に固執し、貴組合の組合員に再建協力金を支払わなかったこと。
2 職制をして貴組合の組合員に対し、組合からの脱退を慫慂させたこと。
   昭和 年 月 日
    総評全国一般労働組合神奈川地方連合
    日本濾水機工業支部
    執行委員長 X3 殿
              日本濾水機工業株式会社
              代表取締役 Y1 
判定の要旨  1201 支払い遅延・給付差別
2901 組合無視
再建協力金(1人当り88,000円)を別組合の組合員及び非組合員に対してのみ支給し、組合員に対しては再建協力協定の未締結を理由に支給しなかったが、別組合への再建協力協定が締結されるまでの約1年1か月間、組合にはなんら申入れ等をせず、支払期日決定後初めて申入れを行ったこと、会社の提案した再建協力協定は別組合との間で作成・締結されたものであることから、組合を差別し、その弱体化を企図した不当労働行為とされた。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
労務担当を含む会社管理職が組合員X1及びX2宅を訪ね会社再建の協力依頼をしたことにつき、会社再建という言葉に組合勢力の排除を含んでいたと認められることから、同組合員らに対して組合脱退を明言しなかったとしても、組合を脱退することを期待して行った不当労働行為であるとされた。

4611 P.Nの掲示の場所を配慮した例
研究所におけるポスト・ノーティスに関する救済申立てにつき、研究所は本社と業務的、地理的に一体視されることから本社への掲示を命じることで足りるとされた。

業種・規模  一般機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集72集464頁 
評釈等情報  労働判例 1983年4月1日  401号 82頁 

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