概要情報
事件名 |
明治屋 |
事件番号 |
石川地労委 昭和54年(不)第8号
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申立人 |
総評・全国一般労働組合石川地方本部 |
被申立人 |
株式会社 明治屋 |
命令年月日 |
昭和57年 9月 9日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
申立人組合(単産地本)及び支部(企業別組合の支店支部)の連名による団交申入れに対し、従来支部との間のみで団交を行っていたこと等を理由に拒否したこと、防寒具の支給に関する協定の文書化に同意しなかったこと、地労委審査委員の勧告により行われたお歳暮時等繁忙期の残業夜食代問題、慰安旅行に関する要求、36協定締結要求、昼食代の値上げに関する文書化要求等8項目に関する団交において不誠実な態度をとったことが争われた事件で、申立人組合及び支部連名の申入れに対する団交拒否、昼食代に関する合意事項の文書化の拒否及び36協定に関する不誠意団交についての文書手交を命じ、防寒具に関する文書化の拒否及び残業夜食代、慰安旅行等に関する不誠意団交並びに謝罪広告及びポスト・ノーティスについては申立てを棄却した。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人は、申立人に対して、速やかに下記の文書を交付しなければならない。 記 昭和 年 月 日 総評・全国一般労働組合石川地方本部 執行委員長 X1 殿 株式会社 明 治 屋 代表取締役社長 Y1 団 体 交 渉 に つ い て この度、石川県地方労働委員会において、貴組合との団体交渉の際、会社が行った下記の行為は、円滑かつ誠意ある態度をもって団体交渉に応じたものとはいえないと認定されました。 今後、このような行為のないよう留意致します。 記 1 昭和54年11月30日以降の団体交渉申入れ及び団体交渉において、従前の総評・全国一般全明治屋労働組合金沢支部との団体交渉に固執し、貴組合を部外者であるという理由で団体交渉の当事者とは認めないような態度を示した。その後執拗に交渉の主体を明らかにするよう求め、団体交渉を円滑に進めなかった。 2 昭和55年8月19日以降の団体交渉において、昼食代の負担額に関する合意事項を文書にしたい旨求められたにもかかわらず、これを拒否した。 3 昭和55年8月19日以降の団体交渉において、36協定の問題について協議を求められた際、貴組合に締結権がないという理由で、これを拒否した。 2 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
2113 交渉団体として不適格
防寒具の支給に関する合意の文書化の拒否に係る申立てについて、同問題は金沢支部(企業組合の金沢支店支部)が要求していたものであり、申立人組合(単産地本)は何ら関与していない以上、同問題の合意が成立したか否かを認定するまでもなく、申立てを棄却することが相当である。
2215 上部団体参加否認
申立人組合(単産の支部)及び金沢支部(企業組合の支店支部)連名の団交申入れに対し、従来連名による申入れを受けたことがないこと、同支部との間でのみ団交が行われていたこと及び交渉主体が明確にされていないことを理由として団交を拒否したことが不当労働行為である。
2240 説明・説得の程度
繁忙期の残業夜食代の改訂が交渉なしに行われたとの申立てにつき、会社は3回の団交を行い、会社の考え方を具体的に示した回答をしており、また、不誠意であるとする具体的な疎明もないことからみて、不当労働行為ではない。
2240 説明・説得の程度
洋酒の拡販問題及び身分証明書発行問題に関する交渉の議事録確認の拒否に係る申立てにつき、これらの問題については組合は会社説明を了解しており、また議事録問題は他の問題にからんで派生したものであり、これらの問題について確認をどこまで要求したのか判然としないことから、確認を拒否した態度が不誠実であるとはいえない。
2240 説明・説得の程度
慰安旅行の中止に伴う特別休暇要求に関し、会社は、団交においてその考え方を具体的に示す回答をしていることからみて、不誠意団交とはいえない。
2110 少数組合
36協定締結に関する団交の要求に対し、申立人組合の組合員は少数であり協定の当事者になりえないとして、同問題についての協議及び会社案提示を拒否した態度が、不誠意団交であるとされた。
2240 説明・説得の程度
支部から本部中央執行委員に就任したX2が本社における交渉に参加する時間の出勤扱いとする範囲をめぐっての団交に関し、会社は、会社のとった措置を説明しており、その内容もあながち無理とはいえないことからみて、不誠意団交とはいえない。
2252 署名・調印拒否
昼食代の値上げに関する合意内容の文書化を拒否したことにつき、文書化を否定する十分な理由があるとはいえず、会社の基本姿勢には誠意が認められないとされた。
2214 上部と傘下組合の交渉範囲
申立人組合(単産地本)及び金沢支部(企業組合の支部)連名の団交申入れに対し、交渉に関する議題がいずれも同支部単独の要求に係るものであり、申立人組合からの要求がなされていないことを理由に拒否したことが不当労働行為とされた。
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
申立後に団交を行っており、申立ての救済利益がないとの会社主張につき、団交が事実上行われたとしても、交渉態度に誠意がみられないところがあるなど再発の懸念があることから、会社主張は認められないとされた。
4505 その他
36協定締結に関する団交の議事録確認書作成を求める申立てにつき、確認書を作成しなければ団交の目的が達成し得ないものではなく、労使間で過去に確認書の作成について協定や慣行があったものとも認められず、また会社の交渉委員が発言内容を頻繁に変更したとの疎明も不十分であるとして、斥けた。
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業種・規模 |
食料品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集72集253頁 |
評釈等情報 |
 
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