労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  西広島自動車学園 
事件番号  広島地労委 昭和56年(不)第3号 
広島地労委 昭和56年(不)第8号 
申立人  広島県西部労働組合(第3号・第8号) 
申立人  広島県西部労働組合西広島自動車学園支部(第8号) 
被申立人  早稲田産業 株式会社(第3号・第8号) 
被申立人  株式会社 西広島自動車学園(第8号) 
命令年月日  昭和57年 8月27日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  組合員の腕章着用就労を理由とする執行委員長の訓戒、譴責及び出勤停止処分、教習生から忌避されたことに関して反省の色がなく、かつ始末書提出を保留する旨の通告を行ったことを理由とする組合員X1に対する譴責及び出勤停止処分、X2に対する社長車運転手への職務変更、労使関係確立及び春闘要求に関する不誠実団交、取締役らの組合に対する、責任追求をほのめかすなどの言動等が争われた事件で、執行委員長らに対する出勤停止等懲戒処分の撤回、Kに対する職務変更辞令の撤回、団交応諾及びポスト・ノーティスを命じ、取締役の言動、本件各懲戒処分が、労委申立てを理由とする処分であるとの申立て等については棄却した。 
命令主文  1 被申立人早稲田産業株式会社及び株式会社西広島自動車学園は、X1に対する昭和56年4月29日の訓戒処分、同年5月12日の譴責処分、同年5月15日付けの5日間の出勤停止処分及び同年5月25日付けの7日間の出勤停止処分がなかったものとして取り扱わなければならない。
2 被申立人早稲田産業株式会社及び株式会社西広島自動車学園は、X3に対する昭和56年5月14日の譴責処分及び同年5月16日付けの5日間の出勤停止処分がなかったものとして取り扱わなければならない。
3 被申立人早稲田産業株式会社及び株式会社西広島自動車学園は、X2に対する昭和56年5月12日付けの辞令を撤回しなければならない。
4 被申立人早稲田産業株式会社及び株式会社西広島自動車学園は、団体交渉開催条件に固執するなどして申立人広島県西部労働組合及び広島県西部労働組合西広島自動車学園支部との団体交渉を拒否してはならない。
5 被申立人早稲田産業株式会社及び株式会社西広島自動車学園は、本命令書交付の日から1週間以内に、下記の文言を縦1メートル、横 1.5メートルの木板に墨書し、株式会社西広島自動車学園の正門の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。
 なお、年月日の記載は、掲示の初日とすること。
             記
                 昭和 年 月 日
  広島県西部労働組合
   執行委員長 X4 殿
  広島県西部労働組合西広島自動車学園支部
   支部執行委員長 X5 殿
             早稲田産業株式会社
              代表取締役 Y1
             株式会社西広島自動車学園
              代表取締役 Y2
 早稲田産業株式会社が行った次の行為は、広島県地方労働委員会の命令により、不当労働行為に当たると認定されたので、今後かかる行為はいたしません。
 1 支部執行委員長であったX1に対して、支部組合員の行った腕章着用就労が違法であるとして、訓戒、譴責、出勤停止の各処分を行ったこと。
 2 支部書記次長であったX3技能指導員に対して、教習生からの担当替えの申出について、反省の色がないとして、譴責、出勤停止の各処分を行ったこと。
 3 支部書記長であったX2に対して、北広島自動車学園開設準備室要員及び社長車運転手を命じたこと。
 4 団体交渉開催条件に固執するなどして西部労及び支部との団体交渉を拒否したこと。
6 本両事件各申立人のその余の申立ては棄却する。 
判定の要旨  0210 リボン・ワッペン等の着用
腕章を着用して就労したことが、特段に業務上の支障があったと認めるに足る事実が見当たらないことから正当な組合活動の範囲を逸脱したものとは言い難い。

1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
腕章着用就労を理由とする執行委員長に対する訓戒、譴責及び出勤停止の各処分、教習生からの担当替えの申し出がなされながら反省の色がないとしてなされた組合員X1に対する譴責処分及びその後、始末書の提出を保留する旨の通告を行ったことを理由とする出勤停止処分、組合員X2に対する社長車運転手への職務変更等が、いずれも合理性がなく、組合活動を理由とした不利益取扱であり、申立人らの運営を阻害するものである。

1400 制裁処分
3201 不当労働行為とされなかった例
腕章着用就労を理由に始末書を提出するようにとの執行委員長に対する校長の発言が、それまでも再三始末書の提出を促していることから、特に譴責処分としてなされたものとは認められず、また本件申立てを理由として同委員長に対して出勤停止その他の懲戒処分がなされたとの主張についての疎明もなされていないとして、それらに関する申立てが棄却された。

2240 説明・説得の程度
団交に先立って文書で回答するよう求めた労使関係確立あるいは春闘要求項目には、就業規則の提示、チェック・オフの実施、手当名称の変更等回答が比較的容易な項目があったにもかかわらず、単に応じられない旨の回答のみで、その具体的な理由さえ説明しなかったことが不誠実団交とされた。

2213 交渉人数
団交の出席者を支部四役のほか上部団体から1人ないし3人とする組合の譲歩提案に対し、労使3人以内という条件に固執して団交を拒否したことが不当労働行為とされた。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
取締役による支部組合員に対する責任追求をほのめかす言動、業務多忙を理由に要求書提出を制止しようとした行為は、組合活動に対する介入行為であるとの申立人らの主張について、職場規律について注意を喚起したり、業務上支障の生じないよう申立人らの配慮を求めたものにすぎないとして、それを斥けた。

3102 争議対抗手段
会社が団交を拒否したことは、支部組合員の脱退や申立人らの存在意義を失わせる意図でなされたとする申立人らの主張が、首肯するに足る事実は認められないとして斥けられた。

4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
組合活動を理由として出勤停止処分等の不利益取扱いを受けた組合員3人が、本件申立て後に組合組織から脱退したからといっても、組合の被救済利益は存在する。

4908 営業譲渡後の譲受人
会社は、その後設立されたN自動車学園へ教習業務を引き渡し、同業務には関与しなくなったとして当事者適格を有しないと主張したのに対し、役員構成が双方同一であること、従業員の労働条件において賃金の支払者が学園になったほかは従前と変ってないこと、会社あるいは学園から支部組合員に対し、学園設立の説明や会社から学園への転籍についての承諾の求めがないこと等から、両者ともに責任を負う立場にあるとした例。

業種・規模  教育(自動車教習所を含む) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集72集198頁 
評釈等情報   

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