労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  朝倉生コンクリート 
事件番号  福岡地労委 昭和56年(不)第10号 
福岡地労委 昭和57年(不)第10号 
申立人  総評・全国一般労働組合福岡地方本部福岡支部 
被申立人  朝倉生コンクリート 株式会社 
命令年月日  昭和57年 9月27日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  腕章を取りはずして就労せよとの再三にわたる指示、命令を無視したことを理由に、分会長と分会書記長を就労拒否したり、出勤停止処分に付したり、さらには解雇処分にまで付したこと並びに分会長を新設工場へ配転したことが争われた事件で、就労拒否、出勤停止処分及び解雇処分がなかったものとしての取扱い、原職復帰、バック・ペイ(年5分加算)、組合員の腕章着用を一律全面禁止することによる組合運営への支配介入の禁止並びにポスト・ノーティスを命じ、分会長の配転については申立てを棄却した。 
命令主文  主  文
1(1) 被申立人は、X1に対する昭和56年5月15日ないし同年6月18日の出勤停止処分及びX2に対する昭和56年5月15日ないし同年6月24日の出勤停止処分がなかったものとして取扱わなければならない。
 (2) 被申立人は、X1に対する昭和56年4月13日ないし同月15日、同年4月24日ないし同年5月14日、同年6月19日ないし昭和57年3月30日の各就労拒否及びX2に対する昭和56年4月13日ないし同月15日、同年4月24日ないし同年5月14日、同年6月25日ないし昭和57年3月30日の各就労拒否がなかったものとして取扱わなければならない。
 (3) 被申立人は、X1及びX2に対する昭和57年3月30日付の諭旨解雇処分がなかったものとして取扱い、両名を原職に復帰させなければならない。
 (4) 被申立人は、X1及びX2に対する上記の処分、措置がなければ両名が受けるはずであった賃金相当額(各支払金に対する年5分の割合による金員を含む。)を支払わなければならない。
2 被申立人は、申立人組合員の腕章着用を、一律、全面的に禁止することにより組合運営に支配介入してはならない。
3 被申立人は、本命令交付の日から7日以内に、下記の文書を縦1メートル、横2メートルの白紙に明瞭に墨書して、本社及び夜須工場の従業員の見易い場所に10日間掲示しなければならない。
                記
 会社が、総評・全国一般労働組合福岡地方本部福岡支部朝倉生コン分会分会員の腕章着用を、一律、全面的に禁止したことは、福岡県地方労働委員会の命令によって、組合運営に支配介入する不当労働行為であると判断されましたので、上記禁止措置を撤回し、今後かかる措置はいたしません。
    昭和 年 月 日
 総評・全国一般労働組合福岡地方本部福岡支部
  執行委員長 X3 殿
             朝倉生コンクリート株式会社
              代表取締役 Y1
4 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  0420 その他の争議行為
わが国における腕章着用等の組合の行為は、基本的には争議行為の一形態として捉えるのが適当であり、本件就業時間中の腕章着用行為も、賃上げ闘争に際し機関決定のうえ実行されたもので、争議行為の一形態として形状その他正当性を失うものではない。

0420 その他の争議行為
1400 制裁処分
1401 労務の受領拒否
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
再三にわたり腕章を取りはずして就労せよとの指示、命令を無視したことを理由に分会長及び分会書記長に対して就労を拒否したり、出勤停止処分に付したりさらには解雇処分に付したことについて、労働組合の正当な行為として許容される腕章着用を一律、全面的に禁止したことを直接の拠りどころとしてなされたもので、同人らの組合活動を嫌い、企業外に排除するためになされた不利益取扱いであり、支配介入である。

4405 バックペイから他収入控除
組合員X1ら2名に対する就労拒否についての救済に当たり、他企業で就労し、収入を得ていたとしても、生計を維持するための止むを得ないものであって、また、組合活動をする上で困難を来たしていたことなどからすると、バックペイから中間収入を控除しないのが相当である。

4411 配転・転勤・出勤停止・下車勤等の場合
分会長の配転に関する救済申立てについて、単に主張を述べるのみで、それを疎明する事実は明らかにされないことから、申立てが棄却された。

4617 その他
40名から支配介入行為により2名にまで減少した分会員に対し、解雇という最も厳しい処分がなされた事情を考慮すると、組合運営への支配介入行為の救済方法としては、原職復帰及びバックペイの他にポスト・ノーティスを併せ命じるのが相当とされた。

業種・規模  窯業・土石製品製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集72集289頁 
評釈等情報  労働判例 1983年2月15日  398号 82頁 
労働経済判例速報 昭和58年1月30日 1140号(34巻3号) 21頁 

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