労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  新潟県労働衛生医学協会 
事件番号  新潟地労委 昭和53年(不)第24号 
新潟地労委 昭和54年(不)第3号 
新潟地労委 昭和54年(不)第13号 
新潟地労委 昭和56年(不)第3号 
申立人  新潟県労働衛生医学協会労働組合 
被申立人  社団法人 新潟県労働衛生医学協会 
命令年月日  昭和57年 7月15日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  組合員2名に対する一時金支給の際の協定外金員の不支給組合員のビラまき活動に対する干渉、組合員1名の年次有給休暇請求に対する時季変更権の行使と賃金カット、年次有給休暇の分割付与制度の廃止、関連団体職員である組合員X1の協会本部入館の妨害、組合員1名に対する結婚祝金の不支給及び検体受領場所の変更、昭和53年度期末手当支給の遅延等が争われた事件で、組合員2名に対する協定外金員の再査定と支給、正当なビラまき活動に対する干渉の禁止を命じ、年次有給休暇請求に対する時季変更権行使と賃金カット、年次有給休暇の分割付与制度の廃止、X1の協会本部入館の妨害等の不利益取扱い及び陳謝文の掲示を求める申立てについては棄却した。 
命令主文  主    文
1 被申立人は、昭和52年冬季一時金及び昭和53年夏季一時金の協定外金員をそれぞれ1万円ないし5万円の範囲内で再査定のうえX2に支給しなければならない。
2 被申立人は、昭和52年冬季一時金及び昭和53年夏季一時金の協定外金員をそれぞれ1万円ないし5万円の範囲内で再査定のうえ奈須野保に支給しなければならない。
3 被申立人は、申立人組合の正当なビラまき活動に干渉し、申立人組合の組合活動に支配介入してはならない。
4 申立人のその余の申立てはこれを棄却する。 
判定の要旨  1201 支払い遅延・給付差別
昭和52年冬季及び53年夏季の一時金支給に際し、別組合員又は非組合員の一部に対し支給した協定外金員(1万円ないし5万円)を、申立人組合の組合員2名には支給しなかったことが、同人らの組合活動を嫌悪した不当労働行為である。

1203 その他給与決定上の取扱い
組合員X2の年次有給休暇願を出張予定があるとして認めず、これを無視して協会の違法行為を申告するため労基署に赴いた同人を欠勤扱いとして給料及び冬季一時金からそれぞれ減額したことについて、協会側の時季変更権の適正な行使による欠勤扱いであり、不当労働行為にはならない。

1201 支払い遅延・給付差別
別組合と比べて、期末手当の支給が遅延したことにつき、手当の交渉の経過から判断して、故意に組合との妥結を引き延ばしたとはいえず、不利益取扱いはならない。

1600 休暇の取扱い
労働慣行となっていた年次有給休暇の分割付与を廃止したことにつき、労基署からの改善勧告によるもので、不利益取扱いではない。

1601 福利厚生上の差別
組合員X2に対し結婚祝金を支給しなかったことにつき、結婚式に招待しない場合の従来からの取扱いに従ったまでのものであり、不利益取扱いにはならない。

2400 その他
3102 争議対抗手段
団交決裂後、協会側が保安要員の帰宅の自由の確保を理由として、警察官の出動を要請したことにつき、組合員が団交決裂後も徹夜しても交渉するとして滞留を続けたことによる出動要請であることからみて、団交を中断させたとも、支配介入ともいえない。

3020 組合活動への制約
協会本部の玄関先における組合員らのビラまきに際し、自動扉の施錠及び門扉の閉鎖並びに職制による写真撮影及びビラを受け取った職員の名前のチェック等の行為が、正当な組合活動への介入行為とされた。

3020 組合活動への制約
当該協会と同系の団体の職員である組合員X1が協会の組合員2名とともに協会本部に入館し、組合の申込書を手交しようとしたのに対し、協会側が守衛の了解を得ないで入館したとして了解を求め直すよう要請したことなどにつき、確認書に基づく了解手続を経ていないのであるから、協会の支配介入であるとはいえない。

3020 組合活動への制約
組合員X2に対し、検診用の検体の受領場所を無人の出先施設から変更し出先施設外で行わせたことにつき、同人が甲事務所のスペアキーを使用して、無人の乙事務所に立ち入ったことを契機としていることなどからみて不利益取扱いとはいえない。

3106 その他の行為
年休不承認による組合員X2らの賃金カットの取扱いについて組合側が抗議の申入書を手交しようとしたのに対し、協会側が年休の分割付与廃止の説明が先だとしてその受領を拒否したことにつき、その後申入書を受領し団交も行っているので、受領拒否そのものを支配介入であるとはいえないとされた。

4415 賃金是正を命じた例
一時金の協定外金員不支給に対する救済として、他の受給者と同様の基準で査定して支給することが相当である。

4601 「抽象的不作為命令」を命じた例
4617 その他
ビラまき活動への干渉について、使用者は解決済みであると主張したのに対し、同様な行為が繰り返されるおそれがあるとして、ビラまき活動への干渉の禁止を命じ、かつ、組合の求めるポスト・ノーテイスについては棄却した。

5200 除斥期間
組合員2名に対する一時金の協定外金員の不支給についての申立て(53年12月27日)が、別組合員等への協定外金員支給の日(52年12月10日)から1年以上経過しており、救済は受けられないとする被申立人の主張につき、組合員に対する差別が顕在化したのは、組合員に対し、冬季一時金を支給した日(53年2月2日)であり、本件申立てが行為後一年を経過したとはいえないとして斥けた。

業種・規模  医療業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集72集97頁 
評釈等情報  労働判例 1982年11月15日  393号 70頁 

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