概要情報
事件名 |
岡田実業 |
事件番号 |
大阪地労委 昭和55年(不)第65号
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申立人 |
全日本運輸一般労働組合中央支部 |
被申立人 |
岡田実業 株式会社 |
命令年月日 |
昭和57年 9月24日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
(1)分会長及び副分会長は既に退職して系列会社に移籍しており、会社の従業員ではないとして、同人らの夏季・年末一時金等についての団交を拒否したこと、(2)会社の職制が従業員X1に対して組合加入阻止の言動を行ったこと、(3)分会員2名に対し他の従業員との交際を禁止したことなどが争われた事件で、(1)の分会長及び副分会長が従業員でないことを理由とする団交拒否の禁止並びに(1)及び(2)に関する文書手交を命じ、(3)の2名の分会員に対する交際禁止等のいやがらせの申立てについてはそのような事実が認められないとして棄却した。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人は、申立人組合員X2及び同X3が被申立人の従業員ではないとして、団体交渉を拒否してはならない。 2 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。 記 年 月 日 全日本運輸一般労働組合中央支部 執行委員長 X4 殿 岡田実業株式会社 代表取締役 Y1 当社が貴組合に対して行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第7条第1号ないし第3号に該当する不当労働行為であると認められましたので、今後このような行為を繰り返さないようにいたします。 記 (1) 貴組合員X2氏及び同X3氏が、オカダ運送株式会社の従業員であると固執したうえ、昭和55年度夏季・年末一時金の団体交渉、組合の56年4月30日申入れによる上記両氏の身分問題を議題とする団体交渉及び同年6月19日開催の同議題の団体交渉等をいずれも正当な理由なく拒否したりしたこと (2) 貴組合員X2氏及び同X3氏に対し、昭和56年度夏季一時金を支給しなかったこと (3) 貴組合員X1氏の母親に対し、貴組合を非難して同氏が組合に加入しないよう求めたこと (4) 貴組合員X5氏が貴組合に加入したことを理由に他の従業員に同氏との会話を禁じたりしたこと 3 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
2123 その他交渉出席者
分会長及び副分会長は、既に会社を退職し、系列会社に移籍しており、会社の従業員ではないとして、同人らの労働条件等に関する組合からの団交申入れを拒否したことについて、退職・移籍等の事実は認められず、また系列会社は実質的には被申立人会社の運送部門であると認められることなどから、同人らを会社の従業員として扱うべきで、団交に応ずべき義務があるとされた。
2123 その他交渉出席者
2902 労組法7条2号(団交拒否)と競合
分会長及び副分会長はすでに系列会社に移籍し、会社を退職しているとして、同人らの夏季・年末一時金や身分関係に関する団交を拒否したり、同人らの身分関係については大阪地方裁判所及び大阪地労委の判断を待ちたいとの発言をするのみで、誠意をもって応じなかったことが、拒否に正当な理由がなく、組合の弱体化を企図した不当労働行為とされた。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
会社職制が、組合に加入しようとしていた従業員X1に対し、組合員となったから話をするな、組合に入ったから彼の人生はこれで終りだと発言したり、同人の母親に対し、組合への加入を止めさせるよう電話連絡をしたことが不当労働行為であるとされた例。
5008 その他
分会長及び副分会長は別会社の従業員であることを理由とする団交拒否の救済申立てについて、これは会社の従業員たる地位の確認を求めるもので行政機関である労委の権限外であると会社が主張したのに対し、組合は権利関係の確認を求めているものではなく、労委は申立てに基づいて不当労働行為の有無につき審査し、不当労働行為があれば、その救済を行うにすぎないとして、会社主張を斥けた。
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業種・規模 |
一般機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集72集281頁 |
評釈等情報 |
 
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