労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日本シェーリング 
事件番号  大阪地労委 昭和55年(不)第21号 
大阪地労委 昭和56年(不)第24号 
申立人  総評化学一般日本シェーリング労働組合 
被申立人  日本シェーリング 株式会社 
命令年月日  昭和57年 6月14日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  昭和54、55年度の賃上げにおいて稼働率80%以下の者を賃上げの対象者から除外するという「80%条項」を一方的に適用したこと、同年度一時金支給の考課査定において別組合員と差別扱いをしたことが争われた事件で、昭和54、55年度の賃上げ協定中における「80%条項」の撤回、同条項該当組合員に対する賃上げの実施及び54、55年度各一時金の是正並びにそれらに伴う差額の支給(年5分加算)、54、55年度各一時金査定における別組合員との差別是正(同月数支給)及びそれによる差額の支給(年5分加算)並びにこれらに関するポスト・ノーティスを命じた。 
命令主文  主     文
1 被申立人は、申立人組合と締結した昭和54年度及び昭和55年度賃上げに関する協定中、稼働率80%以下の者を賃上げ対象者から除外する旨の条項(以下「80%条項」という)を撤回し、前記各年度80%条項該当の申立人組合員に対し、昭和54年4月及び昭和55年4月からそれぞれ賃上げが実施されたものとして取り扱い、当該年度賃上げ相当額から既支給額を控除した額及びこれに年率5分を乗じた額を支払わなければならない。
2 被申立人は、昭和54年度及び昭和55年度賃上げにおける80%条項該当の申立人組合員に対する昭和54年夏季一時金、同年冬季一時金、昭和55年夏季一時金及び同年冬季一時金を、前記1によって各年度賃上げが行われたものとして算出し、その額から既支給額を控除した額及びこれに年率5分を乗じた額を、当該年度賃上げにおける80%条項該当の申立人組合員に支払わなければならない。
3 被申立人は、申立人組合員に対し、昭和54年夏季一時金、同年冬季一時金、昭和55年夏季一時金及び同年冬季一時金における査定を次のとおり是正し、これによって算出した額から既支給額を控除した額及びこれに年率5分を乗じた額を支払わなければならない。
(1) 申立人組合員各人に対する査定部分を全日本シェーリング労働組合の組合員に対して支給した上記各一時金の平均支給月数と同一になるよう査定すること
(2) 上記(1)の再査定は、査定に基づいて既に申立人組合員各人に支給した額を下回らない限度において行うこと
4 被申立人は、縦1メートル、横2メートルの白色木板に下記のとおり明瞭に墨書して、被申立人会社正面玄関付近の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。
              記
                       年 月 日
総評化学一般日本シェーリング
労働組合
 執行委員長 X1 殿
            日本シェーリング株式会社
             代表取締役 Y1
 当社が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められましたので、今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
              記
(1) 昭和54年度及び昭和55年度賃上げにおいて、80%条項を内容とする協定を貴組合に押し付け、貴組合員を不利益に取り扱ったこと
(2) 昭和54年夏季一時金、同年冬季一時金、昭和55年夏季一時金及び同年冬季一時金において、貴組合員を不当に低く査定して不利益に取り扱ったこと 
判定の要旨  1201 支払い遅延・給付差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
昭和54、55年度の賃上げに際し稼働率80%以下の者を賃上げの対象者から除外するという「80%条項」を一方的に適用したことについて、その算出基礎とする不就労には遅刻、早退、欠勤等のほか、年休、生理休暇、組合活動等を含み合理性がなく、その導入により女子組合員が多い申立人組合にとって別組合よりも影響が大きいことなどからみて、不当労働行為になるとされた例。

1202 考課査定による差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
昭和54、55年の夏季・冬季一時金の支給に当たり、組合員について考課査定を低く査定したことについて、別組合員との間に査定が公平になされたとの疎明がなく、また、団交でも同一時金について十分な協議をすることなく組合に協定の締結を強いたことからみて、別組合員と差別し、組合弱体化を図った不当労働行為に当たるとされた例。

5001 将来における予防、不特定な内容の請求
昭和54、55年度の賃上げ、夏季・冬季一時金についての差別支給の救済申立てにつき、その内容が労働委員会に金額の不明な金銭支払いを求めるもので許されないとの会社主張が、申立人の主張から十分にその金額を特定しうるとして斥けられた例。

業種・規模  化学工業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集71集487頁 
評釈等情報   

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